世界はグローバル化の夢を負っている間に共産主義国家に足元を掬われてしまったのか。薄々勘づいていたが政治家も実業家もメディアも誰も警鐘を鳴らさない。エマニュエル・トッドだけが一貫して歴史的な視点から警鐘を鳴らし続けている気がする。
政治家にも期待ができない、財界もなおさら、学者もこれだけ大きなテーマに声高に語る人は違なさそうだ。
地球上の最大のテーマと言って良いかもしれない。
以下はエマニュエル・トッド「グローバル化の夢は死にかけている」の要旨です。
「世界がボーダーレスとなり、主権国家は重要性を失う」
グローバル化の夢は、死にかけている。
社会にとてつもない格差を生み出したことを知ってしまったから。
世界の労働者階級のおそらく25%は中国 先進国の経済はサービスや研究などに集中しこの構造から抜け出せない
トランプが米国の工業生産能力の再構築を目指していたが統計的にみると米国が工業での一定の自立を回復する兆しは見られない。米国の赤字はサービスではなく、モノの貿易赤字だから。
アップル社は、自らのサプライチェーンから中国の工場を外すことは不可能と判断 iPhoneの付加価値に占める中国の割合は25% 中国はもはや組み立てラインだけではなく、価値を生み出す場
サービス産業社会から工業社会に戻れるか 私たちはそう問われている
農民社会 工業社会 ポスト工業社会 サービス産業社会へと移行
この移行の旅には元に戻るための帰りのチケットはノー 第三次産業にふさわしい教育を受けた労働者を製造現場の労働者階級に変えることはできない 米国のエンジニアの半数が「輸入」、モノも中国から「輸入」米中間のグローバル化は今も続いており、抜け出すのは非常に困難
最初のグローバル化は1914年の第一次世界大戦の前に英国による 第二のグローバル化は米国
グローバル化から抜け出すということは、先進国、特に米国が労働者階級、つまり工業を担う階級を復活させること しかし米国の人々にとっては生産の現場で働くより、強力な軍隊を持ち、基軸通貨であるドルを印刷するほうが簡単 米国にとって、グローバル化から抜け出すことは簡単ではない