しばらく走った後で、車は古くて美しい建物の前に差し掛かった。
真っ白な石だけで築かれたそれは、この地区の演舞場だった。
角を曲がりながらアイアンは聞いた。
「メイサは芝居は見る?」
「へ?今?」
アイアンは笑った。
「今じゃないよ。閉館してなかったらよかったね(笑)」
「あ、そ。まぁたまに行くかな。あんたは?」
「俺もたまにだね。
今夜はこの後、仲間とレイトショー行くんだ。
だから30分くらいここにいられる」
「ふーん。
よく行くの?レイトショー」
「映画見るときは大抵レイトショーだね」
「なんで?」
「静かだから!」
ウソだろうなーと思った。
あれでしょ、子供が寝てから行くんでしょ。
家族サービス終わってから仲間と遊びに出かけられるから、じゃないの?
てかむしろこのあとのそれは、デートなのでは?
とかなんとか思ったけど、フーンとだけ言った。
あたしがアイアンのことが好きなら、
自尊心と今後のために明確にしたほうが良いと思うけど
好きでもなければ好かれてもない男と
そんなことを明確にして何か良い事あんのかな。
ていうか、アイアンは多分本当のこと言わないだろうから、
私が彼を気にしていると思わせそうな質問、
する方がよっぽど恥で無駄だから、
そんなエネルギーないわ(げっそり)
私は車の中をキョロキョロした。
「これ借りたの?」
「そう!バロカーって知ってる?」
「ううん」
「そこら中にあるんだけど、まぁ30分〜円くらい」
「高くはないわね」
「全然高くないよ!まぁ空きがなきゃ借りられないんだけどね」
「ふーん、あなたのうちの近くにあるの?」
「そ。たまに使うのよ」
ふーん。
車種ってひとつだけなのかしら?
アイアンが乗ってきたそれは軽みたいなやつで、
小さな車体に彼の脚は窮屈そうだった。
車体の横に大きくバロカーって書いてあるので、
一目でレンタカーってわかるし、
それがカッコいいと思う人はまずいないだろう。
車持ってないわ、カッコよくない車で来るわ、
全然素敵じゃないなーと心の中で冷静にバカにした。
うん、私は免許すら持ってないけどね←バカにできない
トホホなメイちゃんを乗せた車は、その美しい演舞場の隣で停まった。
メイサこっち向いて、と言ってアイアンはキスした。
「ワンピース着てきたんだね」
「そうよ。あんたが着てきたって言ったんじゃない」
元々何も期待してない。
そりゃ奇跡が起こって花束片手にドライブだけをしたら
私はこのダサいバロカーの中でも恋に落ちたかもしれない。(簡単…)
でも昨今はアイアンの言動から、彼が私に本気でないのは明らか過ぎたし、
私のひどい思考回路が的中しても、ただそりゃそうだと思った。
「メイサ、後ろに来て」
促されるままに後部座席に移動し、アイアンは私を自分の膝の上に乗せた。
先ほども書いたが、バロカーは狭くて、私は彼にピッタリ密着した。
アイアンは聞いた。
「俺に会いたかった?」
私は怪訝な顔をした。
コイツ、よくそんなこと聞けるな……。
「何でそんなこと聞くの?(私がどう思っててもどうでも良いくせに笑)」
「聞きたいだけだよ、ハハハ」
と、いつものように彼は笑った。
ほんとにほんとに、なんて軽いやつなんだろう。
呆れて仏頂面の私に構わず、アイアンは沢山キスをした。
長いキスをしていると、アイアンの息が荒くなってきた。
続きます!
真っ白な石だけで築かれたそれは、この地区の演舞場だった。
角を曲がりながらアイアンは聞いた。
「メイサは芝居は見る?」
「へ?今?」
アイアンは笑った。
「今じゃないよ。閉館してなかったらよかったね(笑)」
「あ、そ。まぁたまに行くかな。あんたは?」
「俺もたまにだね。
今夜はこの後、仲間とレイトショー行くんだ。
だから30分くらいここにいられる」
「ふーん。
よく行くの?レイトショー」
「映画見るときは大抵レイトショーだね」
「なんで?」
「静かだから!」
ウソだろうなーと思った。
あれでしょ、子供が寝てから行くんでしょ。
家族サービス終わってから仲間と遊びに出かけられるから、じゃないの?
てかむしろこのあとのそれは、デートなのでは?
とかなんとか思ったけど、フーンとだけ言った。
あたしがアイアンのことが好きなら、
自尊心と今後のために明確にしたほうが良いと思うけど
好きでもなければ好かれてもない男と
そんなことを明確にして何か良い事あんのかな。
ていうか、アイアンは多分本当のこと言わないだろうから、
私が彼を気にしていると思わせそうな質問、
する方がよっぽど恥で無駄だから、
そんなエネルギーないわ(げっそり)
私は車の中をキョロキョロした。
「これ借りたの?」
「そう!バロカーって知ってる?」
「ううん」
「そこら中にあるんだけど、まぁ30分〜円くらい」
「高くはないわね」
「全然高くないよ!まぁ空きがなきゃ借りられないんだけどね」
「ふーん、あなたのうちの近くにあるの?」
「そ。たまに使うのよ」
ふーん。
車種ってひとつだけなのかしら?
アイアンが乗ってきたそれは軽みたいなやつで、
小さな車体に彼の脚は窮屈そうだった。
車体の横に大きくバロカーって書いてあるので、
一目でレンタカーってわかるし、
それがカッコいいと思う人はまずいないだろう。
車持ってないわ、カッコよくない車で来るわ、
全然素敵じゃないなーと心の中で冷静にバカにした。
うん、私は免許すら持ってないけどね←バカにできない
トホホなメイちゃんを乗せた車は、その美しい演舞場の隣で停まった。
メイサこっち向いて、と言ってアイアンはキスした。
「ワンピース着てきたんだね」
「そうよ。あんたが着てきたって言ったんじゃない」
元々何も期待してない。
そりゃ奇跡が起こって花束片手にドライブだけをしたら
私はこのダサいバロカーの中でも恋に落ちたかもしれない。(簡単…)
でも昨今はアイアンの言動から、彼が私に本気でないのは明らか過ぎたし、
私のひどい思考回路が的中しても、ただそりゃそうだと思った。
「メイサ、後ろに来て」
促されるままに後部座席に移動し、アイアンは私を自分の膝の上に乗せた。
先ほども書いたが、バロカーは狭くて、私は彼にピッタリ密着した。
アイアンは聞いた。
「俺に会いたかった?」
私は怪訝な顔をした。
コイツ、よくそんなこと聞けるな……。
「何でそんなこと聞くの?(私がどう思っててもどうでも良いくせに笑)」
「聞きたいだけだよ、ハハハ」
と、いつものように彼は笑った。
ほんとにほんとに、なんて軽いやつなんだろう。
呆れて仏頂面の私に構わず、アイアンは沢山キスをした。
長いキスをしていると、アイアンの息が荒くなってきた。
続きます!
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