夜間空中給油中に沖縄県名護市安部の海岸に墜落、大破という重大事故を起こした海兵隊普天間基地所属の垂直離着陸輸送機(MV22オスプレイ)。同機から宜野座村の海岸に漂着した、緊急事態などでの手順を記したパイロットや乗員が携行する「確認書(チェックリスト)」の記録写真を赤旗紙は入手しました。それには給油機の「給油ホースがオスプレイの機体と接触などを起こすと大惨事になる」などと、オスプレイによる空中給油の危険性を米軍自身が認識していることを示す記述があることが分かりました。
「確認書」には空中給油中の給油機から伸びるホースなどが機体に接触する可能性のあることが明記されています。オスプレイの給油管と給油ホースが外れないときは、「オスプレイが給油機と最短まで接近しホースを短くする。給油機側がホースを切断(ギロチン)する」と記述しています。
そしてこう結論づけています。「ホースが給油機から切り離された後、プロップローターを鞭(むち)打って破滅的な帰結を引き起こすことがある」。つまり墜落という大惨事です。また「確認書」には、後方乱気流を意識した編隊飛行時の僚機との間隔の取り方などについて詳細に記述。事故の危険性を前提にした認識を重視していることが読み取れます。
墜落オスプレイ「確認書」が示唆
― 人為的ミスで済まない
名護市安部海岸でのオスプレイの墜落原因について在沖米軍トップ、ニコルソン四軍調整官は「給油中にプロペラに切られたホースで(オスプレイの)プロペラが損傷した」と説明。しかしそれが“人為的ミス”ではすまないことは「確認書」が示唆しています。
空中給油は約250キロというスピードを互いに維持しながら給油機からのホース(ブーム)に下方から近づき、オスプレイの機首から伸びる給油管を接続するという「至難の業」が要求されます。
空軍特殊作戦機(MC130J)から給油を受ける際、両翼下から2機同時給油が可能ですが、後方乱気流の影響を受けやすいオスプレイは、左右交代で1機しか給油を受けられないという制約があります。
名護市に墜落したオスプレイがこのMC130Jから給油を受けていた事実は重い物があります。
「確認書」を撮影した新藤氏は「週刊金曜日」(2月3日、10日号)で、墜落したオスプレイの乗員の「行方不明者」の存在を報じた「しんぶん赤旗」記事にもふれ、墜落の原因究明もないままオスプレイの飛行、空中給油訓練の再開、辺野古への新基地建設のための埋め立て工事の強行をあげ「沖縄県民の命や安全より、米軍の戦略が優先されていいわけがない」と告発しています。