植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

栄寶斎さんにはちょっと縁がなさそう

2021年03月30日 | 書道
 ヤフオクは毎日の夜の楽しみであります。ほとんどの出品物の最終時限が、夜10時ころなので、静かに推移していた入札価格がみるみる上がっていく時間帯なのです。常時、書道・篆刻関連の出品を検索しながら、ぐっと気になるもの珍しいものにチェックを入れウオッチリストに登録しておきます。
入札日までは、ネットで出品物の情報やキーワード・来歴などを調べて値踏みいたします。真贋の見極めも大事ですが写真だけでは判断できないので自分のよく知るジャンル以外のものには食指を伸ばさない様心がけております。

 ヤフオクを始めたころは、随分とお粗末なもの、まがい物を掴みました。こちらも知識がないので、安物ばかり入札しました。他の人がチェックすらしないようなものを単独で落札するので、期待外れの価値が乏しいものが届いたのが幾度もありました。最初は筆と硯中心でしたなぁ。おそらくは20万円近く費やしたのですて。硯は「端渓硯」が欲しいと思い、あっという間に硯が20個ほどになりましたが、真正の端渓は2,3個で、あとは「端渓の方で作られたような硯」という代物、おそらくは数多ある偽物端渓・中国のお土産物屋さんで売られているような変哲のない安物でしょう。

 書道筆も、10本千円、みたいな入札でしたから学童でも使わないような筆もたくさんありました。それでも、あるとき70本ほどまとめて中古筆が25千円ほどで落札出来たのが幸運でした。素人がまぐれでいい馬券をとったようなものです。届いたものを調べてみると値札が残っているものだけで50万円近い高級筆だったのです。それまでの負けをいっぺんに取り戻した気分、かなり使った勉強料がチャラになりました(笑)

 以降、古墨、そして本格的に書道用紙の大量落札へと移行いたしました。期待通りと外れが半々というところ、それでもワタシが落札するヤフオクの品物は原則中古品で、新品で買うものに比べたら半額以下なのでさほど痛手もなく、練習用に惜しげもなく使えますし、書道教室の子供たちに提供しているので無駄はなかったのです。

 最近では「篆刻印」関連がほぼ9割近くになりました。書道用紙・筆・墨・水滴・文鎮とほとんど網羅した結果飽和状態(笑)になったのです。今年年初から一気に篆刻モードに突入したワタシは、日常生活の優先度合いが1位篆刻、2位園芸、3位書道、4位メダカ、5位蕎麦打ちとなりました。毎日1,2個彫りそのための印材・書物・印刀・印矩・印床などをオークションで安く入手することが最優先ともなりました。印材については幾度かこのブログで紹介しておりますので、今回は割愛いたします。
 
 押印するための朱肉「印泥」も必須なので、一個千円で買った安物は置いといて高級印泥を求めてヤフオクを利用いたしました。印泥は、人様に篆刻印を差し上げるとき一緒に贈ると喜ばれるのです。
 この印泥なるものは辰砂という鉱物(無毒の水銀化合物)にもぐさやひまし油(ににたもの)に植物成分などを配合しているとされますが、基本は秘密なのだそうです。

 その一つが八宝印泥です。八寶は「珍珠(真珠)、瑪瑙、珊瑚、麝香、梅片、金箔、琥珀、猴 」で、これを加え北京製墨廠 というところが「一得閣」という屋号で出しています。これは、戦前に最高級と言われた印泥を作っていた一得閣 の屋号を使っているだけで中身は全く異なる質の悪い品物なんだそうです。書画で永代まで残るかもしれない名作に偽物の質の悪い印泥を押させるというのがいかにも中国らしいですね。

 そこで登場するのが「栄寶斎」であります。印泥を求めてヤフオクをさまよっているうちに、その名を見つけました。今でも北京の中央で営業する老舗中の老舗の書道用品だそうです。日本なら銀座鳩居堂といった感じですか。この名前がついた印泥は一個30万円ほどで出品されています。通常のまともな印泥の値段の2、30倍もするのです。当然今は同質のものは市販されていない数十年前の骨董品ではありますが、それだけ書道家にとっては垂涎ものの高品質の印泥だそうです。なにせ中国ですから、その模倣品も多いと聞きます。ネットでも模造品が1両装(30g)数千円で売られています。本物はワタシの入手できるようなものでもありません。

 前述の八宝印泥も、4個落札しましたが、当然ながら、本家一得閣のものでは無く、質が悪くなった安い方の最近の普及品であります。といっても品ぞろえでは最もグレードが高い「特級貢品」もありますので新品を買えば2万円以上もするのです。ワタシの書道や篆刻の腕では、このあたりでも十分といえます。

 昨夜は初めて見かけた「詩箋」という種類の書道紙の入札期限でした。これは中国で昔から製造されている漢詩を書くのに用いる紙、だそうです。吟箋や信箋とも言われ、花や景色などの透かしが入った便箋を高級にして半紙より少し小さいサイズにしたようなものです。今まで、色継紙とか料紙といわれる「仮名書き」用の美しい紙は沢山目にしてストックもあります。また、蝋箋とよばれる模様入りの半切もかなり所蔵しておりますが、これは持ってない!

 それで、4件ばかり応札しました。どれも6、70年ほど前に製造されている時代物で決して安くはありませんが、そうそう滅多に出品されるものでは無いのです。ネット販売もほとんど扱っていません。一件1万円の上限というワタシのルールは特例で破りました。かなりの入札が入って2件は落札、計28千円!、勉強料としてはちとお高いのですが、やんぬるかな、期待通りの紙であることを願うばかりです。詩箋「百華箋」合計331枚 で一枚当たり85円、ま、いいでしょう。

 そこで落札できなかった方のお宝が、1980年代 栄寶斎彩印信箋 6袋 というものでした。落札額は3万円でした。残念ですがこれはいた仕方ありません。予想通り「栄寶斎」と名がつくと値段が上がるのです。数日後届いたらブログに乗せることにしますか。

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