![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/b0/b813923179bb5fd0a7b31bc707e957bb.jpg)
「小泉八雲ー日本美と霊性の発見者」池田雅之・著(角川ソフィア文庫)2021年9月発行
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン 1850〜1904)という作家が気になったのは遥か昔、
なぜ名前がふたつあるのか、なぜ日本の怪談を書くようになったのか、という疑問からでした。
何しろ中学校の英語の教科書に“MUJINA”というのっぺらぼうの話と、
高校の英語の教科書には虫の鳴き声に関する彼のエッセイが載っていましたから、
更に気になり出したのです。
気になり出す度に、彼の著作本を読んでみる、、、ということが何度かあり、
10年ほど前に神奈川近代文学館の「小泉八雲展」にも行きました。
この古い文庫本をたまに出して読んでみたりしました。
↓
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/30/969b83c05fd766ce073e3ea40c9f5a54.jpg)
左》「小泉八雲集」上田和夫・訳(新潮文庫)
右》「怪談・奇談」田代三千稔・訳(角川文庫)
この手元にある本の他に、彼の妻が書き残した本や、
八雲が日本の底辺の人たちの文化を書いた本、随筆など読んでみました。
今回手にした池田雅之氏の「小泉八雲ー日本美と霊性の発見者」は
八雲の人生とその軌跡から伺える彼の内面に光を当てたものと感じました。
アイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれた後、
4歳で母親と生き別れになり、厳しい大叔母に育てられ、
意に沿わないカトリック系の学校に入れられ、16歳で学友の遊具により左目を失明するなど散々な青春時代を過ごします。
後にアメリカに渡って新聞記者になり、その間フランス文学を初めて英語に翻訳したり精力的に活動しました。
日本に興味を持つ機会があり、日本に渡り教職を得ました。(大陸間横断鉄道や太平洋の航路が開かれた時代でした)
40歳で来日して54歳で亡くなるまでわずか14年の日本生活ではありましたが、
非常に中身の濃い人生・・・それは一家の長として、また作家、ジャーナリスト、教育者としての働きは情熱に満ちていました。
最初の赴任地である島根県の松江で、古来からの日本の美しさに感動してはいたのですが、
次の赴任地の熊本が(西南戦争ですっかり荒廃した街並みが復興のために)
近代化されていたことに失望したりします。
鉄道を通すために、田畑が壊され自然を犠牲にすることに嘆き悲しんだそうです。
心の拠り所のようにして散策していた近所のお寺で、
住職が財政難のために寺の木々を切って売ろうとしたことに抗議嘆願したり、
彼の思慕や願いとは逆の方向に日本の近代化が推し進められて行きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/49/27cb04fdac5b9510aba3db4937119e5a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/6d/2fe419a1339d035a9afdbf295045a04f.jpg)
copyright © mike-boy
彼は小泉節(せつ)という日本人女性と結婚し「小泉八雲」として帰化します。
彼女が知っている民話や昔話などに感銘を受けて
八雲は「再話文学者」として多くの作品を書きました。
その中でも「耳なし芳一」「雪女」「むじな」「ろくろ首」などが代表的で
ほとんど彼の再話文学として海外向けに発表されたものが
後に逆輸入のような形で日本でも評判になりました。
また日本の文化や人々について紹介した記事を、アメリカの新聞社などに寄稿していました。
余談ですが、その紹介した文章が載っている本を読んでみたところ、
明治時代の日本の紹介が遥か未来(つまり現代)の私たちにも分かるように書かれていることに感動してしまいました。
例えば「回り灯篭」のことが実に細かく丁寧に説明されていて
(明治時代からは)外国人のような状態の現代人にも理解出来る内容でした。
晩年は東京帝大(現 東京大学)でも英文学の教師となり
文学の価値や面白さを丁寧に講義し学生たちに評判が良かったそうです。
驚くことに、その講義内容をノートに書き留めて遺した学生がいて、
それを『小泉八雲東大講義録ー日本文学の未来のために』として
池田氏により近年発行されています。
また、八雲の心の中には常に4歳で別れた母の面影があって、
作品の中にもそれが反映されているのではないか、
と池田氏は述べています。(「雪女」などに)
今回は、小泉八雲の心の軌跡を伺う読書体験でした( ꈍᴗꈍ)
昨年購入して最近読み終えた長い長い旅でした。
(ほとんど就寝前に読んでいるので遅いのです→言い訳?)
