えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「あら、池田はるみ」

2013-12-25 14:45:35 | 歌う

             「あら、池田はるみ」

 新聞の1面は見出しを見るだけ、でも天声人語は読む女が多い。私もその一人である。これを読んでいれば、井戸端会議でインテリめいた顔ができる。クリスマスの今日はなぜかギロチンの名の由来からはじまる。そして「史上最も多く人を殺した武器」に話が展開する。世界に推計1億丁出回っているという銃器を設計したのはロシアのミハイル・カラシニコフ。字の読めない兵士に使いこなせる銃、その簡便さゆえに途上国へ流れ込み、世界で惨事を引き起こしている。それを悲しんでいた氏が94歳で亡くなられたらしい。

★手軽とふカラシニコフがあるゆゑにあああるゆえに子どもの兵士  (池田はるみ)

 「あら、池田はるみ」 つらつらと天声人語を読んでいた私の前に不意に池田はるみが現れ驚く。彼女は今わたしの所属している「未来」の選者である。20年位前からのおなじみの1人だ。短歌研究新人賞を受賞し、キラキラしているが、気安く話せるひとだ。関西弁を詠み込んだおもろい歌が多い、こんな深刻な歌も詠んでいたとは。今月の「未来」に次のような池田はるみの歌がある。8首連作の「十六夜」のなかから私の好きな2首を抄出。

★わたくしにはげしき父が在ましきよ家族と共に墓参りせむ  ※家族(うから)

★こはかつた父の話をしてわらふ黒装をした一族があり

 わたくしにうるさき父が在ましきよ、墓参をせぬと怒りているらん
                              12月25日  松井多絵子


清しこの夜

2013-12-24 14:39:34 | 歌う

            ♪♪ 「清しこの夜」 ♪♪

★それ以上言わなくていい、これ以上言いたくはない清しこの夜 (松井多絵子)

 昨日は天皇80歳のお誕生日。その祝日にわたしの親戚の80歳の女の危篤の知らせ。午後2時に武蔵野の病院へ駆けつけた。半年前に脳梗塞で倒れ、集中治療室に入院し、その時も危篤を思わせる知らせ。現在は病棟の個室で治療を受けている。何本もの管に繋がれて彼女はベッドに横たわっている。眠っていて苦しそうではない。手を握ると冷たいが、親指は私の手のひらを強く押す。これだけで十分だ。最後の言葉なんて聞きたくない。聞いたら私の重荷になる。私も何も言いたくない。さらりと別れたい、いずれあの世で会えるのだから。

 半年前に彼女が倒れてから私は旅行をしていない。日帰りのツアーに3回参加しただけ。
行きたい所が山ほどある。しなければならないことが山ほどある。しかし長年親しくしてきた人にもう会えなくなる、できるだけ会いたくなってしまう。相手は意識不明なのに。

 約3時間、病室にいたときに、何度となくブザーが鳴り、掲示板?に赤い数字が点滅、看護婦さんが現れ、数字の赤い点滅が消えると看護婦さんが病室を去る。この危篤状態が1年も続いた人がいたらしいと親族の1人が小声で言う。私はひどく疲れて帰宅した。

 夏のはじめにわたしの腕時計が故障した。時計売り場の店員さんは、この時計はもう寿命ですと言い、新品を買わされてしまった。ところが故障した時計がバッグのなかで動いていた。今でも正確に時を刻んでいる。機械に弱い私は生きている限り機械に翻弄されるのか。

 ★今年との別れを知らせる唄なのだジングルベルを聴かねばならぬ
                             12月24日   松井多絵子


「退屈のすすめ」

2013-12-22 14:41:10 | 歌う

          「退屈のすすめ」

❤10分で1冊の本が読めるらし10分後には忘れる本を  (松井多絵子)

 新聞をひらけば本の広告・広告、それぞれ面白そうだが1冊を10分で読めというのか。日曜の本の広告は特に派手だ。ド派手だ。今日のド派手NO1は★『退屈のすすめ』

 五木寛之の最新刊、楽しくなくては生きていけない。退屈がなければ生きていく価値がない。

 でもね、五木先生、ほとんどの人が退屈してますよ。体は忙しいけど心は退屈な人がワンサといて用事もないのにケータイでメール。特に見たいわけでもないのにテレビはつけっぱなし。
退屈しているから他人のことが気になり知りたがる、お正月は海外で過ごす人のこと。ホテルで過ごす人のこと、新しいマイホームで過ごすひと、そんな気分のいい人のことを思うとシャクにさわる。彼女と私は女としてさして差がないのこの明暗、なんて思う退屈こそ魔の時間ですよ。

