『仁、元気?
突然連絡してごめんね。
最近気遣ってあげられてなかったね。
仁は優しいし面倒臭がりだから、思ったこと言えてなかったよね。』
そんな書き出しで私の謝罪と感謝のメールは始まった。
仁は子供っぽくなかなか折れないところもあったけど、口論は避けたがるところがあった。
若さなのかもしれないが、微妙な雰囲気を自分から解決する姿勢もなかった。
そして基本的には私に優しかった。
『ねぇ、私の英語についてどう思う?正直に』
まだマメに連絡を取っていた頃。
グスグスと泣きながら、そう彼に連絡した事がある。
その日はちょうど、この国に来て半年が経った日だった。
半年間、仕事では日本語しか使わないので英語をブラッシュアップする必要は皆無だった。
それでもこれを機に自分のポテンシャルを伸ばしたかった。
『そら住めば話せるようになるだろ』と住んだことのない人間が言うのは大間違いだ。
当然よく聞くワードは覚える。バッグいりますか?とか。
だけど良い大人なんだから金さえあれば言語なんか必要ない。
少なくとも、喋れるようになったと言えるほどには成長できない。
本人が何か努力しない限り。
半年間、語学学校に行くでもなくただただ現地とオンラインの友達と話し続けた。
まだ話せないうちは1日100通はメールのやり取りをした。
それだけでヒイヒイ言った。大卒が聞いて呆れる。
何人も現地で友達に会ってみて、ようやく電話する勇気が出た。
それでも、半年いてこのレベルかと悔しかった。
悪いとは言わないけど、この国に居られるリミットがあることを思うと
ただただ焦らされて、もっと頑張ればよかったなと悔やんだ。
悔やむことみだだと先人たちは言うけど、悔やんでいたい思いしなきゃMAX頑張れない残念な人間もいる。
ま、あたしみたいな、ね。
私の連絡に仁さんはすぐに返信をくれた。
『ほとんど間違えない。
時々間違えるけど、意味は全部わかる。
僕が速目に喋ってもちゃんと聞き取れてる。
上手だと思う。』
嬉しかったけど
その時の彼の日本語能力は私の英語能力より上で………
『何かあったの?大丈夫?』
『仁さんには言えないよ。ごめん』
『わかった。言わなくても良いから。言いたくなったら聞くよ』
ボロボロ涙がこぼれた。
『だって、仁さんは日本語が上手で、私は英語がまだまだ大変で。
それなのに仁さんに弱音なんか吐けないよ。
これでも頑張ったって思ってるけど
自分が思うより全然だから、もっと頑張らなきゃって悔しくて。
どうしようもなくて、あんなこと質問しちゃったの。』
すぐに既読マークがついたけど、少ししてから彼から返信が来た。
ずっと入力中になっていたから、多分、考えていたんだと思う。
『多分、外に出て散歩したら良いと思う』
(´⊙ω⊙`)
『それから、よく眠ったら良いと思う』
私はポカンとして読んでいたが、彼は続けた。
『そうしたら、目が覚めた時に問題は自分が思っているより大きくないって分かると思うから』
『今はきっと、心配しすぎちゃってるから』
………仁さん。
『ありがとう。
その場しのぎな慰めじゃなくて、現実的な解決方法を教えてくれたね』
『その方がメイサさんが本当に元気になると思ったから』
『考えてくれたんだね。ありがとう』
『うん。どうしたらメイサさんが早く元気になるか考えたよ』
仁さんは
不誠実だったし
子供っぽかったと思う。
だけど
私が辛い時に、親身になってくれた。
『誰にでも言う話じゃないから。
僕のこと信用して話してくれたんだと思ってうれしかったよ』
私達は
会ったこともなかったし、すれ違ってしまったけど
その時は大好きだった。
大切な話をしたり、思いやったりもしていたんだ。
『仁、ごめんね。
でも沢山ありがとう。すごく楽しかった。
日本語の勉強頑張ってね。 メイサ』
そうやって終わった私のメールは、ちゃんと彼に届いただろうか。
怖くて、開封済みかどうかもチェックできない。
きっと返信は来ない。それでいい。
でも私は言いたいことを言ったんだから前を向ける。
私はポイと携帯をテーブルの上に置き、ラテを飲んだ。
今日はクライアントに会って、そのあと別のオフィスまで遠征して…
それから夜は咲人と電話して……
何だかんだでバタバタするなー。
ピロリン
不意に携帯が鳴った。
見ると
『送信主:仁』
!!
思わず手が震えた。
おまけに心臓がものすごい勢いで脈打ち出した。
じっ、じじじ仁さんから返信来ちゃったじゃんっっっ
どどどどどどどうしよう
読まなきゃ!?えっやだ読みたくない!
悲しくなること書いてあるんじゃないの?
もうこれ以上傷つきたくないよーーーーーーーーーー!!!!
