メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

音信不通になった理由

2018-10-31 20:55:13 | 
その夜、不意に誰かからメッセージが届いた。
私は床に寝転がりストレッチしていたので、ゴロリと横を向いて携帯を引き寄せた。
画面には、仁の名前が表示されていた。



『こんばんはメイちゃん』



他愛もない会話から、彼が飲み会帰りだとわかった。
メイちゃんが恋しいよと言った。
そんなこと言う割にあれから一度も電話もビデオコールも提案して来ない。
不誠実の塊みたいなこの人は一体何を求めているんだろう。
私は何かを確かにしたくて、こう返信した。



『私も久しぶりに仁ちゃんの声聞きたいよ』

『じゃぁ電話する?』



久しぶりに仁の変な声を聞くことになった。
飲み会はどうだったとか、どうでもいい話をしているうちに、
仁はまたメイちゃんの写真送ってほしい、と言った。




「何度も送ってるじゃない」

「足りないよ。プロフィールの写真も毎日見てるよ。更新されてるかなぁって。
だから送って」

「ふーん、しつこいね(笑)」

「メイちゃんは俺を喜ばせるのが好きな性格でしょう?
だから絶対俺が喜ぶ写真送ってくれると思う」




は?




「私のことそう思ってるの?」

「思ってるよ」

「その性格はいいの?悪いの?」

「いいに決まってるでしょう、俺にとって。」




この時気付いた。
彼は私にことをなめていると。
いや、多分こういう男が平気な女の子は結構いる。
特に日本人の女の子にはこんなタイプが多いんじゃないかと思う。
だから俺様系男子をテーマにしたいろいろが人気があるのだろう。
駄菓子菓子、私はそういう輩は真っ平御免である。
なるほどね。私があんなメッセージしたから、私もそういう女だと思ってるわけね。
私はもう少し話を掘り下げてみることにした。
本当にもう少しだけ。




「仁ちゃんは私の事好きなの?」



仁は即答した。




「好きだよ。優しい。すごく優しい……」

「仁ちゃんも優しくして」

「優しくするよ」

「本当に?」

「うん」




優しいっけ?と食い下がると、仁のトーンが下がった。




「優しくないね。最低だね……」



え?



仁は続けた。




「俺の態度が悪かったと思う」

「私に対して?」

「そう…。俺はあまり自分がしたことを反省しないけど、態度が悪かったと思う」



何について話しているんだろう。



「そう思うんだ…」

「うん。でも、もともと態度が悪いから、どう直したらいいかわからなくて、何もできなかった。」

「……それは、最近のこと話してるの?」

「メイちゃんへの連絡」



ああ。。。




まさかその話を
ちゃんとし出すなんて
思っても見なかった



だってずっと
放ったらかしだったから



気にもとめてないくらいクズなんだと思っていた





「そうだね。。。連絡しなかったね」

「うん」

「それはどうして連絡しなかったの?」

「初めは、返事と、どうしたらいいか考えてた。
考えたけどわからなくて、明日、明日、って時間が過ぎていった。
でもその間も、毎日メイちゃんのプロフィール見てて……
そしたらレビューがたくさん増えてたから、あぁ俺はもう失ったんだと思った。
だからもう俺が連絡しても意味がないと思った。」

「え?でも私一回連絡したよね」

「だからまだ俺に興味あると思った」

「いやそれじゃなくてその前にしたでしょ

「ああ」

「なんでそれに返事しなかったの」

「やきもちやいてた」




は?




「え、あ、そうなの?やきもちやいてたから返事しなかったんだ…」




いやいやいやいやいやいや

お前が連絡しないから他の連中と連絡とってたんだろーよ!!
つぅか、ちゃんとしろよ!色々な諸々を!!

何ちゅう………自分勝手っていうより、
自分のことでいっぱいいっぱいっていうか
子供!?


コミュニケーションどこ行った!?



