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九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「斉藤元彦氏は知事を辞めるべきだ」  文科系

2025年04月14日 21時48分40秒 | 国内政治・経済・社会問題
 標記のことは、当然のことと考えてきたが、彼にその素振りが微塵もなくて、驚きを通り越して呆れている。以下の理由からだ。

①公益通報者を探し出し、「公務員失格公務員失格」と言い返して、個人メモまでを公表してその人格攻撃をなし、懲戒処分を行った。
②通報者を探し出したことも、通報を「嘘八百」などと断じたことも、懲戒処分も、全て違法だと、兵庫県第三者調査委員会が報告した。通報された「パワハラ」のうち、一〇件が事実パワハラであると委員会報告で認定されたことが、これら全ての根拠になるはずだ。
③こういう大悪行の結果として、二人の人間が死んでいることを、今斉藤氏は一体どう考えているのだろう。

 この大事件が「通報者の自殺」という形でだけこのまま済まされていくとしたら、公益通報制度とはなんだったのかということにしかならない。百条委員会出席を命じられて、その出席の前に自殺されたのだったが、こんなことが放置されたままなら、制度そのものが無意味になるどころか、有害制度になるということだ。それを承知で居直っている斉藤元彦氏に公務員の資格があるとは到底思えないのである。それどころか、「権力を笠に着た極悪人」を生み出した制度? かくて、公益通報は日本中で敬遠されて「極悪人の勧め」?
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「木を見て森を見ない」トランプ関税  文科系

2025年04月10日 22時30分41秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 個人でも団体などでも、ある策をなす場合「今とここ」しか見えぬ策を愚かという。逆は「長い時間を見つつ、できるだけ広い空間に目を配る」のが賢い策の条件。
 
 トランプが、報復関税をしなかった国には90日間関税執行を停止すると打って出たが、これは逆を言えばこういうことだろう。
「報復関税をすると言い返してきた国がこれだけ出るとは!(驚いたもんだ!)」
 先ず、お隣のカナダ、次いでEU27か国、そして中国。

 この光景を見て驚く。おべっかと恫喝で商売してきたこの男は、相手が高飛車に返してくる経験が少なかったのだろう。これだけの国が報復関税をかければ、アメリカの輸出は総体としてどうなってしまうのか。お得意の兵器も売れなくなるだろうし。
 そもそもトランプは、この関税策を説明する時に「各国別対米輸出入、アメリカの赤字表」を掲げて「赤字が多い国に関税を多くする」という説得に出て、いかにも自信ありげであった。これは「アメリカ対各国」、1対1の説得視点なのである。こういう説得には、「全体を観る視点」が全く欠けている。「この米貿易赤字国が全体で報復関税をしたら、アメリカの輸出がどれだけ少なくなるか」などはほとんど考えていないのだろう。それを見始めた時にあわててやったのがこれ、「報復関税をしない国は優遇しましょう」。

 また、長い時で見ればこんなこともある。世界の消費よりも供給が多くなりすぎるのが、資本主義経済。すると定期的にものが売れず、デフレ気味になる。そのときに出て来たのが貿易保護主義とかブロック経済で、これは世界恐慌などたいへんな不況を招いて、二つの世界戦争に繋がってきたという歴史がある。戦争の前には、世界中の株価が暴落するのだが、トランプは果たして、その身勝手な関税政策が直ぐに株価暴落を招くと、計算していただろうか。現在の新自由主義経済の主流貿易の中には、金融の貿易(海外投資)もあるのだし、米海外投資はどうなるだろうかと言う問題意識である。

 僕にはトランプが、以上のようなことを考えてきたとは到底思えないのである。4日のここにエントリーしたが、ノーベル経済学賞を受けたポール・クルーグマンが「トランプは狂っている」と述べたが、以上のようなことも含まれているに違いない。というと直ぐにこんな反論が出るだろう。「トランプの周りには、賢い人もいるはずだ」。こう語る向きには、同じクルーグマンのこういう言葉を返しておこう。
「トランプの周りは、イエスマンばかり」
 裸の王様と「そう指摘しない周囲」という光景なのである。

 

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「台・中問題」、日本に欠けた視点   文科系

2025年04月06日 09時58分04秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 標記のことで、マスコミ論調がかしましいが、僕がどうしても言いたいことがマスコミ論調に欠けていて、気になって仕方ない。
 アメリカも日本も「中国は一つ」、「正式政府は、大陸の側」とは、ずっと認め、明言してきたことだ。つまり、大陸政府が国連に認められた国家なのであって、台湾も大陸側政府の管轄の内のもの。台湾現政府は、大戦末のどさくさに大陸の一部勢力が武力征服・分裂して作ったものである。言い方を変えれば「一部勢力の暴力革命による分裂国家」が台湾政府の起源なのであった。だからこそ、日米ともに、台中問題は、こう語るしか無かったのだ。
「力による一方的な併合は、これを認めない」
 こう言われると僕は、こう応えたくなる。
「では聞きたい。『一つの政府』という国連公認の正論の方はどこに飛んで行ってしまったのか?」

