依然としてマスク不足は深刻なようです。
以前書いたのですが、普段マスクなどと縁が無かった人が多いのです。それが一斉にマスクを付け、しかも頻繫に取り換えるのですから、供給が追い付くわけないのです。ましてや、もとが中国からの輸入頼みでした。今は逆に中国が足りないくらいで、世界でマスク不足なのです。マスクに限らず、自動車部品や建設関連などの部材も中国からの輸入がストップしているので、国内での生産体制がすっかり停滞しているのです。
医療関係者すらマスクの供給が満足に行きわたらないと言います。都内では、検査実施数の増加に伴い、飛躍的に感染者数が膨れ上がろうとしています。一歩間違えば「悪夢」の武漢の再現になりかねません。医療現場が崩壊寸前とも言われています。
少なくとも、消毒用アルコールとマスク等は病院・医療・介護関係に優先して回すように組織的に取り組まないとなりません。それで、ドラッグストアやホームセンターには少しづつ入荷しているようであります。どこでもそれらしい張り紙があって、並べばお一人一パックは入手できるようになりました。しかし、そこには、朝から並ぶ老人の集団が出現しているのです。他にやることが無い早起きの年寄りが大挙してマスク買いに走っております。
確かに高齢者は重症化や致死率が高いので、心配なのははわかります。しかし、通勤電車で都内で働く現役世代、子供を抱えながらパートなどで生計維持する主婦たちなど、本当にマスクが必要な人たちは、朝から並ぶゆとりもないのですよ。どうしても、人が大勢集まるところに出向かなければならない人のマスクが無く、家で待機し、人と接触することがいかようにも避けられる年寄りがマスクしてどうするんですか。
マスクで、今回のウィルス感染がすべて解決するとは申しません。それぞれの個人が、常に用心して感染しないように心がける、体調を崩したら慎重に観察し極力人と接触しない、感染が判明したら、絶対人にうつさないよう対策をとる。その自分の努力の中でマスクを有効に活用するのが肝要なのです。
ワタシは、幸甚にもマスクのストックがありました。納戸にほとんど手つかずに置いてあります。人が大勢いるところに出かけるときだけちょっとして、また翌日使いまわします。ちょっと使ったものは日に干して、アルコール消毒します。この騒動の中、一度もマスクは買いません。どうしても、欲しいという身内や友人にはわずかながらも差し上げています。更に、パニックになるような緊急事態が生じたときに備えて、農薬散布用の化学マスクとゴーグルも取り寄せました。
今回の武漢熱が教えてくれる教訓はいくつもあります。例えば、物資調達が中国に一極集中することの危険。経済合理性や目先の利得に惑わされて、必要な備えを怠ることの危険。前例や組織の理屈などに拘泥して未知の脅威に対する対応を躊躇する危険。人権や個人の自由も時には制限する必要性。危機が迫っているときに必要な行政からの強権発動、などでしょう。
あのプーチンさんが国民にこう言ったそうであります「3週間家に待機するか3年間の懲役かどちらか選べ」と。独裁国家がいいとは申しませんが、独裁的に社会を動かせるのはこうした切り札があるからなのですね。
今年2月初め、もし、総理が3週間、すべての経済活動を停止させ、日本人全員に自宅待機させたら、こんな事態にはならなかったのです。単純計算で、18/366、つまり5%弱の損失・減少で済んだのです。
真に必要な時、必要なだけあれば良し、無ければそれなりに工夫する。無いものねだりしてもせんないことです。自分が手にできなかったら、代わりに誰かが喜び助かる、その位の心がけも時には必要でしょうね。おじいさんおばあさん、毎日ドラッグストアで並ぶのはやめてね。もし寿命が尽きた時、遺品整理したらトイレットペーパーとマスクが山ほど出てきたなんて悪い冗談ですよ。