(1941年)アメリカがハル・ノートを提示
太平洋戦争直前の日米交渉に於いて、日本側の妥協案を拒否するかたちで提示された米側の要求文書。
日本が日露戦争以降手にした領土・権益・軍事同盟の一切を直ちに放棄することを求める内容で、日本側はこれを事実上の最後通牒と見なし、妥協策に傾いていたそれまでの流れが、軍部を中心とする強硬策に一気に傾き、開戦が決まる。
日本の運命を決定づけた文書である。
後の研究で、米側の事実認識に一部誤解があったり、日本の外務省が文書に(開戦を促すように解釈される刺激的な)文言を加えていたこと等も判明するが、仮に日本がこれを受け入れていたとしても、日米開戦は避けられなかったと僕は考える。
米国としては膨張する日本の脅威そのものを認めていなかった訳で、要求はそれにとどまらず更にエスカレートしていただろうし、日本側の反発も当然拡大の一途を辿っただろう。
剥き出しの欲望が両国(を含む世界全体)に渦巻いていたあの時代、そして、戦争が今以上に打開の為の有効手段と考えられていた以上、一戦を交える他なかったという結論に達しざるを得ない。
良し悪しは別にして。