「クレディ・スイスがソフトバンクに怒り法廷闘争に臨む理由 吉田拓史」を読んでようやくクレディ・スイスがソフトバンクに法廷闘争に臨む理由が見えた。
要は経営破綻した米建設会社(カテラ)の支援でSVFが利益相反した、しないの争いであると見ればこの複雑な争いが見えてくる。
利益相反した、しないは潜在的支配関係があるかどうかの客観的な判断による。いかにも法廷闘争向きなテーマだと納得した。
「クレディ・スイスがソフトバンクに怒り法廷闘争に臨む理由 吉田拓史」の要約を以下にメモしておきます。時系列的にいまだよく理解できない点もあるが窮地を逃れるために打った策が違法スレスレで裏目に出だすと法廷闘争にまで行くメカニズムがよくわかる。
8月初旬クレディ・スイスは、英貸金業者グリーンシルの破綻をめぐって、その大株主SBGに対して法的手続きを開始する許可を求めて、英国高等法院に申請を行った。
グリーンシルの売掛債権担保融資を証券化してクレディの顧客富裕層1,200人に売っていた。
2020年6月には、グリーンシルは、SBGからの4億4,000万ドルの第三者割当増資を受け、カテラの株式を5%取得し、カテラの債権を放棄にすることに同意した。カテラ・ケイマン株約5%はSVF2の関連会社に譲渡された。
カテラは、2020年末ごろから財政難に陥った。カテラ、ソフトバンクは『カテラ再建に取り組み』、グリーンシルは『カテラの売掛金に対する権利を放棄。
カテラが担保として提供した資産に対する様々な先取特権をグリーンシル が担保解除契約を締結。
2020年12月30日、グリーンシルとカテラはカテラが以前にグリーンシルに売却したすべての債権に対する権利をカテラに返還した。
2021年春グリーンシルが破綻し2022年8月18日現在クレディは73億ドル回収したがソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が支援し経営破綻した米建設会社(カテラ)クレディ顧客資金の4億4,000万ドルを含む約20億ドルは回収が困難となる。
SBGから注入された4億4,000万ドルがクレディの顧客に届く前にグリーンシルが破綻した事になる。
クレディはSBGがカテラの財務再構築を画策し、スイスの銀行の顧客を犠牲にして自らの利益を得たと主張している。
SBGは自らの財務体質を良く見せる必要があった。その上でカテラとグリーンシルを救いたかった。この全てを満足するためグリーンシルを通してクレディのファンドを必要とした。
こうした間接救援の結果SBGは自らのバリュエーションを変えずカテラを救えたかに見えたが結果的にカテラもグリーンシル株も紙くずになった。
カテラやインドの格安ホテルチェーン「オヨ」ウィーワーク失敗の後、大半の金融機関はビジョンファンドの多くの企業に近づかないようになった。グリーンシルは、カテラのような瀕死のSVF投資先を救うための助っ人だったが結果的にクレディの顧客が間接的に瀕死の企業に資金を貸す役割を演じたことになる。
グリーンシルの融資先の上位10社のうち4社がSVFの支援企業であり、52億ドルの資産の15%を占めている。これらの融資が増加していた時期は、SVFのテクノロジー関連企業の株式価値が1兆9,313億円も下落していた。
SVF1はグリーンシルの窮地に手を差し伸べる形で約19億4,000万ドル以上を出資し、49%を保有していた。
クレディは、ファンドが破綻寸前で、数十億ドルの顧客資産が危機に瀕していた。
孫はクレディに対して投資する条件として「SCFFはパートナーであるグリーンシルを通じてのみ新たな債権を購入しなければならない」と規定するサイドレターに署名するようクレディに要求した。
しかしこのサイドレターはクレディにとってはSCFFの投資家が平等に扱われるという要件に違反することだった。クレディはサイドレターを取り消し、内部調査を開始したスイス連邦金融市場監督機構(FINMA)はクレディに対し警告を発し、CSAMの責任者は最終的に解雇された、
SBGは「サイドレター事件」とクレディの内部調査の後、2020年7月までにファンドに直接関係する資金をすべて引き上げた。
2020年7月、保険会社の東京海上傘下の豪保険代理店The Bond & Credit Company(BCC)は、グリーンシルに対する保険提供の停止を勧告した。東京海上は46億ドル相当のグリーンシル資産に保険をかけていた。
資金回収を迫られたクレディは保険の請求によって不良債権を賄おうとしている。クレディは、8月中旬、保険対象となる損失のあるすべてのSCFFに関して18件、約22億ドル相当の保険金請求を行った。
東京海上はクレディの請求を跳ね返そうとしてきた。同社は4月にグリーンシルの保険取得について重要事項の開示を行わない「詐欺的な行為があった」と非難。
東京海上は2019年4月にBCCをインシュアランス・オーストラリア・グループ(IAG)から買収したが、その際にIAG時代に締結されたグリーンシルの保険契約を譲り受けている。
IAGは責任を否定しているものの、グリーンシルの「不正」という主張
東京海上に一抹の不安を与えるのは、グリーンシルのエクスポージャーには再保険がかかっていない。