多分その場で私を観察している人がいたら『大丈夫かあの中国人』と思ったに違いない。←日本人です
仁の書き出しはこうだった。
『メールありがとう。
俺が悪かったから、メイサは謝る必要があまりないと思う』
彼のメッセージは、意外な方向に続いていった。
続きます。
突然連絡してごめんね。
最近気遣ってあげられてなかったね。
仁は優しいし面倒臭がりだから、思ったこと言えてなかったよね。』
そんな書き出しで私の謝罪と感謝のメールは始まった。
仁は子供っぽくなかなか折れないところもあったけど、口論は避けたがるところがあった。
若さなのかもしれないが、微妙な雰囲気を自分から解決する姿勢もなかった。
そして基本的には私に優しかった。
『ねぇ、私の英語についてどう思う?正直に』
まだマメに連絡を取っていた頃。
グスグスと泣きながら、そう彼に連絡した事がある。
その日はちょうど、この国に来て半年が経った日だった。
半年間、仕事では日本語しか使わないので英語をブラッシュアップする必要は皆無だった。
それでもこれを機に自分のポテンシャルを伸ばしたかった。
『そら住めば話せるようになるだろ』と住んだことのない人間が言うのは大間違いだ。
当然よく聞くワードは覚える。バッグいりますか?とか。
だけど良い大人なんだから金さえあれば言語なんか必要ない。
少なくとも、喋れるようになったと言えるほどには成長できない。
本人が何か努力しない限り。
半年間、語学学校に行くでもなくただただ現地とオンラインの友達と話し続けた。
まだ話せないうちは1日100通はメールのやり取りをした。
それだけでヒイヒイ言った。大卒が聞いて呆れる。
何人も現地で友達に会ってみて、ようやく電話する勇気が出た。
それでも、半年いてこのレベルかと悔しかった。
悪いとは言わないけど、この国に居られるリミットがあることを思うと
ただただ焦らされて、もっと頑張ればよかったなと悔やんだ。
悔やむことみだだと先人たちは言うけど、悔やんでいたい思いしなきゃMAX頑張れない残念な人間もいる。
ま、あたしみたいな、ね。
私の連絡に仁さんはすぐに返信をくれた。
『ほとんど間違えない。
時々間違えるけど、意味は全部わかる。
僕が速目に喋ってもちゃんと聞き取れてる。
上手だと思う。』
嬉しかったけど
その時の彼の日本語能力は私の英語能力より上で………
『何かあったの?大丈夫?』
『仁さんには言えないよ。ごめん』
『わかった。言わなくても良いから。言いたくなったら聞くよ』
ボロボロ涙がこぼれた。
『だって、仁さんは日本語が上手で、私は英語がまだまだ大変で。
それなのに仁さんに弱音なんか吐けないよ。
これでも頑張ったって思ってるけど
自分が思うより全然だから、もっと頑張らなきゃって悔しくて。
どうしようもなくて、あんなこと質問しちゃったの。』
すぐに既読マークがついたけど、少ししてから彼から返信が来た。
ずっと入力中になっていたから、多分、考えていたんだと思う。
『多分、外に出て散歩したら良いと思う』
(´⊙ω⊙`)
『それから、よく眠ったら良いと思う』
私はポカンとして読んでいたが、彼は続けた。
『そうしたら、目が覚めた時に問題は自分が思っているより大きくないって分かると思うから』
『今はきっと、心配しすぎちゃってるから』
………仁さん。
『ありがとう。
その場しのぎな慰めじゃなくて、現実的な解決方法を教えてくれたね』
『その方がメイサさんが本当に元気になると思ったから』
『考えてくれたんだね。ありがとう』
『うん。どうしたらメイサさんが早く元気になるか考えたよ』
仁さんは
不誠実だったし
子供っぽかったと思う。
だけど
私が辛い時に、親身になってくれた。
『誰にでも言う話じゃないから。
僕のこと信用して話してくれたんだと思ってうれしかったよ』
私達は
会ったこともなかったし、すれ違ってしまったけど
その時は大好きだった。
大切な話をしたり、思いやったりもしていたんだ。
『仁、ごめんね。
でも沢山ありがとう。すごく楽しかった。
日本語の勉強頑張ってね。 メイサ』
そうやって終わった私のメールは、ちゃんと彼に届いただろうか。
怖くて、開封済みかどうかもチェックできない。
きっと返信は来ない。それでいい。
でも私は言いたいことを言ったんだから前を向ける。
私はポイと携帯をテーブルの上に置き、ラテを飲んだ。
今日はクライアントに会って、そのあと別のオフィスまで遠征して…
それから夜は咲人と電話して……
何だかんだでバタバタするなー。
ピロリン
不意に携帯が鳴った。
見ると
『送信主:仁』
!!
思わず手が震えた。
おまけに心臓がものすごい勢いで脈打ち出した。
じっ、じじじ仁さんから返信来ちゃったじゃんっっっ
どどどどどどどうしよう
読まなきゃ!?えっやだ読みたくない!
悲しくなること書いてあるんじゃないの?
もうこれ以上傷つきたくないよーーーーーーーーーー!!!!
多分その場で私を観察している人がいたら『大丈夫かあの中国人』と思ったに違いない。←日本人です
仁の書き出しはこうだった。
『メールありがとう。
俺が悪かったから、メイサは謝る必要があまりないと思う』
彼のメッセージは、意外な方向に続いていった。
続きます。
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