私はポカーンと呆れ切っていたが、仁はさらに続けた。





「その時もっと優しくすればよかったと思った」


当たり前だろ




「私はなんで返事こないのかなと思ってたよ。
そしたら私には返事しないのに仁のレビューが増えてたよ」

「それは仕返し」

「(どのツラ下げて言ってんだこのタコ)ちがうよ、2日くらいしてから。
私のレビューが増える前だよ」

「ああ」

「だから、なんでかなと思ってたよ」

「それは俺が悪い。言い訳したくないから、俺が悪かったと思う。」




言い訳したくないから謝るってすごく男らしいと思うけど、
説明不足な謝罪はただの説明責任の怠慢だよね。
結局この人のキャラクターから察するに、ヘタレで思いやりが足りないから連絡出来ず、
かつその間に気を紛らわすべく他の人とくっちゃべっていて、
それが私に悲しい思いをさせたからこんな事になったっつぅのに
それに対してのリベンジだとかほんにゃら言ってるわけね?
あぁ。。。。。。。。。。。。。。





本当に心底呆れる。最近そういうこと考えてたの?と聞くと、
最近じゃないよ。あれからずっと考えてた、と答えた。
じゃ早く謝れよ




そしてさらに!
仁は聞いてもいないのにこんな事を話し始めた。




「俺にとって一番難しいことは、メイちゃんの事が好きだけどすごく遠くに住んでるから会えないこと。
でも、好きな気持ちがなくならないし、会えないし、困ってる。」





(΄◉◞౪◟◉`)



い、


いまさら………


それもうちょい早く言ってくれません?




仁は続けた。




「じゃぁ、俺とどうするの?」

「(いや、じゃぁって何)どうしたいか のリクエストはないの?」

「俺はリクエストできる立場じゃない」

「(そらそうだろ)質問していい?仁って彼女とはどれくらい頻繁に会いたいの?」

「できるだけ会いたいね」

「でも忙しいやん」

「忙しいけど毎日会いたい」

「えっほんとに?それはすごいね」

「えっそう?」

「いや私はそういう風に思われるの嬉しい人だけど、仁がそういう人だと思わなかった。連絡も毎日しないし」

「あぁそうか」

「あの日から今日まで、会いたいとか電話したいとか思ったの?」

「思ったよ」

「でもしなかったね」

「思ったけど、罪悪感があったから、普通にできなかった」





少しずつ、怒りや憎しみが鎮まって

仁がどんな風にダメな人なのか正確に判断できるようになってきた気がする。




私が思う普通よりレベルが低い分、最低すぎる人間に見えていたけど

多分ただのヘタレで、悪人じゃないんだろうな。





私は結構、責任感が強い方だし

勇気がある。

ま、自分で言うのもどうかと思うけど誰もここで言ってくれないしね(笑)



だから彼の行動が解せない。



だけど多分


私が思うより悪いやつじゃなかったんだ。



だからって、そういう人をまた好きになるかは別の問題だけれど。





「私は会いたいと思ってたよ」

「ほんとう?」

「うん。すごく楽しみにしてたから、会えなくなったとき残念だったけど、次いつ会えるのかなと思ってた。
次の計画立てたいと思ってた。」



仁は本当に悪そうに、連絡すればよかった、とつぶやいた。
私は言いたかったことを言いたいと思った。
そうだよ、私、この人のこと好きだったんだから。




「毎日、会いたいって思ってたよ」

「ほんとう?」

「うん」

「俺も」




私は自分の手のひらを見つめていた。
これは何かを考える時のクセでもあるけれど、この時は、ただただ
少し前に胸に立ち込めていた思いを思い出していた。
この手のひらに、あなたの手を、感じたかったんだ。




「……会って、仁ちゃんに触りたかった。
変な意味じゃなくて、本当に触ったり見たり……
あぁ、仁ちゃんが本当にここにいるんだなって感じたかったんだ」



仁は、うんわかる、俺も、と答えた。



「今も………自分の手を広げて見ているの。
仁ちゃんの手を触ったら、どんな感じだろうって考えてる」




会いたかった。



抱きしめて欲しかった。



すごく楽しみにしていたんだよ、私。






続きます。