植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

拉致問題 それでも責任は政府にあり

2020年06月11日 | 時事
横田滋さんが亡くなりました。日本で最も有名な一般人であり、北朝鮮の拉致工作の為に愛娘を失い、日朝の政府同士のはざまで翻弄され続けた半生を閉じたのです。

会見で二つ心に残った言葉がありました。
 一つは、妻横田 早紀江さんが、今際の際の滋さんにかけた言葉「天国に行けるのだから気持ちよく眠ってください、私が行ったら忘れないで待っていて」です。
クリスチャンであったご夫婦です。日本的な考えでは、死の床にあっても、家族は本人が亡くなることを伝えようとしません。むしろしっかりして、頑張ってと励ますかもしれません。それをあえて、夫に安らかに眠るよう声をかけたというのですから、早紀江さんの深い思いを感じました。また、数年前から「認知症」を発症した滋さんに「忘れないで」と言ったその心情を思うと、胸に迫るものがありました。

 もう一つは、めぐみさんの弟さんたちの強いメッセージでした。「何もやってない方が政権批判をするのは卑怯だ」という言葉です。
 安倍総理を批判するより、40年間何もしなかった政治家と、拉致問題を放置し続けたマスメディアを強く非難しました。
 まだこの問題が知られていなかった当時社会党は「拉致問題は存在しないと」として、議員は北朝鮮では歓待されたいたのでした。警察も自民党も長い間失踪者を、拉致と認定せずまともに探しませんでした。やっと小泉内閣の時にこれが明るみに出て、大きく事態が進展いたしました。敵地に乗り込んで、日朝首脳会談を実現し拉致問題の解決に取り組んだのは、その時の外務省と小泉総理の功績であります。 

 安倍現総理は、この時随行してはいましたが、ただの随行員、それがいつの間にか、拉致問題解決の立役者みたいなことを言っています。以来「拉致問題の責任者」を自認し、自分こそが拉致問題を解決すると言ってはばかりません。しかし、現実には、やっているというポーズだけはとっていますが、実はなんら具体的な進展はありませんでした。直接有って直談判することもせず、トランプさんに伝言を頼んだという程度のものでした。

 安倍さんは口先だけです。滋さんの他界に対する気持ちは「断腸の思い」だそうです。拉致家族にはほとんど大事な情報は伝えてこなかったようですが、そもそも日本政府や外交筋がちゃんと情報収集できているかさえ怪しいものであります。北朝鮮に対する外交ルートが細っているのでしょうね。

 何もできなかったマスコミも多くの政治家も同罪でありましょう。とりわけ、社会党の「妨害的な方針」で拉致問題の解決を遅らせた元凶とさえ言えます。しかしながら、国策を進める権力、巨額な予算の執行や外交的な決定権は「政府・与党」にあるのですから、進展がなかったと言う責は内閣が負うべきものだと思います。

 遡れば、豊臣秀吉の朝鮮出兵が歴史的な転換点、そして朝鮮併合、朝鮮民族の日本への強制移住・徴兵徴用などの負の財産が、領土・拉致問題、日韓・日朝との外交的対立の原点となっているのでしょう。朝鮮民族や国家に負い目のある日本政府は、戦後巨額な賠償金(解決金)を支払いながらも、どこまでいっても及び腰にならざるを得ないのです。パチンコ店・反社会的勢力などの日本に深く巣食う問題も、実は同源であるのです。

 横田夫妻は、ワタシの知る限りわが国で最も尊敬すべき見識を備え、穏当かつ毅然とした言動の方たちであったと思います。かつて、滋さんが北朝鮮側から、めぐみさんの自殺を告げられた時の嗚咽を忘れることが出来ません。
 そして冒頭の遺族の言葉の持つ意味をワタシ達日本人すべてが考える時なのだと思います。

 

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