植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

捕らぬメダカの皮算用

2020年07月04日 | 動物
 畜産農家さん、鶏、豚、牛などを育てて食肉用に卸す仕事は苦労が多かろうと思いますな。ワタシが小学生の頃、同級生で豚を飼っている家がありました。裏川と呼ばれた川のそばで数頭いましたが、飼料の残飯と糞尿による悪臭でそばを通る時は走ったものです。
昭和30年代では、鶏を飼って卵をとることも当たり前でした。ワタシの家では山羊を飼い臭みのあるヤギ乳を飲まされたものです。母の実家でも納屋があって数百羽の鶏を飼っていたのを思い出しました。
 いつしか家畜を住宅で飼うことはほとんど無くなりました。悪臭や鳴き声・ハエなどの発生で苦情が出ますから。それでも、山間や人里離れた地域で、少し肩身の狭い思いをしながら家畜を育てる畜産農家がいるのですね。

テレビで取材が入り、育てた家畜を出荷するとき、農家さんは「それは寂しいですよ。家族同然で暮らしてきた可愛い奴ですから」などど仰いますな。食用に出荷するんですよ。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルまもなく屠畜業者に絞められるのです。家族なんて思ったらとんでもない。余計な感情を持ったら仕事にならないでしょうね。それで生活しているのですから、心で手を合わせ感謝しつつ送り出すんでしょうね。

 そうした皆さんのご苦労のお陰でワタシ達も美味しいお肉が食べられるのです。

 そこで、メダカであります。
屋上で繁殖させながら育てておりましたら、1000匹を超えておりました。なんの目的もなく拘りもなく、ただ殖やしただけですが、そろそろ潮時、いい加減にしなければという気持ちになってきました。こいつらは可愛いが、なにせ食欲旺盛、子作りも熱心なのです。メダカプールの掃除・水替えもなかなかにシンドイのですね。
 
 大正、昭和の時代、特に地方の子沢山の農家さんが多かったと聞きます。ワタシの両親も合計で15人兄弟でした。幼い頃に、里子・養子に出された叔父叔母も何人かいました。教育なども行き届かず、食べるのにも精一杯、奉公に出されたり養子にされる「口減らし」は一般的だったのです。
 
 そこで、思いついたのがメダカの販売であります。
食べるわけでも始末するわけでもない、娘を嫁にやるような気分でしょうか。
 懇意にしている花屋のカナちゃんに相談したら、わりにはっきりと嫌な顔されました。以前やって思わしくなかったというか、面倒だったみたいです。イベントでメダカ掬いやったら、メダカはすばしっこいので逃げられてばかり。夜間の保管とか世話もあって気乗りしなかったのですね。

 ワタシは、試しにMIXめだか8匹入りのパックを作り10個+ラメミユキメダカ4匹パック2個を納入いたしました。そうしたらまんまと午前中に完売となりました。そらそうです。MIX一個300円、ミユキ1200円という破格な安値です。ちょっとメダカを知ってる人はささっと買うのですね。近所のホームセンターではMIXメダカが「一匹」300円で売っていました。オリンピックでも、大体一匹100円ですから。

 請われるまま、計70パックばかり持ち込みました。ざっと500匹以上売れた勘定になりますな。とりあえず8個あったメダカプールが二つばかり空になりました。しかし、まだ、千匹近く居ます。
 なのに、売れることに気が大きくなったワタシは、新たな取り組み、ミユキラメの繁殖と品種改良に走ったのであります。(ここまでが6/18付 本ブログにも書きました。)ヤフオクで入手したブランドメダカ4品種の卵約140粒約3千円分を元にして一攫千金を企んでおります。おおよそ100匹が孵化に成功し、現在、サンルームの特設プールで手厚く飼育しております。勿論餌もミユキメダカ専用とか一番高いものを用意しました。
 成魚であれば一匹千円以上するものでも、卵は割安であります。今回のケースでは、3千円で100匹、一匹30円という超破格の仕入れ価格ということになりましょう。
 
 身に付いた習慣はなかなか直りません。他のMIXちゃんたちのプール掃除をするたびに、卵を取り出してはそこいらのバケツや洗面器に保存してしまうのであります。掃除をし水替えする中で、稚魚赤ちゃんは一匹もみつかりません。全部親メダカが食べてしまうのです。メダカを減らしたくなかったらすこしづつでも繁殖させる必要があります。
 かくして、平民メダカたちの赤ちゃんが次々に誕生してきました。そこらに置いたバケツや盥の中にすでにうじゃうじゃ増えてきました。餌は去年に使いあましたベビーメダカ用の餌。人間界でもメダカでも身分差別・格差社会はいたしかたありません。

 という訳で、この秋には成長したブランドメダカたち(3色錦など)と、偶然発生したうちのパンダ風・三毛猫風・巨大どら猫風、ダルマ系ミユキなどと交配をさせます。ワタシの豊富な経験と、大甘な希望的予想で、一匹数万円の高値が付くような新種のブランドメダカが生まれるのは時間の問題であります。

 すでにして売れたメダカたち、ワタシの手元には1円も入ってきません。餌代と納品用のカップとケース代4千円が持ち出しであります。気がつけば、計算だけは一人前ながら、商才もなく、心優しい(笑)ワタシは一円にもならない仕事をしているのでありますな。
 これでは落語「花見酒」みたいなものであります。商売するつもりで仕入れた酒を酒好きの仲間とつい飲んでしまう。仲間から貰った代金をまた相手に払って酒を飲むうちに商売用の酒がなくなる、という顛末ですね。
そしてまた、「口減らし」するつもりでいたメダカが、結局増える羽目になっているのであります。
 

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