 一例、中国の軍艦が台湾を回ったところで、これは正式には自国領海内を示威行進しているだけなのである。これが台湾を襲ったら初めて「すわ、力による統一戦争を始めた!」と言いうるのだろう。ちなみに、この「武力による一方的統一=併合」は、やはり許されないと思う。と、こういう厄介な國際的問題で「いざとなったら、日本は台・中戦争の最前線に立て」などと米高官から現に指示されているが、こんなのはご免被りたい。こう言われるのも、日本政府が「敵基地攻撃能力を持つべし」などという策を実践してきたからなおさらなのだ。この政策は、中国を念頭に置いて取ってきたからこそ、日本政府は、アメリカに利用されるだけのようで、怖い怖い。こんな厄介な歴史的問題にどうして日本はこれほどに突っ込んで来たのか。いまや専守防衛ならぬ、航空母艦まで作ってのことである。商売理由で戦争し始めたら、貿易保護主義が始まった現在、戦争連続国に堕していくことだろう。
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トランプの支離滅裂   文科系

2025年04月04日 08時25分05秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 トランプのポピュリズム政治は、無知で支離滅裂な「思いつき」だけ、「いずれ重大な破綻を来す」と見ていたが、今日の毎日新聞にそれを証明する記事が載っているので、紹介したい。ノーベル経済学賞をもらったポール・クルーグマンによるこんな見出しの記事だ。
『相互関税「狂っている」』

 この記事の主要部分は関税をめぐるトランプの発言三つが、相互に矛盾するもので、全部あわせると「完全に支離滅裂」と断罪している。この三つの「行き当たりばったりの(いいとこ取り)発言」とはこういうものであるという。
①外国企業が関税コストを吸収するため、物価は上がらない。
②米国内消費が、国内製品に流れていく。
③巨額関税収入が得られる。

 つまり、①が成り立てば②は起こらず、②が起これば③は起こらずということになると、クルーグマンは述べているのだ。これは、トランプが時と場所でいかにそのときだけ、合わせると支離滅裂なことを喋って来たかという実証になっている。世界経済にせよ、世界史にせよ、いわゆる一般的教養が無いのである。だからこそ、「良いとこだらけの、矛盾だらけ」を平気で語れるわけだ。彼のディールは、強いものにはおべっかを使い、弱いものには恫喝で迫ると、そんなことしかしてこなかったのである。

 そもそも、先の二つの世界大戦は、保護貿易主義、ブロック経済がもたらした世界恐慌から起こったものだ。これは高校世界史でも習う世界政治史の常識である。戦後世界経済をしばらく導いたケインズ(需要重視)経済学は、この教訓から生まれたものだ。トランプはこういう知識すら無視できるとしたのか知らないのか、とにかく怖いもの知らずなのである。こういう人間の下に集まる人々がまた、スノッブなイエスマンばかり、「この先は、怖い怖い」とも、クルーグマンは語っている。

 さて、この先にトランプと世界を待っているものは何なのか? それにしても、こういうトランプ関税に対する日本政府の対応の酷さはどうだ! 「日本だけは例外にしてくれ」という世界で唯一のお願い路線国なのであった。国として最大の「トランプ・イエスマン国」。

 ウクライナ政策も「支離滅裂な狂気」の技なのだろう。早くも、プーチンの手の内で踊り始めている兆しがある。これも、ノーベル平和賞狙いが外れたということだろうが、ガザ政策に至っては文字通り狂気の沙汰ではないか。



 
 
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「体育」のお付き合い   文科系

2025年03月27日 15時14分09秒 | 日記
 男孫のセイちゃんが4年生末の通知表を僕に見せる前、誇らしげに言う。
「僕は、体育も音楽も図工も得意でしょう?」
直ぐに確認すると、その3科目とも3点ずつの評価点があって、その合計9点全てが二重丸。他の科目はこれほど良くはない。
 この娘夫婦は3年半程前から別居状態、娘の側から離婚前提で別居していて、歩いて10分ほどに住んでいる僕が言わば父さん代わりをしてきたので「ジイちゃんが、父さんなんだよね」と語るセイちゃんである。そのたびに僕が言い聞かせることがこれ。
「いや、父さんはちゃんと居るんだよね。土日ごとに君と二人で遊びに出かけて、君が父さんの実家に泊まってくるんだし」