更に八雲さんに近づけたような錯覚のまま・・・
おやすみなさいZzz(=_=)
夢の中で八雲さんとお話してみたいなぁ☆
長くなりましたが、それでも読んで下さった方ありがとうございました。
※ 追記;八雲はキリスト教嫌いで、その上母方がギリシャ人という多神教に抵抗のない精神文化が下地にあったせいかも知れないが、
日本の八百万の神々にも抵抗がなく「アニミズム」(人間の生命と自然界の生物の命は同等である)のような柔軟な考え方があるために民話に見られるそれらをも受け入れられたのだと私なりに発見し納得しました。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン 1850〜1904)という作家が気になったのは遥か昔、
なぜ名前がふたつあるのか、なぜ日本の怪談を書くようになったのか、という疑問からでした。
何しろ中学校の英語の教科書に“MUJINA”というのっぺらぼうの話と、
高校の英語の教科書には虫の鳴き声に関する彼のエッセイが載っていましたから、
更に気になり出したのです。
気になり出す度に、彼の著作本を読んでみる、、、ということが何度かあり、
10年ほど前に神奈川近代文学館の「小泉八雲展」にも行きました。
この古い文庫本をたまに出して読んでみたりしました。
↓
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/30/969b83c05fd766ce073e3ea40c9f5a54.jpg)
左》「小泉八雲集」上田和夫・訳(新潮文庫)
右》「怪談・奇談」田代三千稔・訳(角川文庫)
この手元にある本の他に、彼の妻が書き残した本や、
八雲が日本の底辺の人たちの文化を書いた本、随筆など読んでみました。
今回手にした池田雅之氏の「小泉八雲ー日本美と霊性の発見者」は
八雲の人生とその軌跡から伺える彼の内面に光を当てたものと感じました。
アイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれた後、
4歳で母親と生き別れになり、厳しい大叔母に育てられ、
意に沿わないカトリック系の学校に入れられ、16歳で学友の遊具により左目を失明するなど散々な青春時代を過ごします。
後にアメリカに渡って新聞記者になり、その間フランス文学を初めて英語に翻訳したり精力的に活動しました。
日本に興味を持つ機会があり、日本に渡り教職を得ました。(大陸間横断鉄道や太平洋の航路が開かれた時代でした)
40歳で来日して54歳で亡くなるまでわずか14年の日本生活ではありましたが、
非常に中身の濃い人生・・・それは一家の長として、また作家、ジャーナリスト、教育者としての働きは情熱に満ちていました。
最初の赴任地である島根県の松江で、古来からの日本の美しさに感動してはいたのですが、
次の赴任地の熊本が(西南戦争ですっかり荒廃した街並みが復興のために)
近代化されていたことに失望したりします。
鉄道を通すために、田畑が壊され自然を犠牲にすることに嘆き悲しんだそうです。
心の拠り所のようにして散策していた近所のお寺で、
住職が財政難のために寺の木々を切って売ろうとしたことに抗議嘆願したり、
彼の思慕や願いとは逆の方向に日本の近代化が推し進められて行きました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/49/27cb04fdac5b9510aba3db4937119e5a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/6d/2fe419a1339d035a9afdbf295045a04f.jpg)
copyright © mike-boy
彼は小泉節(せつ)という日本人女性と結婚し「小泉八雲」として帰化します。
彼女が知っている民話や昔話などに感銘を受けて
八雲は「再話文学者」として多くの作品を書きました。
その中でも「耳なし芳一」「雪女」「むじな」「ろくろ首」などが代表的で
ほとんど彼の再話文学として海外向けに発表されたものが
後に逆輸入のような形で日本でも評判になりました。
また日本の文化や人々について紹介した記事を、アメリカの新聞社などに寄稿していました。
余談ですが、その紹介した文章が載っている本を読んでみたところ、
明治時代の日本の紹介が遥か未来(つまり現代)の私たちにも分かるように書かれていることに感動してしまいました。
例えば「回り灯篭」のことが実に細かく丁寧に説明されていて
(明治時代からは)外国人のような状態の現代人にも理解出来る内容でした。
晩年は東京帝大(現 東京大学)でも英文学の教師となり
文学の価値や面白さを丁寧に講義し学生たちに評判が良かったそうです。
驚くことに、その講義内容をノートに書き留めて遺した学生がいて、
それを『小泉八雲東大講義録ー日本文学の未来のために』として
池田氏により近年発行されています。
また、八雲の心の中には常に4歳で別れた母の面影があって、
作品の中にもそれが反映されているのではないか、
と池田氏は述べています。(「雪女」などに)
今回は、小泉八雲の心の軌跡を伺う読書体験でした( ꈍᴗꈍ)
昨年購入して最近読み終えた長い長い旅でした。
(ほとんど就寝前に読んでいるので遅いのです→言い訳?)
