京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

藤森神社・紫陽花苑公開

2009-06-30 00:55:34 | まち歩き

藤森神社の「あじさい祭」へ行ってみた。

JR奈良線、JR藤森駅で降りる。この駅名に驚く。京阪に藤森駅があるから、「JR」と付くのだろう。何とかならなかったのか・・・。並行するJRと京阪で「稲荷駅」と「伏見稲荷駅」があるように、区の名称を加えるとか、JRで「嵯峨駅」を「嵯峨嵐山駅」に変更したように、近くの地名をくっつけるとか。

さて、この駅から西へ向かう。急勾配の下り坂を少し、そして続く緩い坂を下りきった辺りに、目指す神社の鳥居があった。坂道がイヤな時は、京阪墨染駅を利用した方がいいだろう。

立派な石造りの鳥居がデンと構え、参道は広く、両脇に植わった樹木には、古木が雑じっている。ここで、駈馬をするのだろうかと想像しつつも、目は足元の白いラインへ。あじさい祭で参詣が増えるから、臨時駐車場として、この参道も利用するのだろう。風情がないなぁ。「あじさい祭」と書いた幟も色あせている。ちょっと嫌な予感がする。そうして、本殿近辺や紫陽花苑で、その予感は的中。赤い大きなゴシック体の注意書き多数。もう少し、何とかならなかったのか・・・。

紫陽花苑は手前に第一、奥に第二があり、共通入苑料300円。第一の方が広く、通路もゆったりとして、手入れもいいように思う。第二の方の紫陽花は、とにかく育ちすぎ。背丈よりも高く、紫陽花を見上げて歩くことになる。小さな太鼓橋が設けられていて、そこからの眺めはまぁまぁ良かったのだけれども。

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09_041 苑の中の通路は、こんな感じ。

アジサイが、両側で壁になっている。

花を見下ろしたいのに、ほとんど見上げる状態。

紫陽花。何種類あったのだろう。第一紫陽花苑では、いくらか剪定していたらしく、高さ1.5~2mぐらいで見やすい。それでも、取り付けられた品種名の札は殆ど隠れ、ほんの数種類しかわからなかった。

09_037 この白い花は、アナベルだろうか。

次の二点は、姿も色もいい。

名前はわからないが。

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肉厚で円い小花は、オタフクアジサイ。

これは、札が見えたので、わかった。

別名ウズアジサイとも言うらしい。

09_058 大きな葉を持つ、ブドウの房のようなのは、カシワバアジサイ。

なるほど、柏の葉に似ている。

雨を気にしながらも、広い紫陽花苑を堪能できた。色が悪かったり、枯れ始めのがあったりしたけれど、日陰の道にきれいなブルーの手毬がいっぱいという所もあった。しかし、蚊の多いこと。腕も足もガードして歩かねば。

最後に、いつものように飾り瓦の鑑賞。本殿は、宮中賢所の建物を1712年に移築したものという。そこで、飾り瓦は菊の御紋。金具部分に、藤森神社の神紋が使われている。

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藤森神社の神紋は、上がり藤に一文字。

藤紋の元の形は下がり藤だったという話もある。藤森神社は「平安遷都以前から祀られている古社」と、パンフレットにあったが、ここの神紋は、一体いつから使われているのだろう・・・。

明日、6月30日は夏越の祓。一日早いけれど、茅の輪くぐりをしてみた。

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学問・勝運と馬の神社であり、「菖蒲の節句発祥の神社」。そして境内には名水「不二の水」や、白松・大イチョウ・クスノキなどの名木。京都検定に興味はないけれど、花を観るついでに由緒を知る、少しずつ京都が分かるのは、なかなかに愉しいものである。

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京都ギリシアローマ美術館

2009-06-24 17:19:36 | アート・文化

去年だったか、一昨年だったか、美術展で、古代ギリシアの赤絵式の壺を観た。すごいものだと思ったが、ここ、京都ギリシアローマ美術館の展示品は、その比ではない。こんなに完全な形で、修復の跡もなく、よく残っていたものだと感心し、壺の形の美しさ、文様の面白さに感嘆する。

場所は、地下鉄北山駅から、下鴨本通を南へ下り、疏水の少し手前を東に曲がってすぐ。美術館は、閑静な住宅地の一角にあり、ひっそりとした門構えで、危うく通り過ぎてしまいそうだった。

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門を一歩入ると、4階建ての洋館が姿を現す。

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玄関ロビーには数体の彫像が並んでいる。受付の方がひとり、館内にいらっしゃったが、観覧者は私だけのようだ。展示室に入ると、私一人のために、あちこちの照明が点り、贅沢な気分である。

1階は、ローマ時代の大理石の彫像、石棺、モザイクなどの展示。石棺のレリーフに彫られたミネルヴァ神とミューズたちの中に、美しい顔がそのまま残っているものもあり、見入ってしまった。

2階は、南イタリア陶器、エトルリアのテラコッタ。展示室の一部は空中回廊のようになっており、一足毎にミシミシと音がして、落ち着かない。この美術館は1997年オープンらしいが、なんだか心配になる。床板が抜けて、この貴重な展示品が粉々になってしまわないかと。そのため、この展示室では何を見たか、ほとんど覚えていない。