 ともあれ、話は彼の成績についてだ。娘も僕も、この3科目の満点が将来的学力についても非常に重要なことだと考えて来た。小学低学年で成績のよい子が、学年が上がるにつれて落ちていく例は多い。勉強は記憶力だと考え、ガリ勉を習慣づけられた子などに多いようだ。逆に、低学年では目立たないが、学年が上がるにつれて「全般が良くなっていく」子に、この3科目が真っ先に伸びていく子が多いのである。物事をいろいろよく考えて的確に、楽しみながら努められる子だからであろう。この3科目についてはまた、これらの上達(の過程や原因、コツ)が、単なる点数アップのように抽象的なものではなくって、子どもの目にも手に取るようによく見えて、子どもでも分かるものだということが重なっているのだろう。
 僕は、彼の自薦、自負の内容に合わせて、こう応える。
「うん、この三つの好成績は、特にとっても良いことだ。セイちゃんこれから、全部がどんどん良くなっていくよ!」
 そう言えば近頃、いろんな上達を僕に話してくれるようになった。通っている体操クラブの「名古屋東部」連合運動会で、3,4年生の跳び箱の部優勝を果たしたのだが、横置き箱15段の歴代4年生最高記録に並んだのだった。この時の僕は、娘にこう解説したものだ。
「セイちゃん、公園で一緒に遊んでる時に何気なく立ち幅跳びを見せてくれたけど、すごいんだよ! いろいろ聞いたら、最近学校の体育でやっていて、2mを超えたって! 学年ただ一人の2m超えだそうだ」
 ちなみに、学校教育用跳び箱の15段に並んでいる写真を見たが、セイちゃんの身長よりも4~50㎝も高いものだ。

 また、学童保育のドッジボールについて、昨日こんな報告もあった。
「最近は、上級生のボールも受けれるようになって、怖くなくなったよ! じいちゃんより速いボール投げる子もいるんだよ! 6年が一人、5年に二人」
 そんな報告を受けていると、最近のこういう情景も思い出した。この一年ほどある都市公園の懸垂器具に上がらせてきたが、今はきちんと正式に4回をやりおおせるのである。脚も上半身も強い子なのだ。跳び箱技術でも、下半身だけではなく上半身の振り上げが重要なはずと、直ぐに思い至ったものだった。

 子どもとの付き合いは僕には楽し過ぎる。息子、娘ともよく、楽しくつきあってきたそのときの学習が、そのまま84歳になる今に生きているのである。
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 「春」と音楽  文科系

2025年03月25日 07時04分59秒 | 文芸作品
 今、我が家の庭は春爛漫。日に何度も立ち入っていく。最初が三本の梅。僕の背よりやや高いところに畳二畳ほどに広がった一重の白梅、ちょっと日陰にあってまだ小さい八重の薄桃、そしてもう一本は、五メートルほども空に突き出した茶筅型の枝々に八重咲きの紅梅花を数珠なりに付け始めてまさに満艦飾。庭いっぱいに広がったこれらの香りがまた、楽しい。梅が散った頃の今は、八重紅梅の根元、居間から向かって右近くには、二本の木瓜が、今まさにこの花らしく、これも深紅の満艦飾。一本は亡くなった母と連れ合いとで、稲沢の植木市まで出かけて探し回ったお気に入りの暗紅色を見せている。そして、左の深紅木瓜の左隣に、今ユキヤナギが咲き始めた。ユキヤナギの左斜め後ろの日陰には、ほぼ満開の沈丁花が見えている。
 さて、この二本の木瓜が真正面に見える居間の奥に、僕のクラシック・ギター練習場・椅子が据えてある。僕はここで去年の秋からずっと、タレガ作曲「アルハンブラ(宮殿)の思い出」の練習に明け暮れて来た。トレモロ技法を使うこの難曲には、定年後二十年を超える教室通いのなかで確か四回目ほどの挑戦なのだが、今回やっと人前で弾けるかという出来にまで、何とか仕上がってきた。先生と同門親友とのお二人の前でご披露できたのだから、なんとかそう言えるのである。4回目の挑戦でとうとうここまで来たかという、その喜びはちょっと言葉では言い表せない。クラッシックギターというこのマイナーな和音楽器の世界では、「禁じられた遊び」と並んで広く世間に知られたこの名曲は格別な存在なのだ。

「美しい」ものがあるから、なんとか人間をやってこられて、身近に迫っている死も淡々と迎えられるようになった気がしている。到底対比にはならないが、人生にとって美の意味はということで、こんなことを度々思い出すのである。ゴッホは、生前一枚も売れなかった絵を次々と生み出して極貧の中で自死した。シューベルトは、作曲と友人らとの演奏とに明け暮れて、栄養失調で死んだのではないかと聞いたことがある。病床の晩年、そのシューベルトにただ一度だけ面会したベートーベンは、「詩の自然な音楽的表現」において彼を激賞したのだった。「冬の旅」や「美しき水車小屋の乙女」など歌曲集を何度も確認し、こう評していたのである。
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世界一引っ張りだこ日本人フットボーラーに思う   文科系

2025年03月20日 09時16分22秒 | スポーツ
 三苫薫が、世界の脚光を浴びている。リバプール、マンチェスターユナイテッドなどイングランドの3強豪の他、独仏トップの2強豪バイエルンとパリサンジェルマンまでが、彼を採ろうと猛烈な競合を演じているようだ。所属チームブライトンは、彼との契約更新にチームの浮沈を賭けているようだし、この評価の高さはなぜなのか、日本人ファンには理解がなかなか難しい問題のようだ。そこを解明してみたい。
 サッカーの強豪理解はとても難しい。難しい理由は、攻撃と守備が組織・チームで行われ、そういうチーム戦略が絶えず進化していくからなのだ。野球の投手や、四番バッターのような立場はなく、点取りに目が行きすぎたチーム組織は失点が増え、失点に目が行きすぎると得点できないと、そんな組織ゲームだからだ。言い換えればこうなる。
「守備に穴をあけぬ得点手段が欲しい」
 ところで、サイドからの得点手段を持つ選手が、ぴったりこれにはまるのである。とくに三苫、伊東純也、中村敬斗のように足が速くてクロスが上手い選手が、彼ら個人で攻撃手段、攻撃戦術になりやすいのである。短時間に、個人で得点チャンスを作ってしまうからだ。サイドの薄い敵防御網をスピードでぶっちぎって、シュートまたはアシストに繋げるのである。コンパクトプレスが進歩した敵の防御網に引っかかりやすいドリブル・パス攻撃よりは、現在全盛の「短いカウンター」を食らう危険度が極端に低くなるということだろう。その意味では、左三苫・右伊東純也と左右にスピード・ウインガーがいれば相手も左右にDFを配置せねばならず、中央が空くから正確なクロスも狙いやすくなるのだ。左三苫・右伊東って、実に相性が良いし、左がクロス狙いならば、右は堂安、久保のようなパス・ドリブル攻撃でも良いわけだ。

 こうして、スピードのあるサイド選手は、今どこからもモテモテの時代なのである。長友や中村敬斗、菅原も、DFとはいえ、そんな強みを持つ選手と言えよう。2014年ブラジル大会で、監督ザックがサイド攻撃重視を命じたのに、選手らが中央からのパス(繋ぎ)攻撃に拘って来た末に惨敗したことを今度々思い出すのである。遠藤(保)とともにこの中央攻撃に拘ってきた本田が、こう述べた大会であった。「サッカーという物がとんと分からなくなった」
 弱いチームが強いチームに立ち向かうときの最重要攻撃手段と言えるのだと思う。

 

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二つの画期的癌治療法を体験して   文科系

2025年03月13日 10時42分49秒 | 日記
 癌による膀胱全摘出手術の定期的事後観察診察に今日行ってきた。CT検査などを事前にやっておいて三ヶ月に一度ある診察なのだが、今日も「異常なし」。ただし、この診察には僕はいつも、結構「不安なし」なのである。というのも、手術の後に定期的にオプチーボという新薬を定期的に点滴してきたからだ。医者はこの類の薬による治療法のことを普通名詞では「免疫チェックポイント療法」と呼ぶが、その理屈はこういうことだ。ガンは人間の免疫力を避けるべく、人体免疫機能を阻害する防壁を作って大きくなっていくものだが、その防壁を取っ払うというか、壊す薬なのである。京都大学の本庶佑先生がノーベル賞をもらった薬であって、医者たちも「癌治療のゲームチェンジャー」と呼んでいるもので、この薬だけでがんが消えたという例すら存在するといわれてきたものらしい。これが7年前だかに保険適応になってどれだけの癌患者が助かってきたことか。ガン患者というものは、術後も5年ほどは再発を恐れるものだが、この悩みが皆無とは言わないが大きく消える療法なのである。

 僕は16年には前立腺がんもやった。そして、この時は陽子線(照射)日帰り治療に通って治したものだった。僕はこれを高度医療保険に入っていてそれを使ったのだが、これがまた画期的な療法なのである。放射線というのは、周辺にも当たり、副作用が大きいのだが、陽子線治療は前後左右に当たることが極めて少なく、癌にピンポイントで当てられるという特徴がある。つまり、周囲を傷めないから、患部だけに強い照射もできるのだろう。ちなみに僕の場合、前立腺照射なのだったが、男性機能については何の害、後遺症状も出なかった。手術当時74歳だったのだけれど。名古屋ではこの治療は今は保険適応になっていると聞いている。このような機械は、一刻も早く全国的に普及するといいと思うばかりだ。 ただしこの治療は、その本質的性質上、よく動く臓器の癌には使えないということも付け加えておかねばならないだろう。つまり、ピンポイントで照射するから、体なども厳重に固定してこれがなされるものだ。と言っても、この固定は何の苦痛もないものであった。



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老いの身の音楽と「庭」  文科系

2025年03月12日 09時48分00秒 | 日記
  丸20日もエントリーをお休みした。殆ど僕一人が書くようになってからでも、初めてのご無沙汰だ。なんせ、2日書かないと言うのもほぼないことだったからである。その原因は分かっている。物を書く頭脳が退化するとともに、その気力も無くなって来たからだ。それは、所属同人誌の作品を書くことも困難になっているから解るのである。膀胱癌手術後にランナーを断念させられて(22年9月の全摘手術の後もランナー復活を遂げた末の、23年の5月のことである。)、下半身が衰えるに連れて、そんな頭脳になってきたと痛感しているのである。「歩くことが若さを保つ」って、実は頭脳も含んでのことなのだ。人の活動には、生産的と消費的とがあると思っていて、前者が無くなった分後者が増えていて、本読み、テレビなどの時間が増えてしまった。この場合の本読みとは、ただ漫然と文字を追っているだけに近いそれである。ただし、物書き活動が減った分の一部が、ギター弾き・レッスン時間増に繋がってきたとは思う。おかげで、「アルハンブラ宮殿の思い出」が初めての「一まず完成」を迎えて、現在は大曲「大聖堂」全3楽章の復習・完成に努めている。今回はこれも、「ひとまず完成のもう一歩上」へと目論んでいるが、何とか実現できるだろう。僕が言う「ひと先ず完成」とは、「演奏会で弾けるほとんど手前まで来た」という意味である。音楽演奏、和音楽器演奏って、自分で演奏の腕を上げつつあるものを自分で聴いているという特徴があるわけで、そこが親しめて、面白いのだろう。今の老いの身にある僕にとってのギターは、とても大きな精神的救いになっているわけだ。

 さてそしてもう一つ、我が家の庭の春を楽しんでいる。はじめ白梅が、次いで紅梅がまさに満開になっていて、今は2本の紅い木瓜も咲き始め、毎日眺めて楽しんでいる。白い方は僕の身長を優に超える高さに畳二畳ほどの広がり、紅梅の方は5mにも延びた枝の多い大木である。こんな花を咲かせるなんてと、「土と太陽の威力には、驚くね!」と、これは連れ合いと毎日交し合う言葉。

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ウクライナ戦争の終結が見えてきた   文科系

2025年02月20日 10時50分05秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 トランプが、ウクライナ抜きで対ロ停戦交渉を始めた。日本人でも当然、この態度には怒り心頭の投書などが続いている。ただし、その理由をトランプはこう叫んでいる。
「ゼレンスキーは、大統領選挙をどんどん延ばして居座りを図っている独裁者である」
 居座りを図るだけでなく、独裁者らしく軍部とも数々の確執を生み出して、司令官などの「首のすげかえ」を数々引き起こしてきた。

 さて、2022年にこの戦争が始まった時にここに載せた二つのエントリーを今改めて再掲したい。ロシア侵入が突如始まったときに書いた物だ。この戦争の人類史的重要さから、どうしても総括が必要と考えるからである。なお、トランプの停戦条件は、ナト加盟なし、東部一部地域にはウクライナは手を出さない(暫定的な独立を認める)の二つになるようだ。この大昔の2014年から続いて無数の死者を出し続けてきたウクライナ東部の内戦もきちんと終わると良いのだが、あの地区のウクライナ側に多かったネオ・ナチ(と戦前に、日本外務省も呼んでいたアゾフ連隊らのこと)の一群も静かにしていると良いということだ。


『 歴史的戦争犯罪と一つの謎  文科系  2022年3月1日

ウクライナ問題見通しでは、僕がここに書いてきたことは完全に誤りとなった。ロシアがウクライナに侵攻することはないとずっと述べてきたからだ。ロシアは、今後長きに渡って取り返しがつかぬと思い知らされることになる重大な国際戦争犯罪を犯した。そもそも、このロシアの戦争は、その原因であるとロシアが述べてきたはずのウクライナのNATO加盟を正しいものであったと事後に証明したことにしかならないではないか。それほどに、ロシアという国が国際的無法戦争国家だという証明を、この戦争がしたことになる。また、今時こんな無法戦争ができるほどに、ロシアがプーチン独裁国家だとも証明したことになる。
 ただ、この戦争勃発にはサッカー選手本田圭佑もネット論議を呼んでいたように、ロシアにも長く居た彼は、事前にこう述べていた。
 『 プーチン大統領の記者会見を見たけど、もうウクライナがNATOへの参加拒否するしかないなという感想。僕が知ってるロシアのリーダーってのはここからの交渉は一切通用しない。「解決のために窓口は開いてる」というのはウクライナがNATOへ参加しないという1択しか受け付けない窓口やと思ってる』
 この同じ事を、元外務省国際情報局長・孫崎享もそのネット記事でこのような歴史的解説をしていたのである。
 『ウクライナ問題の根幹は①ウクライナのNATO加盟問題と②「ドネツク」と「ルガンスク」の独立問題。西側が真に沈静化を望むなら、かつて米独が約束した通りにNATOを東方に一段と拡大しない、ウクライナへの加盟は露の理解得られるまで棚上げと約束することだ。』
 さて、今回ウクライナは、本田の言うように、どうして対ロ約束を破って加盟しようとしたのか。さらには、ゼレンスキー大統領は、開戦前夜の最後までこのふたつのことをどういう根拠で述べていたのか。
「NATOには加盟する」
 「ロシアの侵攻は絶対にない。あるという人はその証拠を見せて欲しい」
 今となっては、元俳優であった政治素人のゼレンスキーが、誰かに「侵攻はない」と信じ込まされていたとしか思えないのである。僕もまた、このゼレンスキーの見方に賛成だったことになるのだが。
 そして「東部でいくらいざこざを起こしても、ロシアは攻めてこない」と、盲信していた
 
  戦争を起こしたロシアが歴史的な戦争犯罪を犯した。が、それは前提として、ウクライナはどうして、国際的約束通りにNATO加盟棚上げを継続すると改めて表明し直さなかったのか。今となっては、これだけが明確に戦争を避ける道だったのだけれど。』


『 騙されたウクライナ大統領  文科系  2022年3月13日

 3月1日のエントリー「歴史的戦争犯罪と一つの謎」にも標記のことを書いたのだが、この内容は今一層確かなものとなった。ウクライナ大統領は今になってロシアの交渉条件を呑むと言いだしたのだから。NATO加盟を延ばし、ドンパス地方の一定の独立性を認めようというように。今これだけの譲歩をするというのなら、ロシア侵攻以前にどうしてこんな言葉、方針を表明し続けていたのか。1日エントリーに書いた問題部分を改めて抜粋する。
『 さらには、ゼレンスキー大統領は、どうして最後までこのふたつのことを述べていたのか。
「NATOには加盟する」
「ロシアの侵攻は絶対にない。あるという人はその証拠を見せて欲しい」
 今となっては、元俳優であった政治素人のゼレンスキーが、誰かにこう信じ込まされていたとしか思えないのである。僕もまた、このゼレンスキーの見方に賛成だったことになるのだが。「ウクライナがNATO加盟を図っても、ロシアは攻めてこない」 
  戦争を起こしたロシアが歴史的な戦争犯罪を犯した。が、それは前提として、ウクライナはどうして、従来の国際的約束通りにNATO加盟棚上げを継続すると改めて表明し直さなかったのか。今となっては、これだけが明確に戦争を避ける道だったのだけれど。』

 これと同類の歴史的事件って、日本も起こしたと記憶している。太平洋戦争前夜に日本が中国南下から仏領インドシナ進出に打って出た時、アメリカの出方を見誤ったという事件があった。これが、アメリカの対日石油禁輸措置を呼び、そこから「じり貧を避けた乾坤一擲・真珠湾へとまっしぐら」になっていったという事件である。』
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「安倍晋三元首相の暗殺問題」  文科系

2025年02月17日 17時18分26秒 | 国内政治・経済・社会問題
 以下は孫崎享著「私とスパイの物語」から、抜粋した疑惑内容である。なおこの本は、著者の英国陸軍学校(へ外務省から派遣された)時代から外務省国際情報局長などを経て防衛大学校教授時代までの各時期に出会ったスパイのことを描いているが、表題のことは最終章の防衛大学校教授時代の章に記されたもので、銃撃当日の治療に従事した奈良県立大附属病院での福島英賢教授の記者に対する説明によって生まれた疑惑を書いている。

『(教授は、)「頸部前の付け根付近で真ん中より少し右に2つの銃創があり、一つは左の方から貫通して出たとみられる」と説明していた。』
 以下、教授と記者の質疑応答では、こんなことが明らかにされている。
『背後から銃撃を受けたという話があるが、傷は前側に付いていた?
「はい、前頸部です。後ろに傷はありませんでした」

『2発とも前から入って、片方は左肩にというのは、左側の後ろということですか?
 「前というのは場所が前であって、どういう方向で入ったのかは、横からかも知れません。ただ、傷は前にあった」 
 射出口とみられる傷は、後ろ側なんですか? 「左肩の前の方です」(中略)
 今のところは、入ってきた部分が頸部のどちらかの傷で、最終的にはおそらく心臓と肩口から1個ずつ出ていったように見られるということでよろしい? 「今のところはそう考えていますが、また専門家が見られると違うかもしれません」』 

 なお、犯人とされた山上は元首相を後ろから撃っているのである。国民殆どが「テレビ画面の射撃映像」を見て、知っているように。だからこそ、記者らの質問が厳しく出されたということだ。ちなみに、死因はもう一つの弾丸が心室を突き抜けて起こった失血死と説明されていた。

 ちなみに、この本についての大きな書評になるが、孫崎の今の政治的立場は、アメリカ外交と、これに従属した日本政治とに反発して確立されたものであるようだ。イラク戦争など、アメリカの謀略工作などを知り抜いているからこそ、確立された態度なのだろう。

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「日本プロ野球は興業」  文科系

2025年02月12日 15時15分15秒 | スポーツ
 横浜とソフトバンクの日本シリーズ? 日本プロ野球も苦労しているねー。なんせわずか12チームが二つに分かれて毎日試合してるんだから、一つでも人気の無いチームが出たら、リーグ全部が沈没だ。そこで、こんなことが起こる。ずっと弱く人気の無いチームも時々脚光を当てなきゃ、全体が全部沈滞していくから、クライマックス・シリーズとかも使って、持ち上げる。福岡はともかく、横浜と日本ハムね。そして、「横浜の日本一」??? 横浜の後半四連勝の福岡の得点は1,0,0,2?? これらは全部、スポーツゲームというよりも、興業行事なのだという証明になると思う。