更に八雲さんに近づけたような錯覚のまま・・・
おやすみなさいZzz(=_=)
夢の中で八雲さんとお話してみたいなぁ☆
長くなりましたが、それでも読んで下さった方ありがとうございました。
※ 追記;八雲はキリスト教嫌いで、その上母方がギリシャ人という多神教に抵抗のない精神文化が下地にあったせいかも知れないが、
日本の八百万の神々にも抵抗がなく「アニミズム」(人間の生命と自然界の生物の命は同等である)のような柔軟な考え方があるために民話に見られるそれらをも受け入れられたのだと私なりに発見し納得しました。
題名は思い出せないのですが、おそのという女性が子供を残して若くして亡くなった。葬儀も終わり、遺品整理もすんだ頃、残した子が死んだ母、おそのを見たと頻繁にいいだした。家のものが僧に相談し、経を読んで貰ったところ
おそのが現れてタンスを指差して消えた。僧はそのタンスに隠し引き出しがあり、おその宛の恋文を見つけた。恋文というには淡いものではあったけれど、亡くなったおそのは気になってたまらなかったのだろう。僧はその手紙を誰にも言わずお焚き上げをする。以後、おそのは二度と現れなかったという物語を思い出しました。
確か耳なし芳一も八雲で読んだような気がするのですが。
今度、八雲の本を読みたくなりました。ありがとうございました。
小泉八雲、なつかしい!
耳なし芳一の映画で、たしか丹波哲郎さんの落ち武者、めちゃ怖かったのをおぼえています。
実は夫がハーンの大ファンで、というか、夫は日本大好きなアメリカ人で自分とハーンを同一視してるというか、妄想癖があるんじゃないかと私は思うんですが。
ハーンのマネをしたがるといいますか……
ハーンと節さんは「へるん」語というお二人にしかわからない文法で会話していたというのを聞くと、
私達夫婦もイングリッシュじゃなくて日本語英語まぜこぜの「ジングリッシュ」で会話しようということになって、例えば「すごくでかい」という形容詞は「ゴジラ」と言うとか。
ハーンと聞くとそんなことを思い出して懐かしくなり、ココの母さんの日記をじっくり読ませてもらいました。
ハーンの54年の生涯はみじかくても、とても素晴らしいものを私達に残してくれたと思います。
私の中で、漱石とハーンの顔がオーバーラップするんですが、ハーンのほうが年上なんですよね。
ジラゴンくん、ハーンとおはなしできていいな👍👍😉
近代化と自然破壊、両立は難しいですよね。
ハーンが悲しまないような世界の実現を心から望んでます。
私もまたハーンの作品読みたくなりました。
土日は雨でどこにも出かけないので家で小泉八雲めぐりしてみようかなと思います。
そうなんです、八雲の怪談は怖い部分もありますが、どこか哀しくて切ないお話が多いですよね。
みかんさんが述べて下さったお話、私も覚えていて結構好きなストーリーです。
上の2冊の本のどちらにも収められていて、タイトルは『葬られた秘密』というものです。
私もこの機会に再読してみました。内容はみかんが仰ってたそのもの(記憶力すごいですね)ですが、
八雲の表現が本当に映画を観ているような丁寧な描写で、再び感動してしまいました。
これは丹波の国のお話で、お園さんがどういう生まれでどういう経緯で嫁いで行ったか、とか僧が幽霊のお園さんの前で箪笥の引き出しをひとつひとつ開けていく場面とか、息を呑む感じです・・・
みかんさんのお陰で、また八雲の作品のひとつを読むことが出来ました、ありがとうございます。
『耳なし芳一』もあれだけの細やかな描写が出来るのは、目が多少不自由だった八雲自身の音と雰囲気という鋭い感性で書き上げたものだからと思います。
みかんさんと八雲の話が出来て嬉しかったです。
コメントの途中で、みかんさんを呼び捨てにしてしまいました(╥﹏╥)
失礼をお許し下さいねm(_ _)m
え〜?『耳なし芳一』の映画があったんですか!
私はテレビの、女性がこのお話をしながらところどころ映像で進めて行くという番組を小学生の頃観たのを覚えています。
丹波哲郎さんの平家の落ち武者姿、観てみたいなー。
leelinさんと夫さんの会話がすごく楽しそう♪
すごくでかい、が「ゴジラ」ですか!何だか嬉しい(✷‿✷)
夫さんがハーン好きって以前伺いましたけど、ハーンになりきって(もしかしてハーンが憑依したのかな)振る舞われていたのが何かお茶目で、おふたりの会話を聞いてみたかったなぁ、と思います(*´ω`*)
漱石とハーンがオーバーラップするのは、きっとハーンが辞めた後に漱石が引き継ぐ形で帝大の教師になったからかしら。それにどちらもおヒゲがあるし。
私の代わりにジラゴンくんに、ハーンに会ってもらいました。代わりに叱られましたけどね 笑
明日も雨らしいですね。
小泉八雲巡り、いいですねえ♪
彼の作品にどっぷり浸かる時間があるのもいいですね♡
体調を崩しやすい時期ですので(私もです)お互い無理せずマイペースで過ごしましょうね。
題名を教えて下さってありがとうございます。(^^*)