大徳寺興臨院の2024年春季特別公開は、3/9(土)~6/16(日)の期間に開催されている。総門からまっすぐ進んだところに興臨院の門がある。
特別公開のリーフレットで、方丈庭園のサツキの写真が掲載されていたので、ちょうどいい時期になるのを待っていた。「花だより」に掲載されている寺社の中で大徳寺から最も近い仁和寺(大徳寺より1㎞ほど南)で、5月第1週にサツキが咲き始めとあったので、そろそろかと思い、先週末に行ってみた。
室内の撮影は禁止だが、建物から外を撮影することはできる。
写真ではわかりづらいが、わずかながら3輪ほどは咲いていた。
花だより|【京都市公式】京都観光Navi (kyoto.travel)
今確認すると、5/10付更新で、仁和寺のサツキは見ごろ終了となっている。
花頭窓から庭を見る。
花頭窓を背に、門と波型連子。
右手に赤く見える木は、濃紫(のむら)紅葉という名だと聞いた。
「ノムラモミジの葉の特徴は、新芽の時点で濃い赤色をしていることと、葉が大きく切れ込みが深いこと。」(春にも赤い葉が楽しめるノムラモミジ|育て方西や剪定方法・普段の手入れ方法も解説 (meetsmore.com))
ノムラモミジは、方丈西側に1本、北側にも2本ほど植えられていた。
方丈北の東側にあるノムラモミジは松と近接しているのに、どちらの木もよく育って見上げるばかりの大木。その樹上辺りで、ウグイスが鳴き続けていた。探したがウグイスを見つけることはできなかったので、録音かと思うほど。かなり上手な歌い手だ。ピッチがだんだんと上がり、しばらく休んでは、また低いピッチから鳴き始める。1オクターブ近くの声域。
方丈東側には茶室に続く飛び石がある。茶室「涵虚亭」も公開されていて、外側から拝観できる。この飛び石が続く左手に、にじり口が見える。拝観は水屋側の入り口からで、その入口は板間、右手には床の間、床の間の右端は袖壁になっている。これを「洞床」というらしい。何のための袖壁?花瓶も香炉も置くことができない。何か目的があるのだろうけれども。
興臨院は畠山家の菩提寺として建立され(その名は畠山義総の法名から採られた)、前田利家による本堂屋根修復の後、前田家の菩提寺になったとのことである。屋根の軒丸瓦は三つ巴、飾り瓦は五七の桐紋。お茶室襖や玄関の襖にも桐紋。前田家の家紋はもともと加賀梅鉢紋だが、利家は秀吉から桐紋と菊紋を下賜されたらしい。下賜されても加賀梅鉢紋を使用していたという話もあるが、修復時、瓦に桐紋を入れていたのだろうか。
方丈北東の部屋は「日本で最初の床の間」のある書院。利家公の肖像画掛け軸がかかっていた。
「室中の上部が響き天井となっている」と由緒書にあるが、見上げてもよくわからない。室中には入れないので試してみることもできない。礼の間、室中、檀那の間の襖には平成9年に描かれたという襖絵が。檀那の間の襖絵は寒山拾得で、昭和に復元されたという庭の石組(二人が、あるいは寒山が暮らしたという深山を模したもの)とリンクしていた。
GWのすぐ後ということもあって拝観する人が少なく、ゆったりと見ることができた。じゅうぶん堪能した頃、徐々に人が増えてきて、気がつけばウグイスの声も間遠になっていた。