このところ天気が一定せず、毎日のように雨が降り肌寒い日も続いております。咲き始めた桜も、強い雨風で散ってしまいそうです。
ワタシの家でも、この一週間吹いた春の(人間)嵐がようやく収まりました。子供の結婚に付随して9名子供夫婦や孫が出入りし、食事から何からずっと振り回されたのです。ようやく、昨日長男親子と結婚した次男夫婦が帰路につき、年寄り二人の静かな日常に戻ったのです。実は、6月にもう一度嵐がやってまいります。三男の結婚式が控えているのです。
さて、昨日のブログに続いてヤフオクのお話です。ここのところ落札に至らなかったものの、毎日あれこれ物色し、中には少額の入札をしておりました。昨夜はちょっと気合を入れてなんとか入手したいものがあったのです。
一つは「中国筆など大量出品」でした。ざっと数えて4.50本あり小筆から特大筆、唐筆も和筆もごっちゃ、渡辺さんという書道家さんがひとまとめに出したようです。拡大すると35,000円の値札が付いた斑竹軸の羊毛筆などいくつか高価な筆、未使用品が入っていてウオッチもたくさんついていました。ワタシのお目当ては「李鼎和」という中国のトップブランドの古筆でした。見た目は素朴ですが、一級の山羊の毛を用いて作られ書道の腕が一段上がる、と言われています。
これは1万円で入札しましたが、どんどん高値の入札が続き41件入札の後31,600円で落札されました。これはまぁ想定内、仕方がありません。かなりの腕の書家さん愛用品と見ておりましたので、品物も上等・高価で相当な高値となることは予想通りでしたから。李鼎和筆は、真贋はともかくかなりの出品があるので、一本だけの出品を狙っていればそのうちチャンスがあるでしょう。
もう一つの出品は「箱入りの印材まとめて」であります。これは前述の中国筆大量の出品者と同一の出品でした。一昔前に、中小企業の経理でよく使われた、社判やゴム印などをしまう一般的な木箱であります。この中に12個の刻印済みの印が収まっておりました。写真でそれらを事前にチェックすると、いずれも持ち主の作ではなく、珍しい印材・高価な篆刻印を蒐集していた人が保管していたものと思えます。
素材の石は「寿山石・青田石・芙蓉石・凍石・黒石・鶏血石」などバラエティに富んでおり、「薄意」が彫られているもの、豊かな造形の紐があるもの、自然石のままの形を残しているもの様々で、共通するのは印面の彫りの文字の確かさ・美しさであります。近作では無く100年以上の古印と思われるものが大半と見ました。そして書道家として尊敬する会津八一先生(秋艸道人 )の雅号が側款に刻まれているものもあったのです。これが偽造品か、あるいは秋艸といたずらに入れたものの可能性もありますが、筆の質量や印材コレクションの数々からして大変貴重なお品であるかもしれないと思ったのです。
そこで、すでに数件で2千円ほどになっていた最高入札額に、スパッと「15千円」を入れました。こんな価格で落札できるかは疑問ですが、安値でごちゃごちゃしているのを見るのが面倒なので、ともかく一定の高さまで早く到達してから最後の10分勝負と考えておりました。残り2,30分となって入札が増え始め、ほどなく15千円は評価1974点の人が上回りました。いよいよ戦闘開始であります。
その価格はすぐさまワタシが更に高値更新しましたが、次に評価「12151点」の方が参入し2万円を超えたのです。ワタシの評価点はわずか240点、これが2年ちょっと百数十万円のキャリアですから、単純計算その50倍の品物を入落札している「猛者・ラスボス」が殴り込んできたのです。すぐさまワタシは3千円ほど上乗せしました。ここからは心理戦、相手は残り落札時間2分を切った時点で新たに札を入れ、持久戦に持ち込みつつこちらにプレッシャーをかけてきます。一方高値更新した直後ワタシがより高い札を入れて、「勝負を挑み、これは何が何でも取りに行く」姿勢を見せようとしたのです。これでもう一人二人入ってきたら即刻ギブいたします。延々と高値更新のスパイラルになるからです。
相手の方はおそらくその道のプロ、ワタシなどに比べたら二けた違うお金を動かしているに相違なく、その気になれば一ひねりになるでしょう。しかし、商売でやっている人は、一方で冷静さがあり、熱気に憑かれた素人と際限ない入札合戦は、価値以上の高値をつかまされるリスクも熟知しているはずです。
結果、3度再入札を繰り返し、最後に25千円を入れて夜10時をとっくに過ぎていたので、結果を見ずに(それ以上の競争はワタシにとっても無益)眠ってしまいました。早朝目覚めてスマホをチェックしました。相手のラスボス「12151点」さんは22:07分に23,000円の入札が最後でした。そんなに欲しいなら譲ってやるわい、と素人に花を持たせたのでしょう(笑)。
「おめでとうございます!あなたが落札しました」
とメッセージが来て、めでたく、そして久しぶりの落札は23.500円でありました。考えてみれば12個の石なので、一個あたり2千円弱です。希少な石材・時代物の石ならば、いいものは数千円から数万円もするのです。ワタシがネットで後学の為にと、定価で買った0.5×1.5㎝程度の小さな鶏血石は15千円もいたしました。同じ大きさの練習用の寿山石なら100円位ですが。
見事作戦勝ちかどうかは知りませんがラスボスを倒した気分であります。お品が到着したら「鑑定」するのが楽しみであります。
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