 五木先生は「暇を黄金の時間に変える」ことを提案していられますね。車と遊ぶ、靴と遊ぶ、体と遊ぶ、アートと遊ぶ、本と遊ぶ、夢と遊ぶ、たしかに自分を遊ばせることは大切。自分を心ゆくまで遊ばせ自分を楽しませることができる人こそエリートだと私は思います。この本の題名は ★『遊びのすすめ』の方がふさわしいのに、でも『退屈のすすめ』の方が売れるでしょう。

❤さて厨にもどるか俎上にわれを待つはるかメキシコよりきしカボチャ  松井多絵子  


笹公人の近藤さん

2013-12-21 15:15:15 | 歌う

         「笹公人の近藤さん」

 「未来12月」に笹公人が近藤芳美のことを書いている。孫が亡くなった祖父を語るように。

★階段をすべり背中を打ちし男しばし歩みて人にまぎるる  

 淡々と情景を描写した歌だが、悲劇と喜劇が交差するユーモア短歌に仕上がっている。階段をすべって背中を打って注目を浴びてしまった男がそれを「なかったこと」にしょうとする行動が淡々と描かれていて笑いを誘う。近藤さんの若き日のお茶目な歌とであると、笹公人。

 近藤さんは80すぎてもお茶目な方でしたよ。笹さん。
「ボクを先生って呼ぶな」でしたから、気安く話せましたね。東北の2泊3日の旅の楽しかっこと。でも彼の作品はゴツゴツした社会詠が多くて私は残念におもってます。

★カナリヤの籠にむかひて椅子があり明るき午後に吾はめざめぬ

 この歌が詠まれたのは、太平洋戦争の真っ最中、同じ頃の男性歌人たちの歌が、主に戦意高揚の歌であるときに、このような西洋趣味を、と笹公人は書いているが、近藤は海外帰国子女的な人だから、洋食が好き、ピザパイをほおばりながらワインを飲む、今の若い子と変わりありませんね。東北は北欧みたいだから好き、ギリシャの野外劇場で、夏の夜、オペラを観たいなあと言いながら目を閉じていたあの午後の近藤さんは80何歳だったか、でも青年の雰囲気。私と二人の午後?いいえ他に老女4人がいました。新宿の或る茶房に。

 今年もあと10日 今頃になって「未来12月号」を読み始める松井多絵子。

 


医者は殺し屋?

2013-12-20 14:58:26 | 歌う

          「医者は殺し屋?」

 ❤ロボットのように問診する医師よ貴方にあうため1時間待った (松井多絵子)

 今年いちばん売れた本をご存じですか。
2013年、年間ベストセラー第1位は★「医者に殺されない47の心得」だそうです。新聞の広告に書いてあったので真偽のほどはわかりませんが。近年の本の売れ行きは、本の題名で決まるような、広告の上手な本が売れるのでしょうか。「医者に殺されない」なんてコワイですけど、かかりつけの医者が 「どうも信頼できない」 という方が多いですね。過剰な加療は副作用が心配ですし出費がかさみますから。ストレスもたまりますから。、

 わたしは歯科で度々痛み止めの薬を渡さますが、痛んだことがなく「前に頂いたのがまだありますが」と言いましたら「年末年始は治療を休みますから」と渡されて、薬の押し売りみたい。

 「医者に殺されない47の心得」の著者・近藤誠は、慶応義塾大学医学部放射線科講師、まずこの肩書きが信用されますよね。「47の心得」となると本屋で立ち読みは無理。定価1155円「いのち」に関わることが書いてあるのだから1000円なんて安いもんだ、しかも新書判だから軽い。買い物のついでに買ってバッグに。というわけで100万部も売れたのでしょうか。

 <医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法> この広告文は老人を虜にしますよ。

 ❤わたくしの主治医はわたくし信号は赤より青へ変わりていたり 松井多絵子  12月20日