メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

好きと言われた話

2018-10-05 22:00:11 | 咲人
その晩、咲人からなかなか返事が来なかったので、私は中毒者のように携帯を携帯したり周りをゴロゴロしたりしていた。
彼から『こんばんは。家に着いたよ』と返事が来た時にはすっかり夜だった。
咲人は忙しい人だった。





『おかえり。あとで話せる?』

『勿論。楽しみにしてる』

『いつなら良い?私は今晩ってつもりで言ったんだけど』

『俺もだよ。十分後にかける』





ピピピピピピ




「Hey」



ヤバい。
声聞くだけでにやける。
冷静を装い、You called me just in 10minutes と鼻で笑ってやった。
彼もいつもの偉そうな声色で Of course, why not?と答えた。
すこし他愛もない会話をした後、彼は私に訊ねた。



「ところで、週末に何をするかは決めたの?」

「(えっ!?そ、それはあなたと一緒に計画するんだったのでは…!?)まだだけど」

「えー、まだなの」



(΄◉◞౪◟◉`)



お、お前が一緒に考えようって言ったんだろーーーーー!!!




「はぁ?あんた一緒に考えようって言いませんでしたっけ?」

「あぁ、言ったな」

「咲人は?週末は何か予定立てたの?」

「んー、俺は友達と会うけど、まぁ短時間だろうな」

「(えぇー!?何もないっつったじゃん!!)そ、そうですか…」

「で、何かやりたいこととかないの?」




そっ

そんなこと言われてもっっ………




つまり、咲人は一緒に計画しようとは言ったけど、
一緒に何かをしようとは思っていなかったのだ。
あくまで私の週末のついて一緒に考えてくれるだけのつもりだったのだ。
ちょっ、ホントそーゆーのやめて(涙)
変に期待させないでぇーーーーー(T▽T)



と、ゆーわけで



私の「もしかして嬉し恥ずかし初デート!?」と膨らんだハートはシナシナに空気が抜けてしまった。
何だよぉぉぉぉう(泣いてます)
まぁいつまでも凹んでいても仕方ないので、普通にいつも通りお喋りを始めた。
すっかりガッカリしてしまったのであまりテンションは上がらなかったけど。←しっかり引きずってる
話題はなるべくして、お互いの言語のことになった。




「咲人の国の言葉はほとんど知らないわ。すごく限られた言葉だけ」

「ふーん?例えば?」

「これとか」


私は仁に習った言葉を文章で送った。
言ってもいいのだけど、 文章で教わっただけなので、どう発音したらいいかわからないのだ。


「………あー。」

「"私はあなたがすごく好き"でしょう?」

「そう、だね」

「発音はこんな感じ?」

「そう」

「何にでも使えるんでしょ?例えば、えーと、私は寿司が好き(笑)」

「そう」

「私はキリンが好き。私は花が好き…」




私が最後の名詞を変えて練習するたびに、咲人はそれを彼の国の言葉に翻訳して教えた。
私は自分が好きなものを順々にあげていったけど、8個あげても、10個あげても、
冗談でも彼の名前をそこに挿入する事ができなかった。


そんなこと言ったら、気持ち悪いって思われないかな。
変なのって思われないかな?
気が早いとか思われたらイヤだな。
散々仲良くしているけど、後一歩を踏み出す勇気なんて全然なかった。
冗談にとれる間柄でもない気がした。
ひとしきり練習した後、私は明るい声で言った。



「うん、便利ね!何にでも使えそう」



一方で咲人は静かに「そうだな」と言っただけだった。
退屈したのか、それともこの話題について何か思っているのか……。
彼が饒舌じゃないので、私は明るく話しを続けることにした。



「ちなみに、日本語ではなんて言うか、知ってる?」

「いや……。教えて」

「えーとね。例えば……」




どうしようかな。
例文、誰が何を好きにしようかな……




言いたいことと
言って欲しい事があるけど



でも………………




「咲人は…………








猫が好き」




orz




この根性なし〜っっ(涙)

(しかも咲人猫好きじゃねぇし!)と思いながら、私はアハハッと意味不明に笑った。
しかし



咲人は




「じゃぁ















俺はメイサが好き って言っていいの」








(  ◉ ________ ◉ )







「……………。」

「ネコは、CATのことだろ。だから、そこ変えればいいんでしょ」

「そう、ね…」

「で、ネコガ?ネコダ?」





ガだよ、と答えながら、私は強張ったままの顔と心をどうにかしようとして
どうにもできずにいた。




どうしよう

何も言えない

体が、動くのを拒否している

だって、そんな事、言うなんて………!




私が黙っているので、一瞬の静寂が流れた。
咲人はそんな雰囲気を察してか、ややわざとらしく話し出した。



「じゃ、そろそろ寝ますか?スイートヴァンパイアさん」




私はそれに対して






「咲人








何で、そんなこと言ったの?」







続きます。