京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

井上道義指揮 ブルックナー

2024-11-23 21:01:28 | アート・文化

第28回京都の秋音楽祭、最後を飾るのは、今年限りで指揮活動引退を発表している井上道義氏によるブルックナー交響曲第8番ハ短調である。

ホール2Fより窓越しに撮影。

ブルックナーは初めてで、私にはよくわからない。YouTubeで2度聴いてみたが、面白くなくて、やめた。さすがにホールで聴くとある程度は集中できたが、大音響でとにかく長いな、と。コンサートでは休憩なしで約100分の演奏。キレのいいティンパニが良かった。せっかくの3台のハープ、マイクがもっと音を拾ってくれたらいいのに。弦楽器のピチカートも同様。もったいない。

指揮は、指揮台なし、タクトなし。掌と腕の動きに目が釘付けだった。万雷の拍手で迎えられたカーテンコールの際の井上氏のご様子に、お人柄がしのばれた。

ロビーには井上氏のこれまでの足跡をしるす数枚の写真が飾られ、引退が強く意識される。

京都コンサートホールに限らず、これまで行ったどのホールでも、観客のほとんどは50~70代とおぼしき女性(若い有名ピアニストのコンサートでは20代であろう女性客も)だったが、今日のコンサートは圧倒的に60~70代の男性が多かった。こんなに客層が違うとは、驚き。

廊下に掛けられた井上氏の肖像。1階会館入り口から2階ホール入口までのスロープに、何人もの指揮者や奏者の写真(モニター)が掛けられており、その1枚。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京響 第695回定期演奏会

2024-11-16 20:59:57 | アート・文化

「京都の秋 音楽祭」の一環として開催された京都市交響楽団第695回定期演奏会。

今日のコンサートは、時間ができて先週急遽予約したものだから、曲の予習をしないまま出かけた。

1曲目のモーツァルトは、レガートが優しく優美な印象。

2曲目のベートーヴェンはソロに入る前のオーケストラのメロディを聴いて「あ、この曲知ってる」と気づいた。曲の始まりのティンパニでは気づかず。小規模編成のオーケストラで、独奏ヴァイオリンは高音でメロディを奏でる。優雅である。調べてみると、1806年12月に初演なので、その頃に完成したようだが、翌年、ピアノ協奏曲に編曲したらしい。なるほど、私が知っていたのは『ピアノ協奏曲ニ長調作品61a』だったようだ。

3曲目のドヴォルザークは、初めて聴く曲だった。ティンパニも木管もそれぞれ素晴らしく、鈴木雅明氏の指揮は熱量が伝わってくるようだった。

個人的には9月のコンサートよりも全体として満足度が高かったが、何といっても最も良かったのは2曲目と3曲目の間で演奏されたソリストのアンコール曲であった。私の好きなバッハだったからかもしれない。コンツェルトでは演奏技術の高さがよくわかったが、アンコールの独奏は、心に染み入るような音色だった。ピアニッシモの最後のFの音がホールに拡散して消え入るところなど、これはヴァイオリンでしかできないと思わせられる。

帰宅後、ジョシュア・ブラウンをYouTubeで何曲か聴いた。ジョシュア・ブラウンによる同曲の演奏はYouTubeで見つからなかったので、Itzhak Perlmanの演奏で曲の復習も。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第28回京都の秋音楽祭

2024-10-18 17:45:19 | アート・文化

9月14日-11月23日の期間、「第28回京都の秋音楽祭」と銘打って、さまざまなコンサートが開催されている。

9月14日の開会記念コンサートは、指揮:杉本優、ピアノ:髙木竜馬、京都市交響楽団の演奏で行われた。メンデルスゾーン「トランペット序曲作品101」、シューマン「ピアノ協奏曲イ短調作品54」、ブラームス「交響曲第2番ニ長調作品73」のプログラム。

トランペット序曲は初めて聴いたが、開幕にふさわしい華々しい曲であった。,

ピアノ協奏曲は有名曲。髙木竜馬さんのピアノはテレビやYouTubeで何度か聴いて音色が好きだったこともあり、楽しみにしていた。失礼を承知で書くが、良さが出ていないというか、彼のピアノの音色を楽しむ曲目ではなかったように思う。

交響曲は、どのコンサートでも力が入っている。

ポディウム席のシートは固めで、座り心地は悪かった。ここのところ、兵庫と豊中ばかり行っていたので、久しぶりの京都コンサートホール。友の会に入ったことだし、いろんな席を試してみたい。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第63回日本伝統工芸展京都展

2016-10-15 00:33:51 | アート・文化
10月12日~17日の期間、京都高島屋7階グランドホールにて第63回日本伝統工芸展京都展が開催されている。
ずらっと並ぶ工芸作品の、その技量に圧倒される。
今回気になったのは、截金飾筥の数々。とんでもなくこまかい細工、金のきらめき。入り口近くに展示されていたそれら一つ一つに吸い寄せられるように近寄ったのだった。それにしても、この飾筥というのは、どこからどこまでが蓋?入れ物としての用をなさないのだろうか。