3階は、エトルリア・ローマの青銅品、コリント・アッティカの黒絵・赤絵陶器など。ここは一番好きだ。例えばBC750~735年のアッティカ末期幾何学様式のピクシス。ピクシスとは、女性用の化粧品・装身具を整理する丸い容れ物のことである。蓋には4頭の馬の飾りがついており、全体に卍・格子・ドット・斜線などさまざまな文様がちりばめられていた。これに興味を引かれて調べてみたら、そっくりなものをルーヴル美術館HPで見つけた。

http://www.louvre.fr/llv/oeuvres/detail_notice.jsp?CONTENT%3C%3Ecnt_id=10134198673225198&CURRENT_LLV_NOTICE%3C%3Ecnt_id=10134198673225198&FOLDER%3C%3Efolder_id=9852723696500782&bmLocale=ja_JP

また、形の美しいノラ型アンフォラ。アンフォラとは2つの把手がついた壺のことで、オリーブ油・ぶどう酒・穀物の貯蔵や運搬に使うものらしい。イタリア・ノラ村で発見された形のものを特にノラ型と言うそうだ。

そして、クラテール。これは水とぶどう酒を混ぜるためのもの。口の直径が1m以上はありそうな、台付きの黒っぽい大きな壺に、葡萄唐草と首飾りの文様が、金押し技法で描かれていた。きれいだった。

4階は休憩室。閉館時間の5時になってしまったので、行けなかったのが残念。また違う季節に、お茶と景色を愉しみに行こう。

古くは自然のモチーフを素材として、次に定規やコンパスを使った幾何学様式で、そして神話を題材に取り、その後は簡素さと華麗さをそれぞれ深め発展させていく・・・。図柄も技法も形も時代によって変化し、興味は尽きない。

それでも、図柄を安定させるのは「文帯」であるように思う。古い壺には乗馬をする人やグリフォンの印判の文帯、時代が下って縄文帯や鳥獣文帯、また大地の限界を示すというミアンダ文帯。

図模様を刻み付ける黒絵式技法、また、人物や、動物、植物などをより絵画的に描く赤絵式技法の解説があった。実物がそこにあるので、とてもわかりやすい。ただ、素人としては、展示品説明ツアーのようなものがあればいいのに・・・と思う。あるいは美術館のHPを作り、そこで詳説してもらえたら・・・とも。展示品の入れ替え時期や、ときどき開催されるというイベント情報も知りたい。

4年ほど前にふらっと寄ってみたときは、入れなかった。1・2月は休館なのだ。下鴨本通りを北山に向かって歩く度に、今度行こうと思い続け、やっと昨日。入館料は1000円と高めだが、かなり満足。陶器好きには、オススメである。

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両足院・半夏生の庭園特別公開

2009-06-20 00:56:50 | まち歩き

京都駅ビル2階の観光案内所で、いつも『京ごよみ』をもらってくる。これは、京都市産業観光局が企画し、京都観光推進協議会が毎月発行しているものだ。16ページという薄さだが、情報満載。「特集」「イベント」「祭事記」「美術展」「劇場」「定期観光バス」など、その月の情報が網羅され、これを繰りながら、どこに行こうかと考えるのが楽しい。

さて、今日は、その冊子で見つけた、建仁寺の山内塔頭・両足院の、半夏生の庭園特別公開へ出かけた。

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祇園・花見小路通に面した門から入る。

写真からも分かる通り、寺紋は、五三の桐。

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両足院の入り口。

寺の名は、もと知足院といい、室町時代に改称したらしい。拝観料を払ったときに渡されたパンフレットには 「仏の別号『両足尊』にちなんで」とあった。また、ご住職による解説では、「両足」とは、徳と慈悲、あるいは知恵と慈悲とのこと。

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門をくぐっただけで、期待が持てる。

やはり、禅寺のお庭はいい。

09_034 禅寺特有の花頭窓ではなく、丸窓に格子。

入り口から真正面なので、明るくなりすぎないようにという配慮だろうか。

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上の写真は、お茶室から見たお庭。お茶室では、両足院寺紋の「月に星」の焼印を押したお饅頭と、お抹茶を頂いた。

09_047お饅頭と言えば、ここ両足院こそが、饅頭始祖の寺なのだとか。元で修行した当寺開山・龍山禅師 が、帰国する際に連れて来た林浄因、彼が日本で初めて饅頭を作ったという。中国のマントウは肉餡だったが、僧のために、小豆で餡を作ったのだそうだ。

林浄因が饅頭を作ったその地は奈良らしいが、林家次男が店を出し、代々居を構えたのが京であった。今も、六角堂の西、中京区烏丸通三条下ルに饅頭屋町という地名が残る。

09_057 両足院開山の、龍山徳見は、下総の千葉氏一族である。その千葉氏の家紋が、この「月に星」。

それが、寺紋となり、飾り瓦にも使われている。

09_033 「月に星」は、上を向いた三日月の上部に星、という意匠もある。

家紋サイトで調べた限りでは、こちらの方が古い意匠らしい。

ただ、新しく葺き替えた飾り瓦は、「三つ巴」になっていた。「最近は、どこもそうね」と、寺の庶務担当の方。残念な。

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これが、今日の眼目たる半夏生。白く花のように見えるのは葉っぱで、トラノオのような薄黄色の部分が花。満開というほどではないが、充分。

