198万PV達成!漫画史研究家・本間正幸監修【少年画報大全】(少年画報社・現在三刷)更新復活

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「イガグリくん」福井英一先生の命日に思うこと

2014-06-27 00:32:08 | 「イガグリくん」追悼!福井英一先生!!

1954年6月26日、『冒険王』(秋田書店)連載の大人気熱血柔道漫画「イガグリくん」を連載中だった福井英一先生が過労の為の狭心症で亡くなった。享年33歳。
『週刊少年キング』(少年画報社)連載の藤子不二雄A先生の不朽の名作「まんが道」で福井英一先生の代表作「イガグリくん」の存在を知る。
最初は「イガグリくん」のドラマ主題歌を聴き、素晴らしい青春ソングなのに、「イガグリくん」なんて変なタイトルだな?
と、思っていたのだが、「まんが道」から、「イガグリくん」と、巻末の広告で河島光広先生の探偵漫画の不朽の名作「ビリーパック」の存在を知り、その内容の素晴らしさ、河島光広先生の生きざまに衝撃を受け、少年画報社に単行本を編集した桑村誠二朗さんを訪ねて「ビリーパック」の話を聞いた程。
その時、桑村誠二郎さんと一緒に対応してくれたのが戸田利吉郎さん。
2001年、私が『少年画報大全』を監修した際に、担当役員として対応してくれるのだから正に運命的な出会いだったといえるだろう。
丁度その頃、現代マンガ図書館がオープン。
筑摩書房の『少年漫画劇場』の存在を内記稔夫館長から教わり、「イガグリくん」と、「バット君」が収録された巻を購入。
少年漫画として描かれた時代背景と、その内容の素晴らしさ、井上一雄先生、福井英一先生の生きざまに涙する。
筑摩書房を訪ねて、担当編集だった松田哲夫さんから、既に絶版だった『少年漫画劇場』を何冊か購入させて貰う。
松田哲夫さんの紹介で、「ふしぎな国のプッチャー」横井福次郎先生のお宅へ、訪ねて行ったのは、1979年の2月頃のことだろう。
戦後の少年漫画の世界で、当時人気絶頂の為、命を落とした漫画家さんの悲劇は、「ふしぎな国のプッチャー」の横井福次郎先生1948年12月5日死去享年36歳、小川哲男先生代筆で三ヶ月連載で完結。「バット君」の井上一雄先生1949年5月3日死去享年35歳、福井英一先生補筆で8カ月連載完結。「イガグリくん」の福井英一先生1954年6月26日死去享年33歳、有川旭一先生など、数人で連載継続。「ビリーパック」の河島光広先生1961年3月19日死去享年30歳、矢島利一先生で約一年連載継続後、完結。と続いていく訳だが、私達世代のマンガファンの間で、そのことを知る者は余りにも少な過ぎる。
多感な少年時代にその事実を知った私は、自他共に認める「漫画バカ一代」となり、現代マンガ図書館の即売会、神田神保町の中野書店、中野ブロードウェイのまんだらけ、神保町の翠光堂、八王子の佐藤書房などで、小遣いをはたいてでも、横井福次郎先生の作品、井上一雄先生の作品、福井英一先生の作品、河島光広先生の作品を中心に集め続けて、今、35年の歳月が過ぎて行った。

今日の画像は、2001年に私が監修した『少年画報大全』(少年画報社)で紹介した福井英一先生の作品紹介と、福井英一先生直筆のサイン入り単行本全三集である。
時代と共に色褪せてしまうその場限りの漫画評論家達の文章でなく、時代を越えても通用する漫画史研究家の私が描いた文章なので、(*^0^*)/福井英一先生の作品解説として再録させて貰うことにする。

特集01福井英一『赤胴鈴之助』

手塚治虫最大のライバル出現

赤胴鈴之助誕生前夜

「冒険王」の『イガグリくん』の大ヒットで知られる福井英一は「少年画報」でも人気作家であった。『どんどこドン助』や『小粒べんけい』など時代物を得意とした福井が満を持して連載を始めたのが後に武内つなよしによって一大ブームを巻き起こす『赤胴鈴之助』である。この『赤胴鈴之助』の予告は『小粒べんけい』ラストページ半分を使ったカラーによる破格の扱いであった。そして連載第一回目は巻頭カラー。それだけ期待され、人気が予想される作品であった。
けれども、悲劇はこの時起こった。なんと福井英一が過労のため急死したのである。享年33歳の若さであった。福井がメジャーになったのは「漫画少年」誌上において『バット君』で大人気だった井上一雄が連載途中に35歳の若さで急死し、その代作を務めてからである。その福井までもが過労のため急死してしまったのだ。戦後の少年漫画界には、人気絶頂のために命を縮める結果となった人々が何人もいる。いまでは人気漫画家にはアシスタントがおり、分業により、仕事量の調節も出来るが、当時は全て一人で描くことが熱心な少年読者に対する作家の誠意であった。
福井版の鈴之助は両親を亡くしているため剣によって身を立てようと願う少年である。それは戦争によって両親を亡くしてしまった子ども達に立派に生きて貰いたいと願う福井の応援歌だったのではないだろうか?
単行本収録の際には、武内によって描き改められているため、今回は幻の作品となった福井の筆による第一回分のすべてを収録した。(本間)

DATA

「どんどこドン助」S26.5~S27.12月(全19回)S26年5月号「少年画報」初連載

「小粒べんけい」S28.1~S29.7月(全19回)S29年7月号人気絶頂の時、毎回巻頭カラーで連載

「進め三太馬車」S28.11月号付録S28年11月号 B6判66Pに渡る大別冊付録!!この頃から人気急上昇
「赤胴鈴之助」S29.8月号(絶筆4P)S29年7月号 破格のカラー予告で鈴之助登場

S29年7月号 貴重なインタビュー記事

S29年9月号 悲しいお知らせ


福井版赤胴鈴之助 幻の第一話完全復刻

s29年8月号 手塚治虫の作風と対極にある武道をテーマとした熱血物を得意とした。その作風は佐藤紅緑の熱血小説の漫画版ともいえる。オールカラーによる全ページ再現は実に47年ぶりとなる。
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