【週刊ゲーム市場分析】「とびだせ どうぶつの森」で注目された3DSのダウンロードカードは売れているのか?

2012年11月18日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第71回。
毎週のゲームソフトの販売本数を予想し、ポイントを競うYSO3の参加型企画【Y1】もよそしく!

--------------------------------------------------------------------------------
今回のファミ通TOP30(ファミ通.com掲載データはログが残らないため、YSO3のメインBBSにコピペ)
※前作データ等はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。
※年間販売本数データ等はGEIMIN.NET様よりお借りし、独自集計。
※アニメディスクの販売枚数はアニメDVD・BD売り上げまとめwiki様よりお借りしています。
--------------------------------------------------------------------------------

■「とびだせ どうぶつの森」がシリーズ最高、3DSソフトとしても1位の出足

今回の首位は「とびだせ どうぶつの森」(72.2万本)。ここでいつものようにシリーズの販売実績を掲載してみる。



「どうぶつの森」シリーズ誕生から12年目、シリーズ6作目にして最高の初週本数を記録している。3DSソフトの初週本数としても「ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D」(初週48.9万本)を抜いて1位の出足となった。



今作がこれほどの勢いとなった理由は、前作にあたる「おいでよ どうぶつの森」が500万本以上まで販売を伸ばしており、完全新作となる今作を待望していたユーザーが多かったことが第一に上げられるだろう。7月発売の「New スーパーマリオブラザーズ2」(初週43.0万本)の前作は「おいでよ どうぶつの森」を上回る600万本以上を販売していたが、3DSではすでに「スーパーマリオ 3Dランド」が累計170万本以上を販売、さらに12月には新ハードWii Uと同時に「New スーパーマリオブラザーズ U」も登場する。そのためユーザーの購入が分散していることも考えられそうだ。


■店頭販売の3DS「ダウンロードカード」は売れているのか?

「とびだせ どうぶつの森」はファミ通集計では72.2万本だったが、メディアクリエイト集計で60.3万本(消化率96.09%)、電撃オンライン集計で55.9万本(同95%前後)と公表されている。後者の2つの集計機関では店頭で購入できる「ダウンロードカード」が本数に含まれていない。(電撃オンラインではコメントで明記、メディアクリエイトもコメントから推計できる)

そして今作の出荷本数が週末までに約60万本と公式に発表されていること、上記の消化率のデータや実際の市場の状況をみても今作がほぼ完売状態であったことなどを考えると、ファミ通集計の「72.2万本」にはダウンロードカードの本数(枚数)が含まれていると推計できる。

また、ダウンロード版の販売合計は約20万本であると公式に発表されているので、ファミ通集計とメディアクリエイトおよび電撃オンラインの集計差から、ダウンロードカードを介してのダウンロード版の販売は12~17万本程度と思われる。

今作「とびだせ どうぶつの森」ではパッケージ版が極度の品薄に陥ったこと、テレビCMでダウンロード版が強くアピールされていたこと、そして毎日少しずつ遊ぶというゲームのプレイスタイルを考えると、ソフトの差し替えが要らないダウンロード版との相性がいいことなど、ダウンロード版が選ばれる理由は多かった。

しかしそのほかのタイトルのダウンロードカードの販売状況はどうだろうか。これまでもダウンロードカードがファミ通では集計、メディアクリエイトおよび電撃オンラインでは集計されていないと仮定し、ダウンロードカードが登場した今年7月以降に発売され、3つの集計機関にランクインした15タイトルについて調べてみた。(そのうちダウンロードカードが同時発売されたケースは6タイトル)

※データ作成方法
・メディアクリエイトと電撃オンラインのデータの平均値を計算
・その平均値をファミ通の値と比較、「比率」の欄に掲載



ダウンロードカードが発売された6タイトルのうち、5タイトルでファミ通集計が平均値より多くなった。中でも「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」は、今作「とびだせ どうぶつの森」と同様、毎日少しずつプレイするスタイルのためか、その差は比較的大きい。

しかしダウンロードカードが発売されていない9タイトルをみても、そのうち7タイトルでファミ通集計が平均値より多くなっており、総じて言えば、今回のようにダウンロードカードが集計に含まれていることで本数が劇的に増えているケースはあまりない。

ダウンロードカードのないタイトルでも集計誤差が多いので、どれほどの数が売れているか推計は難しいが、今回のように条件が揃わない限り、ダウンロードカードが店頭で大きく動くことはないのだろう。

その理由としては、やはりダウンロードカードの価格が通常版と同じ点が上げられそうだが、今回のように通常版が極度の品薄となり、生産が追いつかないケースでは有効となるのは確か。3DSのダウンロードカードが市場において存在感を発揮するのは、当面はこのようなケースに限られそうだ。


<追記・おまけ>
今回の集計機関で3DSが累計800万台を突破。ここで改めてDSの販売推移と比較してみた。



「おいでよ どうぶつの森」発売効果で一時的に週間販売台数が増加(16.9万台)。しかしDSの2年目のこの時期(発売から80週前後)は毎週、今回に近い驚異的な販売数を記録していた。3DSは2回目の年末商戦でどれだけDSとの差を埋められるかが注目されるところ。


【関連記事】
【週刊ゲーム市場分析】「大神 絶景版」が好調、二極化するPS3“HDリマスター版”の販売傾向
【週刊ゲーム市場分析】「アイドルマスター」は堅調な本数、VITA発売後のPSP市場は?
【週刊ゲーム市場分析】「ダンボール戦記W」は初週10万本、マルチ戦略で本数の維持はできるか?
【週刊ゲーム市場分析】任天堂ハードのオリジナルタイトルとしては記録的ヒット「ブレイブリーデフォルト」
【週刊ゲーム市場分析】「バイオハザード6」が前作の累計本数を上回る初動となったワケは?
【週刊ゲーム市場分析】「GIRLS MODE」は健闘も、発売2年目の販売台数に陰りがみえる3DS
【週刊ゲーム市場分析】劇場版公開も、アニメファンを取り込み切れなかったPSP版「TIGER&BUNNY」
【週刊ゲーム市場分析】「鉄拳」は半減。アミューズメント施設市場と並行し、縮小の進む格闘ゲーム市場
【週刊ゲーム市場分析】新市場を獲得し、1ハード依存のリスクを分散し成長を続ける「モンスターハンター」
【週刊ゲーム市場分析】VITA「初音ミク」が初週15万本、ヒット作は生まれながらもハードが伸びない理由は?