植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

花友 印友 旧友 みんな大事

2023年05月29日 | グルメ
家内は、朝夕の犬の散歩によって出会う、いつもの散歩仲間「犬友さん」が5人以上いるようです。ワタシの住む家は裏手が相模川で長い土手があり、近所さんンの遊歩道、犬の散歩道、多くのジョギングランナーさんの走路ともなっております。そこで、毎朝同じような顔ぶれの友人が出来て、井戸端会議ならぬ、土手端会議を行って、情報交換やら世間話に花を咲かせているとか。

ワタシ自身は、どちらかと言えば人嫌いで友人も少ないほうがいい、という主義で長年を過ごしてきました。とかくメダカは群れたがる、友人の多さをひけらかす奴にはろくな人間がいない、などと偏見に満ちた性格であります。何より、一人で口をきかず好きなことをやる、だれにも教わらないでゴルフや書道・篆刻などを独学で学ぶ、という性質であります。家内から手ほどきを受けたバラ栽培を始めとした園芸も、もとは誰とも口をきかずに過ごせるという性格の作業が性に合っているのです。

現役生活では、会社の同僚がおのずと友人になり、夜のお酒や休みでのゴルフのお付き合いが欠かせませんでしたが、一方で家族を養いお金も時間も限られていて友人と遊ぶゆとりもなかったのです。現に40年近い金融機関人生を通じて知り合った多くの仲間たちのうち、いまだに定期的に連絡を取ったり合って飲む、一緒にプレーをするという人は数人しかいません。

孤独が好きなのさ、とか気取っていたので定年後はご近所さんとの付き合いも煩わしく、ゆっくり家内と余生を送ろうと思っていたのです。ところが、今の世の中、物理的に出会うことが無くても多くの人たちと交流が可能になりました。今継続中の本ブログ、書道・篆刻チャット、ヤフオク・各種の交流サイトなどPCやスマホを通じて国内外の同じような趣味嗜好の人々と知り合うようになりました。

まずは、「印友」。これは書道チャットでワタシの篆刻印の写真を投稿するうちに何人かの書道家や書道愛好家さんから「私の印を彫ってください」というメッセージが来るようになりました。書道チャットでコメントを出す常連さん同士で意気投合したり時には議論することで「個人的なやり取りに発展したりもします。

ワタシがそのご縁で、基本的に無料で印を彫って差し上げるので、お互いに姓名住所と携帯電話番号を教え合うのが必須となります。印を送った方にはLINEを通じてワタシが責任者で「グループline」にお誘いし20人ほどの交流の場になっております。

ヤフオクでは、印を捺すのに必須となる「印泥」の情報のやり取りなどを機に、二人の方とは現物を送ったり貰ったりいたしました。これは略すと「ヤフオク友達」ヤク友となるので、これは略して呼んではなりませんが(笑)

更に、花や植物の投稿写真専用サイト「グリーンスナップ」に3年以上参加しております。ワタシは1千種類以上の植物、特に非耐寒性の珍しい植物まで手を広げているので投稿写真には事欠かないのです。これで知り合った方々の中には印を頼まれる方もいるので自ずとお友達になります。お互い顔や名前を知らないのに趣味を通じて「意気投合する」のは決して悪いことではありませんね。

そこで、実際にあう友人はというと、ごくごくわずかになります。数人のゴルフ仲間や飲み友達です。それで不思議なことに、会社時代にはほとんど没交渉・音信不通であった中学高校時代の仲間たち、同級生との情報交換が定年退職後に急に復活してきました。恐らくは同郷の大分県人同士で、「里心」がついてきたのでしょう。グループlineだけでも5件ほどあります。延べ60人程度の旧友は高校時代ですらほとんど口をきいたこともなかったのに、今では定期的にゴルフをし、県外の仲間の別荘もどきの施設でと盛り込んで旧交を温めるということになっています。

中学校の時の同級生は、毎日のように近況を伝えあい写真をみせっこしております。九州に帰省すれば必ず数人の友達が駆けつけて飲みに連れて行ってくれます・なにしろ50年以上も前の知己なのにその付き合いがいまだにある、というのがなんともうれしく好ましいものであります。

さて、昨日は社会人になってから同じ支店で知り合った仲間(後輩)夫妻が来てくれました。彼は東大卒業後金融機関に入行し、出世街道を駆けて支店長になったのに、50歳になる前にあっさりキャリアを捨て「鍼灸師」になった変わり種であります。かの夫婦とはなぜかずっと付き合いが続いていて、鍼灸整体を開業して以来、拙宅に来て施術してもらい少しお酒を飲むというのが習わしになりました。もはや10年近くなるでしょうか。有難いことに彼はワタシのことをたてて、「兄貴」扱いしてくれます。家内は「姉さん」と呼ばれております。まさに「愚兄賢弟」といったところです。

彼に鍼を打ってもらうと見違えるほど楽になります。ご不幸があって先月はキャンセル、二月ぶりにやってくれましたた。そこで、用意した食事は、2週間前に交通事故で接触した80歳すぎのお爺さんが経営する「仕出し弁当」であります。聞けばサラリーマンを中途で退職し、鎌倉で料理屋を開き、平塚・二宮と店を移して現在は仕出し専門だとか。

袖すり合うも多少の縁、といいますが、車こすり合うのも何かの「えにし」であります。せっかくだからお弁当を頼みましょうということになりました。先方の不注意でわき道から飛び出してきて公道を走っていた家内運転の車にわずかに接触したのです。修理代は最大でやればバンパー交換・鉄板の再塗装みたいなことで、双方で2,30万円となりそうです。また保険で直せば等級が初期に戻り年間5万円以上掛け金が増えます。もうこれは自費で直そうと話がまとまって、お向かいのMさんの懇意にされている自動車修理工の方に診てもらったのです。

更に、そのMさん、ワタシの家内がそこに仕出し弁当を注文したら、うちも頼むと言い出しました。そして、昨夕仕出し弁当を2件分配達する→Mさんが車屋さんにすぐ来てもらう連絡を取る→先方の車の修理を依頼する→持ってきたお弁当4個はワタシ・友人、それぞれ夫婦の夕ご飯になるという図式になったのであります。

届いたお弁当は大変結構なものでありました。味はもちろんとても美味しく、見た目も美しいので一同大満足でありました。


加えてその鍼灸師の友人にいただいたお土産がまた、大変珍しいものでありました。

「となりの開花堂」という名前のクッキーであります。ワタシは当然こんなお菓子を知る由もありません。予約・入手困難なお菓子の世界で、日本を代表するアーティストの一人「村上隆」さんが手がけている“お花のクッキー缶”で、毎週一回発売されるたび即完売となるのだそうです。友人は仕事の合間をぬって、正午に購入操作をして運よく買えたそうであります。いくつかつまんで頂きましたが、口どけが良く素材のこだわりを感じる優しい甘さのお菓子でありますが、真ん中の、テレビのなにかの番組に出ているようなお顔のクッキーはもったいなくて手が出ませんね。

なんにせよ、生きているといろんなことに出会います。世の中、知らないことばかりであります。そんななか、ことさらに友達を増やそうなどとは思いませんが、なにかの「縁」だけは何かのお導きとして丁寧に向き合おうと思います。死ぬまでに親しくなる人はそうそう多くありません。せめて、その関係を出来るだけ大事に保つことが、残り少ない人生を穏やかに、豊かで「美味しい」ものを食べて過ごせるのだと。
 

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