【週刊ゲーム市場分析】ついに値下げのカードを切ったVITA、「6万台」は評価できるか?

2013年03月12日 | 団長は断腸の思い
ゲームソフトの週間販売本数からゲーム市場を分析する記事の第83回。相変わらず予定より遅れてます。
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※前作データ等はすべてゲームデータ博物館様(ファミ通データ)より転載。
※年間販売本数データ等はGEIMIN.NET様よりお借りし、独自集計。
※アニメディスクの販売枚数はアニメDVD・BD売り上げまとめwiki様よりお借りしています。
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■「無双」「レイトン教授」シリーズは下げ止まりが見えたか

多数の新作が発売される中、首位を獲得したのは「真・三國無双7」(21.3万本)。2位には「レイトン教授と超文明Aの遺産」(13.3万本)が続いた。ここでいつものように両シリーズの販売実績を掲載してみた。



「無双」シリーズのメインとしては、ほかに「戦国無双」シリーズもあるが、同シリーズはWiiでのナンバリング展開があり推移(隆盛)が見えにくいので割愛。「真・三國無双」と「無双OROCHI」シリーズのみを掲載した。

改めてシリーズの推移を見ると、PS2「真・三國無双3」をピークに減少が続いたが、PS3・360「真・三國無双5」以降は下げ止まっている。「5」以降は初週20万本超、累計40万本前後を維持しているのが分かる。割愛したPS3「戦国無双3 Z」(Wii版のリメイク)も初週22.4万本、累計32.9万本と大きくは変わらない。PS3移行で勢いが衰えたイメージのある同シリーズだが、むしろPS3への移行で下げ止まったと言えるのではないだろうか。



「無双」シリーズと似た展開を見せているのが上記の「レイトン教授」シリーズ。今回の「超文明Aの遺産」にて3DSで3作目となるが、「奇跡の仮面」は本体同発、「VS逆転裁判」はコラボであり、シリーズの隆盛が見え辛かった。そんな中、今作も前2タイトルと同程度の初週本数となり、3DSにおけるシリーズの販売規模が見えてきた。こちらも「無双」シリーズ同様、新機種(3DS)以降で衰えたイメージがあるが、下げ止まっていると見ることもできそうだ。


■値下げのVITAと同時発売「閃乱カグラ」と「ファンタシースターオンライン2」が好発進

後でも触れるが、値下げとなったVITAは週間6.1万台を販売。同時発売の「閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-」(9.2万本)と「ファンタシースターオンライン2 スペシャルパッケージ」(5.6万本)はVITAタイトルで3位と4位の初週本数に。



「閃乱カグラ」はテレビアニメ放送の効果もあったと思われるが、3DSの前2作を上回る好調なスタートを切っている。発売直後から品切れが相次ぎ、初週消化率は90%以上と報じられており、出荷本数次第ではさらに本数を伸ばしていた可能性があるだろう。VITA値下げの恩恵を十分に享受したと言えそうだ。



「閃乱カグラ」と対照的だったのが、PSPで3作目となった「シャイニング・アーク」。PSPの前2作に比べて大きく本数を落とす結果となった。VITAでのプレイを見据えてダウンロード版のシェアが高くなっていることも考えられるが、ハード移行のタイミングが遅れたと見ることもできそうだ。




■VITAの値下げ初週「6万台」は評価できるか?

先にも触れた通り、VITAはついに値下げのカードを切った。週間販売台数の6.1万台は値下げ前4週の平均販売台数の約7倍となる。以下のテーブルに、これまでのハードの大幅な値下げの例をピックアップしてみた。(基本は5000円以上かつ20%以上の値下げ、PSPは例外だが比較対象としてピックアップ)



もっとも比較の対象となるのは直近の3DSと思われるが、その3DSは値下げ前4週平均の約9倍を値下げ週に販売していた。値下げ発表のタイミング等もあるので一概に比較はしにくいが、値下げ金額や値下げ率を考えると、約7倍となったVITAの6.1万台という数値は評価してもいいのではないだろうか。

次の評価のポイントとしては、増加した販売台数をどれだけ維持できるかということになるが、3DSは値下げ翌週からの4週平均で、値下げ週の約3分の1を保っている。PS3の場合も同程度。VITAの場合は、とりあえず、次週から4週平均で2万台程度を保ちたいところだ。この4週は有力作が多く発売されるので、その水準はクリアできるかもしれない。その先はVITAに限らず閑散期となるので、今後の4週で少しでも多くの販売台数を稼いでおきたいところだ。


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