いいお庭だった。静かで、感じよくて。傾斜のある池泉回遊式庭園。苔はしっかり緑。丈の短い笹の群生も明るい緑で。

重厚で、美しい建物だった。全ての部屋が格天井なのも、珍しい。

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東林院・沙羅の花を愛でる会

2009-06-17 23:48:16 | まち歩き

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東林院は、妙心寺山内塔頭のひとつで、境内の東端にある。普段は宿坊らしいが、週2回の「精進料理を体験する会」と、季節毎の特別拝観(お正月の「小豆粥で初春を祝う会」、初夏の「沙羅の花を愛でる会」、秋の「梵燈のあかりに親しむ会」)がある。

妙心寺の南門から、立派な三門・仏殿・法堂を見上げつつ、石畳を進む。上の写真は、東林院の門に至る小道。紫陽花が、きれいだった。

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お抹茶付きの拝観料1580円を支払って、門をくぐる。本堂手前のお庭は、形良く整えられた羅漢槇がとても美しい。

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本堂に上がると、すぐにお抹茶の用意がされ、赤い毛氈に座って、お菓子とお茶を頂いた。鼓月の懐紙に、沙羅の花を模った生菓子と葉を模ったお干菓子が載っている。

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方丈前の庭は、「沙羅林」と呼ばれるらしい。真正面には高さ4~5mほどの幹しか残っていない樹齢300年の古木。広くはないお庭に、樹齢60年など、十数本の沙羅双樹が林立している。樹齢60年と言っても、その幹は頼りないほどに細く、古木が枯れた今となっては「沙羅林」という呼称も、不似合いに思える。

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この沙羅の木、正しくは夏椿という。釈迦入滅の際に一斉に開花して、その死を惜しんだという沙羅双樹とは別物なのだ。

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快晴の今日、団体客も多く、みな縁側に腰を下ろして、お坊様の話に耳を傾ける。「今日なすべきことを明日に延ばすな」。

沙羅の花が、苔に散り敷くさまを見たかった。なのに、雨不足のためか、手入れが悪いのか、土地に合わないのか、苔が茶色くて全然美しくない。人が多すぎて、ぼんやり過ごすこともできない。精進料理を申し込まなければ、パンフレットにあった「枯山水の大庭園」も見ることはできないのだろうか?お茶もお菓子も美味しかったけれど、これで、この拝観料は高すぎる・・・。退蔵院のお庭の方が、満足度は高い。

いろいろ不満足が重なり、帰りは妙心寺の飾り瓦を見て歩いた。花園天皇ゆかりの菊紋、また巴紋が多く見られる。そういえば、東林院本堂入り口の飾り瓦には、五七桐根笹の珍しい紋が入っていた。軒丸瓦には二つ引両の紋。これは共に山名家の家紋であるらしい。東林院は、細川氏綱が建てた三友院を、後に縁者の山名豊国が移転・改名したものという。

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サツキの残る詩仙堂

2009-06-09 22:33:02 | まち歩き

3週続けて詩仙堂。今年のサツキの満開は、多分先週木曜辺り。行けなかったから、はっきりとは言えないけれど。『京都市観光文化情報システム』HPでも、6月1日以降は、サツキの開花情報はなくなってしまう。同HPの「今月の花」は、「スイレン、花菖蒲、河骨、クチナシ、沙羅、紫陽花」なのだ。

http://kaiwai.city.kyoto.jp/raku/modules/information_ja/index.php/flower.html

咲くのは例年より遅かったし、一旦涼しくなったりしたから、6月二週目だというのに、まだいくらか咲いていた。

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庭に下りてみる。薄曇りなので、緑が落ち着いている。竹とんぼのような、ブーメランのような楓の実。遠目に見ると、枝先にコーラルピンクの花が咲いているようだ。

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さて、6月に入ると、このお庭では、さまざまな花が咲き始める。

090609_015_2 石段を降りてすぐ右手に、岡虎の尾。

ひっそりと、穂先をなびかせている。

090609_016_4 池端に咲く花菖蒲。

今がまさに満開。

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そして、その脇には金糸梅。

これは咲き始め。

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一株だけの桔梗。

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ナナカマド。

小さな粒状の蕾が密集しているさまは儚げなのに、蕾が開くと繊細でいて豪華。ふわっとした白い塊が枝のあちこちに載り、近づいて、見て、その花の形状に驚くのだ。

座敷に戻って、箒目の通った白砂を、その先にあるサツキを、その背景にある楓を見る。地面すれすれに飛ぶ沢山の虫。忙しげに。右往左往しているように。

満開を過ぎたサツキを見に訪れる人は少なく、適度に静か。こんな日は、縁側に腰を下ろして、お庭を見ながらあれやこれや考える。気が滅入っているときは、ここでお庭を見るのが一番。

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