金工で日本工芸会長賞受賞の『鍛矧合壺「線」』、作品前に置かれた受賞作品解説を読んで驚いた。線状の金属を接ぎ合わせる?これは見てみないと、すごさは分からない。

陶芸を最も楽しみにしていたが、どうしてあんなに大きいものばかりなのだろう。実際に触ることはできないが、きっと重すぎる。飾るにしても、運ぶのが大変。実用的ではないと感じた。

染織では、刺繍の着物のすごさに目を見張り、経浮織男帯『麦秋至』、繍箔裾文様訪問着『若松』に惹きつけられた。

さて、本展のチケット写真になっている文部科学大臣賞縠織着物『海に聞く』。この「縠織(こめおり)」という言葉を初めて聞き、調べてみた。
「からみ織りの一種。粟粒のような点で文様を表す。薄くて透けた夏用の布。こめ。」(『大辞林』三省堂)
コトバンク https://kotobank.jp/word/%E7%B8%A0%E7%B9%94%E3%82%8A%E3%83%BB%E7%B8%A0%E7%B9%94-269623
「縠 釋名云縠……其形〇〇視之如粟也……」(『倭名類聚抄』巻第十二 布帛部第二十 錦綺類百五十九)
*〇は糸偏に戚
国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2544221?tocOpened=1

手持ちの紙辞書で確認してみる。
角川『新字源』改訂版三八版:「縠(コク)」ちりめん。しわもようのある、うすでのちぢみ絹。「羅縠 らこく」
大修館書店『新版 漢語林』八版:「縠(コク/ゴク)」うすでのちりめん(縮緬)。しわ模様のある、やや目が粗い薄い絹織物。
集英社『国語辞典』初版:「縠織(こめおり)」織り目の透けた、薄い絹織物。紋紗 もんしゃ の類。

「縠織」が掲載されている集英社は、三省堂と同様、実物に即した解説であった。
しかし、本来の「縠」の意味は、角川・大修館にある通り、縮緬である。受賞したきものは、夏向きの薄手の絹織物ではあるが、縮緬のシボはなかった。しかも「縠」に「こめ」という読みも意味もない。

「縠織=こめおり」という言葉は、いつかの昔に誰かが「縠」と「穀」とを混同して読みと意味を取り違え、それが現在にまで続いているように思えてならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事』

2015-10-23 23:17:25 | アート・文化
10月23日~11月29日の期間、JR京都伊勢丹の「美術館『えき』KYOTO」で開催されている展覧会。
山本太郎の絵は、いつだったか新聞紙上で『紅白紅白梅図屏風』を見、どのようなものだろうと気になっていた。その山本が、この琳派400年記念に合わせ『マリオ&ルイージ図屏風』を制作したという。もちろんスーパーマリオ30周年記念という意味合いも込めて。先達へのオマージュと受け取れる作品群、能を題材にしたものなど「ニッポン画」の数々が展示されていた。

神坂雪佳といえば、「近代図案コレクション(芸艸堂)」の『美術海』『新美術海』『琳派模様』に見られるように図案画家として、また『琳派を愉しむ(淡交社)』にあるように琳派の継承者として知っていた。しかし今回の展示で、その広範な仕事を知ることになる。

神坂雪佳は、日本画を勉強したのち川島織物に入社し、織物図案を担当していた。その下絵と実際の織物とが並べてある。次いで当時の図案画家第一人者である岸光景に師事し、工芸図案と琳派の研究を始めている。今も夷川通に店を構える宮崎家具の『家具図案集』、細見美術館蔵の『竹図角盆』でその仕事を見ることができる。特に後者の、正方形の黒漆塗盆に朱で描かれた竹が力強い。茶碗の絵付けも、袱紗の絵も、蒔絵硯箱も、手がけた工芸品は多岐にわたる。

神坂雪佳で今回のお気に入りは、『藤波図和歌短冊及短冊掛』。古今和歌集3-135(よみ人知らず)「わかやとの いけのふちなみ さきにけり 山ほとゝきすいつかきなかむ」を書と絵で表したものである。好みが分かれるところだろうが、私は気に入った。

さて、山本太郎である。冒頭の屏風二点は見応えがあった。抱一・基一を好む素人の感想だが、たらしこみは乱暴だと感じた。『立春清涼飲料水紋図』『雪中~』『秋草~』のシリーズ三点の絵葉書を買おうとしたが、売っていない。『御帰り観音流三太尊』は、横尾忠則を連想する。

展示は「Ⅰ神坂雪佳、Ⅱ神坂雪佳―山本太郎、Ⅲ山本太郎」としていて、わずかに数点のみが、近現代琳派の比較。テーマを神坂雪佳に限定しているからだろうが、宗達・光琳の大作アレンジが、今回の目玉のはず。テーマを変えるべきではなかったか。風神雷神も、紅白梅図も、金魚も、見に来るような人はたいてい知っているのだろうが、それでも写真パネルでもあれば、なおよく分かったのに、と思う。『砧図』展示解説の「砧」に「はまぐり」とルビを振ったりして、思わずどこの主催かと確認してしまった。主催者の責任もあろうが、展示作品貸出側も解説には目を通すべきではないだろうか。いい加減な仕事をしては、作品出品者に失礼だ。

***追記(12月14日)***
山本太郎の新作「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風」が清水寺で11月30日に披露された、と新聞で読んだ。スターウォーズ新作公開記念なのだとか。掲載された写真を見ての感想は、“おなかいっぱい”。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする