メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

会いたくて会いたくて荒技

2018-10-04 21:11:14 | 咲人
翌朝。
頬杖をつき、ぼぅっと窓の外を見る。
家で淹れるカフェラテは、味はそこそこだけど香りは良い。
でもこんなに良い気持ちなのは鼻腔をくすぐるコーヒーの匂いだけじゃない。



私、咲人のこと好きなんだなぁ。
咲人に会ってみたいなぁ。
咲人は私に会ってみたくないのかな。
じゃぁなんでこんなにしょっちゅう電話してくるんだろう。
本当にただの日本語の練習なのかなぁ。。。


私は咲人とのトーク画面を開いた。
昨夜送った日本語のローマ字版や、彼が送ってきた可愛い絵文字が視界に飛び込んでくると、
なんとも言えずニヤけてしまう。
また話したい。今すぐ話したい。
ていうか会って話したい。
でもそれには少し障害がある。



うん、と腕を伸ばしたまま天井を見上げた。
窓から入る柔らかな光はまだ白い。
昼間とは違うそれが、この小さな部屋の天井をさらに白くする。
私はこの街で、予定が組みにくいスケジュールで働いている。
一方の咲人はいわゆるフツーの土日休みだ。
彼が私に会いに来てくれるとしても、私が彼に会いに行くとしても、
一体いつそれが可能になるのか。
学生の仁とは違い、社会人はそんなに自在に予定が組めない。



ま、咲人に会いたいなんて言われたことないけど。



私はブスッとブスらしくチョコレートをかじった。
いや、チョコレートは美女も似合うと思いますけどね。
ほろ苦くて甘いそれは文字通り甘美だ。
あぁ美味しい。
私は目を瞑った。



実は次の土日は休みだ。
珍しく2日続けて。
こんなことなかなか無い。
こんな機会なかなか無い。
こんなチャンス…………





…………ポチ


ポチポチポチポチ





私はこんな文章を書いた。





『ところで、咲人は今週末は何か予定があるの?』



送信ボタンを押すと、思わず両手で頬を覆った。



き、聞いちゃった。
何か予定あるのかな?
それとも、「ないよ。君に会いにそっちまで行く以外はね」「えっ本当に?咲人」「Why not メイサ?」
なーーーーーんちゃってなんちゃってなんちゃってーーーー!!!…………

落ち着け



私は妄想暴走族な自分を制し、ため息をついた。
そんなにうまく行くはずないし、そもそもこういう事に関しては一回痛い思いしてるじゃないか。
ちょっとは学習しろっつーの。
いや、もちろん咲人と仁とでは全然キャラクターは違うけど。
だからと言って、似たようなシチュエーションなのに、この人こそは!!ってすぐ思っちゃうのは
いささかアカンタレなんじゃないでしょーか?
あ、だからか。
私アカンタレでした。




ま、そんな悲しい事実はさておき、私は咲人からの返信を心待ちにしていた。
しばらくして、おそらく昼休みであろうタイミングで咲人から返信が届いた。


『今週末は何にもないよ。君は?』


ふむ。。。


『私も。いつもは土日は働いてるんだけど、今週末は国の祝日でもあるからお休みなの』


ピロリン


『うーん!いいね!じゃぁ







何か計画しよう(^^)』






!?(΄◉◞౪◟◉`)




けっ



けいかくぅ〜〜〜〜〜〜〜っっ!?!?!?!




私は思わず目を見開いた。
咲人が"Let's make a plan :)"と言っている。
レッツ?レッツ?一緒に何かするの?
え、うそ本当?
頭とハートがパンクしそうだ。


ま、待って待って待って。
まだ私の国に来ると決まったわけじゃない。
私に来いとか言うかもしれない。
イヤ行きゃいいのかもしれないけどそこは男の人に来てほしい、とか思っちゃう私。
そもそも私の街には何度も来た事があるから、興味ないだろうし。
う、うーん。どんな計画なんだろう……



ポチポチポチ



『いいね。どんな計画?』



それから夜中まで連絡はなかったのだけれど

不意に目覚めた私は、ベッドの中で予想外の彼の返信を読む事になった。





続きます。