 なんせ、日本プロ野球史上有数の名監督・落合をどこも監督にするところがなかった日本野球界だ。あれは明確に、中日が先頭に立って興行的理由でやられてきたこと。落合が強くした選手達の給料が払えなくなったからだ。落合はまた、親会社の中日新聞社も含めて、マスコミ嫌いが徹底していたし。日本プロ野球がスポーツと言うよりも興業であることが示されている。
 サッカー界であれば、落合のような監督は大人気の引っ張り合いになったはずである。ペップやクロップを日本代表監督にしようとしたら、何十億かかるだろう? つまり、日本プロ野球がスポーツ界であるならば、落合にはそんな値段が付いたはずだ。そんな監督を、どこも呼ぶチームがなかったなんて、スポーツの世界としては信じられないことである。

 ちなみに、これからのスポーツマスコミは、「サッカー人気落とし」にどんどん傾いていくのではないか。ナンバーWEBなども含めて、サッカー界の醜聞がどんどんあげつらわれている。プロ野球界では上らないような細かいニュースまで(多分、もみ消されているのだけれど)が続々と出てくるのである。ちなみに、日本サッカー世界の映像が、ダゾーンに独占されて以来、日本サッカーは日本スポーツ・マスコミの敵になってしまった。以来、日本プロスポーツ(マスコミ)界の野球帝国主義の強さがさらに目に余るようになったのである。  
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1980年代からの「資本主義の変化」について   文科系

2025年02月10日 15時14分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 僕がこのブログなどで、「金融株主資本主義」などと批判してきたのは、資本主義一般についてではない。丁寧に読まれた方は、「需要サイド経済ではなく、サプライサイド経済批判なのだな」と受け取ってくださったはずだ。が、この内容が意外に多岐にわたっていて、理解しにくいものと考えていた。それで、以下の文章を書く次第だ。その内容は、ここでも書評紹介をしてきた「スティグリッツ教授のこれから始まる『新しい世界経済』の教科書」などから、受け取らせていただいた。

 ここの読者の方々は、こんな言葉と、語られ始めた時期をご存じだろう。
「大きな政府から小さな政府へ」
「福祉国家はもう終わりだ」
「規制緩和大歓迎」
 こういうことが大音声され始めたのが、1970,80年代から。この時にまず英米を先頭に起こったことはなんだったか。戦後世界経済を導いたケインズ経済からサプライサイド経済へと変化させてきたことだった。そこで実践され始めた理論方向は、スティグリッツによればこういうものだ。

「需要に焦点をあてるケインズ学派とは対照的な理論。サプライサイド理論は、税率の引き下げと事業に対する規制緩和でインセンティブを高めれば、労働や投資や起業の増加につながり、さらには雇用や所得や税収の上昇というトリクルダウン効果をともなって力強い成長につながると想定した。予測ははずれ、この理論は経済学者達からの信用をほぼ失うことになったが、一定の保守的な政治家や理論家のあいだでは今も好まれている」(P44)

 19,20世紀前半の世界恐慌(二つの大戦の原因にもなったものだ)を反省したケインズは、「国家が通貨を緩やかに増やすことによって、緩やかなインフレを起こせば賃金が上がり、需要が増えて恐慌が起こりにくくなる」と考えた。そして。この理論が戦後世界各国の経済を導いてきた。これが、20世紀後半に各国を悩ませたスタグフレーションを機に、サプライサイド理論が世界を席巻し始めたのである。これが世界を席巻し始めたと、上記の文章後半のようにこういう事態が起こったわけである。
「税率の引き下げと事業に対する規制緩和でインセンティブを高めれば、労働や投資や起業の増加につながり、さらには雇用や所得や税収の上昇というトリクルダウン効果をともなって力強い成長につながると想定した」
 ところが、この供給サイド経済が実際に生んだのは、低賃金や不規則労働に、数々のバブルだったのである。住宅バブル、ITバブル、アメリカと世界をいったん沈没させたサブプライムバブルなどなどで、株の空景気はあっても、麻生、安倍など政府首脳がいくら「賃金上げて」とかけ声だけは叫んでも上がることはなかったのである。株価にしても、長期に会社の力を高めるような株主よりも、短期株主が「食い逃げ」「逃げた後は空っぽ」を旨とするような時代がやってきたのだった。金融利益は課税されず、知的財産権、貿易協定、医療制度なども独占を勧めるばかりで、庶民の役には立っていないどころか、庶民から搾取する制度に堕していったのである。一例として普通の銀行と投資銀行との区別などを排するいわゆる規制緩和は、世界的大独占のためにはなっても、庶民には害にしかならなかった。典型はサブプライム住宅を2000年代中頃までに買った人々。バブル弾けで、その持ち家さえ奪われた人も多いのである
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「この国のかたちを見つめ直す」書評として、対英米開戦の決断史   文科系

2025年02月09日 13時17分52秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 毎日文庫のこの本は、学術会議会員推薦名簿で任命が削られた日本近代史学者・加藤陽子が書いたもの。その本の開戦、および 天皇の戦争責任に関わる部分を抜粋して、書評に変えたい。

