「あ、そうそう。彼、来なくなったの?」
と、梓は食べ終えた弁当に蓋をしながら訊ねた。
今日のランチは韓国料理のテイクアウト。
梓オススメのビビンバを買って公園でいただいている。
食べるのが遅い私はモグモグと口を動かしながら頷いた。
へー、残念だねぇと梓が軽く言うので、私は急いでナムルを飲み込んだ。
「残念よ!し、か、も!アイツの態度最悪!!!」
「おぉ、穏やかじゃないね。どうしたの」
そう、彼というのはもちろん仁さんなのだが、彼がしたことは到底常識から外れている。
話はこうだ。
会いにくる日こそ約束したものの、飛行機やホテルを予約したように見えない。
3週間前には「本当に来るの?」「勿論!俺が信じられない?」、
1週間前には「そういえばホテルと飛行機予約した?」「まだだね。メイサの教えてくれたエリアのホテルがいっぱいだから他のところを探さないと」「仕事の都合つけたいから早めに知りたいな」「明日の夜までに連絡するよ」ってな会話をした。
「……で?」
嫌な予感、と梓の顔に書いてある。
私は盛大にブスッとして答えた。
「ゴメン、チケットがいっぱいだから延期しなきゃいけない。次はいつ空いてる?って言われた」
「Oh No...」
「でも本当に悪いのはそれじゃないの」
「え?」
「その後の対応なのよ」
そう。
彼が1ヶ月も前からしていた約束を破ったのは相当ムカついた。
当然会うのを楽しみにしていたし、彼なんて「俺が信じられない?」なんて笑っていたのに。
こちとら梓にツアーコースをリサーチしたし、美容院にも行ったし…etc
で!も!
それでも私は恨み言ひとつ言わず「Oh... わからないけど、次は1ヶ月後かな」とだけ返信したのだ。
めっちゃ偉くない?
な!!!の!!!に!!!!!!
「もう5日返信なしなのよ!?頭おかしくない!?」
ムキーッと怒髪天を突く私に、梓は苦笑した。
まぁ、変だと思うよ。と同意して。
「いつもはもっとマメに連絡してるんでしょ?」
「あたぼうよ!自分が悪いんだから、じゃぁ次はこの日にしようとか色々やることあんじゃん!」
「ま、その通りだね。俺なら怒ってる?って聞くし」
「でっしょぉーーーー!!!なのにもぉーーーー!!!」
「はは(苦笑)メイサ、めっちゃ怒ってるね」
「Why not?」
ブスッとしてっていうかブスのまま私は憤慨していた。
「まぁ少なくとも君は週末にフリータイムをゲットしたんだからいいんじゃない?」
と言い、梓は私の前にラテを置いた。
食後のコーヒーも、彼にオススメのカフェに行った。
基本的に彼にお任せだ。
まぁそうなんだけど…と収まらぬ怒りで膨れていたが、梓は続けた。
「メイサは色んな面白い人に会ってるけど、彼らの個性は彼らの自由だよね。
でも彼の場合はダメだね。コミュニケーションは大事だからね。」
「ってことなのよ」
「わかるよ。多分若いからじゃない」
「ぐっ……」
「若い子と遊ぶのやめたら?」
「そうね。あーもう本当若い子たちには疲れたぁーーー」
ため息混じりにテーブルに突っ伏す私を見て、梓はケラケラと笑った。
何よぅ、こっちは本気で苦しんでるのにぃ。涙
この5日間、仁からメールが来ないことで私に精神状態はぐちゃぐちゃだった。
一番の理由は、なぜ連絡しないのかが解せないことにあった。
理由さえわかれば、それに対応する方法を考えたり、待てる。
でも、これは一生連絡しないつもりなの?それとも一時的なの?
あとあと、なんで自分が悪いのに連絡して来ないの?
気まずいから?面倒臭いから?
