詩仙堂の書院前に咲く山茶花の写真を、やっと見つけた。台風で倒れてしまったという山茶花の巨木。
・『京の古寺から 3 詩仙堂』 水野克比古・石川順之(淡交社) 1995年1月24日初版 p.54~55
座敷から砂とさつきの庭に向かえば、右手に二抱えほどもあろうかという幹があり、広縁に平行に伸びる枝に、小さな白い花がいくつも見える。その枝は、書院幅の2/3はありそうだ。写真の撮影時、座敷に座ったなら、最も低い枝の数本しか見えなかっただろう。広縁ぎりぎりに座って、仰ぎ見る、そういうものだったに違いない。砂には花びらが落ちている。どうやら今のような白砂ではないようだ。箒目も見えない。山茶花のあたりは開けていて、若い木の根元が見える。サツキの足元にギボウシはほとんどない。
約30種の花の写真は、名前を確認するのに役立ちそうだ。ご住職の文章もあり、詩仙堂ファン必携ではないだろうか。
・『京・古社寺巡礼 6 詩仙堂の四季 水野克彦写真集』 (東方出版)2005年1月21日初版
こちらは山茶花が倒れた後の出版なので、他の花々を確認するときに。「貝母百合」「檜扇水仙」など、前掲書には記載がなかった。檜扇、祇園祭に飾られる、あの檜扇?葉はもっと肉厚で、しっかりと太かったような気がするが。
・『今昔都名所図会 5 洛北』 竹村俊則・門野康夫(京都書院) 1992年8月 p.8~11
大判で見やすい書籍。階段下の庭からの眺めは、よく茂った山茶花があるように見える。が、はっきりと写ったものはない。
・『京の名花・名木』 竹村俊則(淡交社) 1996年9月28日初版 p.101~102
本書に写真はなく、文章のみである。山茶花の高さは通常3~5メートルと断った上で、詩仙堂の山茶花の大きさを「高さ10メートル、幹の回りは1.54メートル」とし、「サザンカとはちょっと信じられない位の圧倒的な量感を覚える」と表現する。凹凸窠とその庭園を造った石川丈山が、作庭時に植えたという。1641年造営なので、樹齢はおよそ370年。それほど育つとは、よほどこの地に合っていたのだろう。
山茶花のある庭も良いが、私は今の庭が好きだ。階段下の紅葉の連なり、さつきの刈り込みと白砂のバランスが良いのだ。山茶花が育ちすぎて、もとの庭のバランスを崩していたのではないか、そんな気がする。やはり実際に見たかった、というのが本当のところだが。