昨日、御所(御苑)を歩いた。
写真上は、中立売駐車場沿いの小道の紅葉。
足を止めたくなるようなモミジの木もある。
清所門(せいしょもん)内側で手荷物検査を受けて、京都御所を建物外から見学する。御苑の松も剪定されていると聞くが、御所の松は特に念入りに剪定されているようだ。「御所透かし」という技法を用いるらしい。
☆御内庭の松(左端)
《京都》御所と離宮の栞 - 京都御所 (宮内庁京都事務所:《京都》御所と離宮の栞 p.4-5 其の十二「御所透かし」)
京都御苑|京都御苑|国民公園|環境省 (環境省HP:【お知らせ】作業を予定しています)
*環境省HPでは、生垣の刈り込みなどの作業期間が記されている。
松のもみあげと剪定 -年末を迎えて- : 京都御苑 | 一般財団法人国民公園協会(国民公園協会HP)
国民公園協会って何だろう、と検索してみる。
事業概要 : 国民公園協会 (国民公園協会:事業概要)
ここには、苑内の管理業務として「国からの委託業務により、国民公園苑内管理運営業務(庭園・植生管理業務、清掃業務、巡視・利用指導業務、温室業務、広報・案内業務等)を行っています」とある。
つまり、御苑の樹木は環境省の管轄で、同省に委託された国民公園協会が管理し、京都御所の塀に囲まれた建物や木々は宮内庁(京都事務所林園課)の管轄ということだ。剪定に差があるのもうなずける。
さらに、御苑内にある京都迎賓館は、内閣府の管轄とのこと。来苑者にわかりづらいだけでなく、三者間で軋轢もあるのではと想像される。
閑話休題、小御所(こごしょ)前の「御池庭(おいけにわ)」は、思いのほか広い池を中心としている。「回遊式庭園」とリーフレットにあるが、見学者は周囲を巡ることはできない。
御学問所(おがくもんじょ)を過ぎ、御常御殿(おつねごてん)の塀の開口部から御内庭(ごないてい)を撮影。
御所でやっと出合えた紅葉。
御内庭は、庭石や橋、燈籠と、多様な樹木が調和したいいお庭である。手をかけた剪定であることがうかがわれ、清々しい。
紫宸殿前の「南庭(だんてい)」は「左近の桜」「右近の橘」以外は白砂が敷き詰められている。「即位の礼などの重要な儀式(リーフレット)」の妨げにならないように、であろう。
清涼殿前は、現在「漢竹」「呉竹」が置かれているほかは、こちらも白砂である(二箇所とも、人が多く撮影していない)。御常御殿ができる前(1590年以前)は天皇の住居であったと同時に「政事・祭事などの重要な儀式もここで行われた(リーフレット)」ため、同様に、植栽されなかったのだろうと想像する。ちなみに、平安京の内裏では清涼殿は紫宸殿の西にあり、『信貴山縁起絵巻』によれば清涼殿東面の南側だけに「河竹(かわたけ)」が植えられていたようだ(小学館 日本古典文学全集20『源氏物語①』図録「清涼殿・後涼殿図」)。
日常に住まう場所に植栽がないのは安らぎに欠ける。造営した秀吉は、そこまで気を配ったのだろうか。
入場時と同じく清所門より出ると、目の前に実のなる大木があった。
栴檀は双葉より芳し、と顔を近づけてみても、葉も実も幹も香りがしない。辞書を引いて納得。栴檀=香木=ビャクダンと思い込んでいたが、違う種類の木であった。
**************************************************************************
せんだん【栴檀】
①センダン科の落葉高木。高さは約8m。葉は羽状複葉で葉柄が長い。初夏、葉のわきに淡紫色の小花を多数つける。実・樹皮は薬用、材は建築・家具となる。わが国をはじめアジア各地に分布。
②ビャクダンの異名。=は双葉より芳し ビャクダンが発芽の頃から早くも香気を放つように、大成する人は幼児のころから人並み外れて優れたところがあるというたとえ。
(集英社『国語辞典』)
**************************************************************************
念のため、ビャクダンについて。武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園HPには、ビャクダンの葉・果実・幹の画像が掲載されている。日本新薬株式会社 山科植物資料館HPにも、画像ほか詳しい解説がある。
京都府立植物園 見ごろの植物情報 平成21年6月26日/京都府ホームページ
御苑の開花・紅葉状況は、次のHPで確認できる。
京都御苑の見どころ : 京都御苑 | 一般財団法人国民公園協会(国民公園協会:お知らせ 苑内開花・紅葉状況)
建物については、またいつか。