それとも
実はもっと前から来る気なんかなくて、わたしにも愛想を尽かしていたのだろうか。
賢い梓にそんなくだらないモヤモヤを相談することはできず、
このランチの会より前に女友達や他の男友達に相談していた。
彼らは口を揃えて仁はおかしいと言い、
「彼が君を傷つけるならもう関係を絶った方がいいんじゃない」と男友達は言った。
メイサによるけど、とも言ったけど。
(この男友達についてはまたのちに書きたいと思います。)
梓と分かれ、トボトボと歩く道は往来が激しい。
孤独は賑やかなところで増すことがある。
男友達や梓にそいつオカシイと言ってもらったお陰で、どんどん仁をダメなやつだと思えてきた。
ダメだと思えたら諦めるのが簡単になってくる。
だけど…
私は携帯を取り出し、例のアプリを開いた。
この5日間、仁のプロフィールページを見なかった日はない。
彼の写真を見つめ、何度もため息をついた。
他のユーザーからのレビューも目に入る。
私と話していない5日間のあいだに、彼は5人もの人からレビューをもらっている。
レビューはある程度チャットするか電話しないと投稿できない。
つまり、私には返事しないくせに5人の人間とたくさん連絡する時間はあるってことだ。
流石に傷つくわ。
私のこと、どう思ってんの?
悲しくて、泣きそうになった。
レビューはたいていどーでもいいルックスの女の子だったりするけど、
こういう時はネガティブに派生してしまうものだ。
そのうちの1人がまぁまぁキレイなだけで胸がちぎれそうな気持ちになり、
そしてクソムカついた。
……そーかよ
そーかよそーかよそーかよ
くっそーーーーーーーーーー!!!!
私はざっと検索ページを開き、そこそこ見栄えのする男の子達を手当たり次第にフォローした。
彼らの日本語レベル、英語ネイティブか否かなんてどうでもいい。
あっという間に十数人の男の子達をフォロー完了し、9割の子達が連絡してくれた。
まだまだ。
今度はフィルターをかけて検索した。
フィルターは勿論、仁と同じ国籍であること!
なかなか好物件がヒットしなかったが、努力の甲斐あって3人の男の子をゲットした。
ハンサム、まぁまぁハンサム、普通。
でも仁に嫌な思いをさせるには十分だ。
ものの3日で、私のプロフィールには11件のレビューがついた。
5日で5件?は、笑わせないで。
誰だと思ってんのよ。
あんたなんかに
負けない。
続きます。
と、梓は食べ終えた弁当に蓋をしながら訊ねた。
今日のランチは韓国料理のテイクアウト。
梓オススメのビビンバを買って公園でいただいている。
食べるのが遅い私はモグモグと口を動かしながら頷いた。
へー、残念だねぇと梓が軽く言うので、私は急いでナムルを飲み込んだ。
「残念よ!し、か、も!アイツの態度最悪!!!」
「おぉ、穏やかじゃないね。どうしたの」
そう、彼というのはもちろん仁さんなのだが、彼がしたことは到底常識から外れている。
話はこうだ。
会いにくる日こそ約束したものの、飛行機やホテルを予約したように見えない。
3週間前には「本当に来るの?」「勿論!俺が信じられない?」、
1週間前には「そういえばホテルと飛行機予約した?」「まだだね。メイサの教えてくれたエリアのホテルがいっぱいだから他のところを探さないと」「仕事の都合つけたいから早めに知りたいな」「明日の夜までに連絡するよ」ってな会話をした。
「……で?」
嫌な予感、と梓の顔に書いてある。
私は盛大にブスッとして答えた。
「ゴメン、チケットがいっぱいだから延期しなきゃいけない。次はいつ空いてる?って言われた」
「Oh No...」
「でも本当に悪いのはそれじゃないの」
「え?」
「その後の対応なのよ」
そう。
彼が1ヶ月も前からしていた約束を破ったのは相当ムカついた。
当然会うのを楽しみにしていたし、彼なんて「俺が信じられない?」なんて笑っていたのに。
こちとら梓にツアーコースをリサーチしたし、美容院にも行ったし…etc
で!も!
それでも私は恨み言ひとつ言わず「Oh... わからないけど、次は1ヶ月後かな」とだけ返信したのだ。
めっちゃ偉くない?
な!!!の!!!に!!!!!!
