えくぼ

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笹公人の近藤さん

2013-12-21 15:15:15 | 歌う

         「笹公人の近藤さん」

 「未来12月」に笹公人が近藤芳美のことを書いている。孫が亡くなった祖父を語るように。

★階段をすべり背中を打ちし男しばし歩みて人にまぎるる  

 淡々と情景を描写した歌だが、悲劇と喜劇が交差するユーモア短歌に仕上がっている。階段をすべって背中を打って注目を浴びてしまった男がそれを「なかったこと」にしょうとする行動が淡々と描かれていて笑いを誘う。近藤さんの若き日のお茶目な歌とであると、笹公人。

 近藤さんは80すぎてもお茶目な方でしたよ。笹さん。
「ボクを先生って呼ぶな」でしたから、気安く話せましたね。東北の2泊3日の旅の楽しかっこと。でも彼の作品はゴツゴツした社会詠が多くて私は残念におもってます。

★カナリヤの籠にむかひて椅子があり明るき午後に吾はめざめぬ

 この歌が詠まれたのは、太平洋戦争の真っ最中、同じ頃の男性歌人たちの歌が、主に戦意高揚の歌であるときに、このような西洋趣味を、と笹公人は書いているが、近藤は海外帰国子女的な人だから、洋食が好き、ピザパイをほおばりながらワインを飲む、今の若い子と変わりありませんね。東北は北欧みたいだから好き、ギリシャの野外劇場で、夏の夜、オペラを観たいなあと言いながら目を閉じていたあの午後の近藤さんは80何歳だったか、でも青年の雰囲気。私と二人の午後?いいえ他に老女4人がいました。新宿の或る茶房に。

 今年もあと10日 今頃になって「未来12月号」を読み始める松井多絵子。