大田神社のカキツバタと同様、詩仙堂のさつきも、今年は常よりも開花が遅れている。京都観光NaviHPでは、「5月26日現在 2~3分咲き」となっていたので、そろそろ五分咲きかと行ってみた。
京都観光NaviHP:花だより(http://kanko.city.kyoto.lg.jp/feature/flowermail.php)
「老梅関」門をくぐり、建物入り口へ向かうとき、開け放たれた障子から、座敷正面のさつきが見える。端正な佇まいの刈り込みに、花はまだまばらなのを認め、開花に遅れるよりは、早めの方がいいから、と自分を納得させる。ここ数年、開花は木によって、あるいは場所によって1週間以上のズレがあり、目を見張る満開に出合えないのだから、階段下からの眺めはまた違うかもしれないし。
いつもなら、座敷奥(至楽巣)の縁側から庭に下りて散策できるよう、スリッパが木箱に入っているが、今日は雨でもないのに、スリッパは撤収されていた。雨の日は、退室して靴を履き、 老梅関から石垣に沿って西へ回り、庭に入るのだ。
植木職人さんが、枝を払っていた。一人は庭の真ん中にいて、指示を出している。そういえば前も、丈山忌(5/23)・遺宝展(5/25~27)後のこの時期に職人さんに出会ったのだった。
写真(上・左)は、老梅関を出て西側にある、庭へ続く入り口。階段下からの眺め(写真上・右)は、ちょっとまだ物足らない。
台風の後で、草木の状態を心配していた。座敷前にあった山茶花の古木・膏盲泉そばにあった3本のアカマツ・老梅関手前にあった樅が、平成7年の台風で倒れた、という話を以前聞いていたからだ。当時の様子を知りたいと思い、あちこちの書店で当時の写真が掲載されている本を探したが、ついに見つからず。この寺に参考図書として展示されている写真集にも、そのような写真はなく。府立図書館に行ってみようか・・・・・・。
池の側の黄花菖蒲。今日は床の間に、黄花菖蒲と京鹿の子が生けられていた。
テッセンなど、茶花も元気に咲いている。
藤棚の裏手(北側)には、ごく小さい池がある。この池を取り囲む木の枝先に、何やら白い袋のようなものがいくつもついていた。写真を撮っていると、通りがかった人が、モリアオガエルの卵だと教えてくれた。言われてみれば、絶え間なく蛙の鳴き声がする。
モリアオガエルは、日本の固有種で本州と佐渡島に分布し、森林で生活するらしい。繁殖期は4~7月。産卵は水面に伸びた枝先で行い、産卵・受精と同時にメスが分泌する粘液の泡で卵を守るのだそうだ。その状態が、写真(上・右)のふわふわした黄白色の塊。1~2週間で孵化したオタマジャクシは、雨で泡が溶けると同時に池に落ちるのだという。木に登る蛙がいるなんて。塊は、13個。満開のさつきを見に、来週末に再訪の予定だが、塊はもっと増えているだろうか。雨なら、溶けて崩れる様子を観察するチャンスがあるかもしれない。