外国人の収容や送還のルールを見直す「出入国管理法改正案」が今国会の採決を断念した。
いろいろ問題点のあった改正法案だったから採決断念は歓迎したい。
しかしいろいろな問題点が生煮えのまま先送りされた。議論を尽くすべき点は多々ある。
◉日本は外国人受け入れに消極的な単一民族国家(多くの国民の意識)で生き残りが出来るのだろうか?
在留資格のある外国人労働者数はすでに160万人を超えている。
日本政府は真正面から移民問題に向き合わず、技能実習生などという名目で受け入れてきた。
この国はいつもそうだが、まず最初に方針があって動くのではなく、なし崩し的に実績を積み上げることが先に来る。
このやり方は必ず「現場」にひずみがでる。
◉スリランカ人死亡問題は、現場のやり方は論外だが、人権保障という原点を忘れた日本政府が責められるべき。
英エセックス大人権センターフェロー 藤田早苗さん (朝日新聞)
「司法のチェックや収容期限もなく、在留資格のない外国人を全員収容する日本の入管政策に対しては、国連の人権機関から繰り返し厳しい勧告がなされてきました。閉ざされた空間に収容した外国人の人権を尊重しない国が、さまざまな社会的弱者の人権を尊重してくれるでしょうか。入管問題はその国の人権保障のバロメーターなのです。」
逆の視点から言えば、日本人の(それも強者の)人権は必要以上に守るのに、外国人(アジアの人や低開発国の)人権は全く無視する。
しかも低賃金でこき使っても心の痛みは感じないようだ。
小泉・竹中政権以降、自民党・公明党の連立政権は、日本人の中にも分断を作り出した。
非正規雇用という人権無視に近いやり方だ。
この国は根本的に「洗濯をし直す」必要があるのではなかろうか。