「もう5日返信なしなのよ!?頭おかしくない!?」
ムキーッと怒髪天を突く私に、梓は苦笑した。
まぁ、変だと思うよ。と同意して。
「いつもはもっとマメに連絡してるんでしょ?」
「あたぼうよ!自分が悪いんだから、じゃぁ次はこの日にしようとか色々やることあんじゃん!」
「ま、その通りだね。俺なら怒ってる?って聞くし」
「でっしょぉーーーー!!!なのにもぉーーーー!!!」
「はは(苦笑)メイサ、めっちゃ怒ってるね」
「Why not?」
ブスッとしてっていうかブスのまま私は憤慨していた。
「まぁ少なくとも君は週末にフリータイムをゲットしたんだからいいんじゃない?」
と言い、梓は私の前にラテを置いた。
食後のコーヒーも、彼にオススメのカフェに行った。
基本的に彼にお任せだ。
まぁそうなんだけど…と収まらぬ怒りで膨れていたが、梓は続けた。
「メイサは色んな面白い人に会ってるけど、彼らの個性は彼らの自由だよね。
でも彼の場合はダメだね。コミュニケーションは大事だからね。」
「ってことなのよ」
「わかるよ。多分若いからじゃない」
「ぐっ……」
「若い子と遊ぶのやめたら?」
「そうね。あーもう本当若い子たちには疲れたぁーーー」
ため息混じりにテーブルに突っ伏す私を見て、梓はケラケラと笑った。
何よぅ、こっちは本気で苦しんでるのにぃ。涙
この5日間、仁からメールが来ないことで私に精神状態はぐちゃぐちゃだった。
一番の理由は、なぜ連絡しないのかが解せないことにあった。
理由さえわかれば、それに対応する方法を考えたり、待てる。
でも、これは一生連絡しないつもりなの?それとも一時的なの?
あとあと、なんで自分が悪いのに連絡して来ないの?
気まずいから?面倒臭いから?
それとも
実はもっと前から来る気なんかなくて、わたしにも愛想を尽かしていたのだろうか。
賢い梓にそんなくだらないモヤモヤを相談することはできず、
このランチの会より前に女友達や他の男友達に相談していた。
彼らは口を揃えて仁はおかしいと言い、
「彼が君を傷つけるならもう関係を絶った方がいいんじゃない」と男友達は言った。
メイサによるけど、とも言ったけど。
(この男友達についてはまたのちに書きたいと思います。)
梓と分かれ、トボトボと歩く道は往来が激しい。
孤独は賑やかなところで増すことがある。
男友達や梓にそいつオカシイと言ってもらったお陰で、どんどん仁をダメなやつだと思えてきた。
ダメだと思えたら諦めるのが簡単になってくる。
だけど…
私は携帯を取り出し、例のアプリを開いた。
この5日間、仁のプロフィールページを見なかった日はない。
彼の写真を見つめ、何度もため息をついた。
他のユーザーからのレビューも目に入る。
私と話していない5日間のあいだに、彼は5人もの人からレビューをもらっている。
レビューはある程度チャットするか電話しないと投稿できない。
つまり、私には返事しないくせに5人の人間とたくさん連絡する時間はあるってことだ。
流石に傷つくわ。
私のこと、どう思ってんの?
悲しくて、泣きそうになった。
レビューはたいていどーでもいいルックスの女の子だったりするけど、
こういう時はネガティブに派生してしまうものだ。
そのうちの1人がまぁまぁキレイなだけで胸がちぎれそうな気持ちになり、
そしてクソムカついた。
……そーかよ
そーかよそーかよそーかよ
くっそーーーーーーーーーー!!!!
私はざっと検索ページを開き、そこそこ見栄えのする男の子達を手当たり次第にフォローした。
彼らの日本語レベル、英語ネイティブか否かなんてどうでもいい。
あっという間に十数人の男の子達をフォロー完了し、9割の子達が連絡してくれた。
まだまだ。
今度はフィルターをかけて検索した。
フィルターは勿論、仁と同じ国籍であること!
なかなか好物件がヒットしなかったが、努力の甲斐あって3人の男の子をゲットした。
ハンサム、まぁまぁハンサム、普通。
でも仁に嫌な思いをさせるには十分だ。
ものの3日で、私のプロフィールには11件のレビューがついた。
5日で5件?は、笑わせないで。
誰だと思ってんのよ。
あんたなんかに
負けない。
続きます。
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