 先ず、よく言われる「英米との国力の違いは知っていたろうに、どうしてあんな戦争に無謀にも突入したのか?」
 『1941年夏、当時の南部仏印(フランス領インドシナ南部)に進駐した日本軍の行動に対し、石油の対日全面禁輸で米国が応じたことはよく知られた史実だった。この時、日本側の目の前にあった選択肢は二つ。①避戦に努めるが、2,3年後に石油の備蓄は確実に尽きる石油の備蓄は確実に尽きる、②開戦すれば極めて高い確率で日本は負けるが、極めて低い確率ではあるがドイツの英国本土上陸作戦が成功し、米国が日本との講和に応ずる可能性はある。当時の日本は、この②の方の選択肢に賭けた。起こる可能性が非常に低いとわかっていても、人は損失がゼロになる選択肢の方を選ぶ』(p335)
 この記述内容にちなんで、この本の全く別の所に、こんな解説になる物が記されていた。牧野邦昭著「経済学者達の日米開戦」の紹介として。
『1941年10月末から11月初めの大本営政府連絡会議において、物的国力判断がなされたのはご存じだろう。都合のよい数値を並べた企画院や軍部の主張が勝ち、開戦が決定された。この経緯を知る者は、石油1対777といった日米の格差を会議の席上で開陳し、数値を用いて無謀な開戦を阻止しようとした機関などなかったのか、と誰しも思うだろう。』
 と、こう書いた上で、陸軍省戦争経済研究班(秋丸機関)の報告内容をこのように紹介していく。
『だが、と著者は言う。報告書の結論、英米経済力の弱点を船舶輸送力と見、大西洋上のドイツによる船舶撃沈量を月50万トン維持できれば、枢軸国にも勝機はあるとの結論などは、当時の一般雑誌にも普通に掲載されていた常識的な議論に過ぎない、と断ずる。・・・・日本側は正確な情報を掴んでいた。そのうえで行動経済学の知見は次のように教えると著者は言う。現状維持の選択肢と、開戦の選択肢が並ぶ時、国際環境の変化などによるわずかばかりの可能性がある場合、人はリスク愛好的な方を選ぶという。開戦を選ぶのだ。』(P316)

 さて、この開戦決断について、天皇の関わりはどうなっていたか。その関連の記述を見てみよう。いわゆる御前会議においては天皇は発言しないと書いた上でこんな記述が続いている。
『一方、統帥用兵の意思決定の場である大本営会議の様子は異なっていた。陸海軍の将官と天皇が臨席する大本営会議では、天皇からの発言を歓迎する旨、軍部側が要請した事実が、(昭和天皇)実録の1937年11月27日の条で明らかにされている。政府の前では沈黙し、軍部の前では発言を許された、対照的な天皇像が鮮やかに浮かんでくる。』(P290)
 このことの結果なのだろうか、日米交渉が開戦ギリギリの時点において、陸海軍トップ二人の「交渉継続か開戦準備かいずれを優先しますか」との質問に対して「開戦準備優先」という方向を最終的に命じたのも天皇であった。この場面については、このブログでずっと昔から書いてきたところである。例えば2010年11月22日エントリーがその一例だ。
 ちなみに、投稿日が分かっているエントリーはこう出す。ブログ右欄外の今月分カレンダーの下に年月スクロール欄があり、そこの「2010年11月」をクリックする。すると、直上の今月カレンダーがその年月の物に変わるから、そのカレンダーの「22日」をクリックする。すると、エントリー本欄がその22日分だけに替わるから、お求めの物をお読み願える。



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「三苫がサウジ」? 僕は、一笑   文科系

2025年02月07日 17時54分50秒 | スポーツ
 ちょっと前にこんなニュースが出たが、僕はこれを一笑、「いくら大金積まれても、ありえない」と。
 長いサッカーの世界歴史には、いろんな伝統、そこから生まれた「格」と言うものがあって、その知識からのことだ。これは例えばここで僕が「ネイマールのプレミア行きはもうあり得ない」とバルセロナ時代から語ってきたのと同じ種類の知識からのこと。ネイマールの場合は、「ネイマール!」と名付けられたシミュレーション癖がイングランドでは徹底的に嫌われるからである。よって、あの大選手が「大金積まれてサウジへ」と言う結末。
 三苫の場合も、同じこと。日本人選手が皆「行く末プレミアに行きたい」というのも、野球選手が巨人に憧れるのと似た心よりも遙かに強い、世界的な心なのである。巨人とロッテから引きがあったら、金は多少安くとも巨人を選ぶというようなことよりもすっと強い心なのだ。
 プレミアへ行きたい日本人選手はすべからく、ちょっと当たっただけで痛そうな素振りをして倒れていると言った「プレー」はしないことである。これが嫌われることは、セルティックへ行った日本人達でも皆知っている。スコットランドにも、イングランド・サッカーの伝統が強く残っているのである。

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