メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

思ってた通りになった話⑤【完】

2019-06-09 16:13:50 | アイアン
水だよ、と言いながらアイアンは戻ってきた。
お湯でもないのに小さな個室内は本当には蒸していて、
アイアンは額だけじゃなくて体にもびっしり汗をかいていた。
私は先ほど私のバッグを拭いたペーパータオルを何枚か出した。
彼の胸を拭いてやると、ごめん、ごめん、大丈夫だよと彼は繰り返した。



「メイサ、俺行かなきゃ」

「はいはい」



中途半端にシャツを着始めたアイアンの横で、
私は洗面台の鏡を覗きこんだ。
まとまってたポニーテールは崩れて、口紅も取れてる。
別にいいけど、大して盛り上がらずにこれか。




ストッキングを履き始めると、アイアンは言った。




「必要ないよ」

「キレイだから?」

「そう」




別にキレイに見せたくて履いてるんじゃないんだけどな、と思った。
何も答えずワンピースを着て裾を整えていると、アイアンがまたキスしてきた。
私の頬に手をやり、優しくゆっくりするそれは、愛情込めてやってるように見える。
私は聞いた。




「あなた、セフレにもいつもそういうキスするの」

「Yes」

「そう……。ねぇアイアン。
私、正直に答えて欲しいんだけど。
あなたって、私とただセックスがしたいだけなの?」

「違う、違うよ。俺はただ、君を俺のものにしたいだけだよ」



私は言った。



「あたしがウソが嫌いなの知ってるわよね」



アイアンは言った。



「Ok,ok... Meisa, I want you to be my fuck friend」



へぇー。
セフレってここではそう言うの。



わかったわ、と答えて、彼の腕を這う自分の指を見つめていた。
どうしてセフレになってほしいんだろう。
そんなに見た目が好きなら、それだけでも付き合おうって思いそうなもんだ。
だって、その方が身持ちが重そうな女をオトすには簡単じゃん。






ってことは多分、もうすでに彼女か妻がいるってことか。
思ってた通りだった。
イケメンで背が高くて、いい仕事についていて女好きで、
人当たりの良いこの男が
シングルな方がおかしい。
独身だよって言ってたけど
そんなのまぁ、皆そう言うよね。(トイレに連れ込まれた話③をご参照ください)




ビルを出ると、眩しい日差しが瞳を刺して、
思わず顔をしかめた。
どうでもいいけど、なんか
あんまり面白くなかったなー。





コツコツと歩きながら、今日のそれを反芻してみた。
アイアンのアイアンは、正直大したことなかった(笑)
あんだけ背が高くて四肢が長くてステキングなのに残念だ。
セフレになって欲しいと言われたことは、どうでもいい。
元々私のこと好きじゃないのはバレバレだったし
私も咲人を引きずってはいないものの傷はまだ生傷だし。
アイツ私が嫌がることはしなかったし、させなかったし。




うんっと私は背を伸ばした。





どうでもいいやーーーーーーーーー





真夏の太陽は視界も気分も明るくしてくれる。
考えなきゃいけないこと他にもたくさんあるし。
バイバーイ。






でもすぐに





ピロリン





アイアンからメールが届いた。






続きます。





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