『五木寛之の百寺巡礼』を往く

五木寛之著「百寺巡礼」に載っている寺100山と、全国に知られた古寺を訪ね写真に纏めたブログ。

42 称名寺 

2023-10-12 | 神奈川県

古寺を巡る 称名寺

 

金沢北条氏一門の菩提寺

 

寺名は「しょうみょうじ」と読む。鎌倉幕府の要人・北条実時(1224~1276)が、正嘉2年(1258)に六浦荘金沢の屋敷内に建てた持仏堂(阿弥陀堂)を建てたのが起源とされる。金沢北条氏一族の菩提寺として鎌倉時代を通じて発展し、実時の息子2代顕時、孫3代貞顕の代に伽藍や庭園が整備された。貞顕の時代には三重の塔を含む七堂伽藍を完備した大寺院として全盛期であった。称名寺と縁の深い金沢文庫は、実時が病で没する直前の建治元年(1275)ころ、居館内に文庫を設けたのが起源とされる。文庫には、実時が収集した政治、歴史、文学、仏教などに関わる書籍が収められていた。鎌倉時代の仏教関係の文書が多数残されており、東京湾の水運を使って僧侶が金沢と千葉の間を頻繁に往来していたことが窺える。当時の称名寺は関東有数の学問寺であり、「金沢学校」とも呼ばれた。

徳川時代になって徳川家康は、多くの蔵書を江戸城内に設けた紅葉山文庫に移した。金沢文庫印が捺された古書・古写本は「金沢文庫本」と呼ばれ、現在も日本各地に残っている。一方、大幅な復興が実現し、現存する建物が作られた。

朱塗りの赤門をくぐると桜並木の参道が続き、突き当りには仁王門。鎌倉時代に造られた高さ4mの大きな仁王像が出迎える。仁王門横の通用門を入ると、阿字ヶ池を中心に中之島・反橋・平橋を配した「浄土庭園」が広がる。浄土庭園の向こうには、金沢三山(金沢山・稲荷山・日向山)を背に金堂・釈迦堂・鐘楼(称名晩鐘)を配する。春の桜、初夏の黄菖蒲、秋の紅葉と四季折々の景観が美しく訪れる人の憩いの場所となっている。

 

参拝日    令和元年(2019)5月5日(日) 天候晴れ

 

所在地    神奈川県横浜市金沢区金沢町212-1                    山 号    金沢山                                   院 号    彌勒院                                   宗 派    真言律宗                                  寺 格    別格本山                                  本 尊    弥勒菩薩(国重要文化財)                          創建年    正嘉2年(1258)                             開 山    審海                                    開 基    北条実時                                  札所等    新四国東国八十八箇所霊場75番                        文化財    絹本著色北条実時像ほか金沢北条4代のそれぞれの肖像画、文選集注(国宝)
       木造弥勒菩薩立像、銅鐘、金銅装宝篋印塔ほか(国重要文化財)
       境内(国の史跡)

 

 

称名寺と称名寺市民の森の案内図。    

 

 

 

赤門  名和8年(1771)に建立された。

 

 

少しの間だが桜並木の参道。参道の両側には塔頭の「光明院」と「大宝院」の二院が残っている。

 

 

仁王門。   二層の楼門。文政元年(1818)に江戸の豪商・石橋弥兵衛の寄進によって建立された。現在は門の中の通り抜けは出来ない。

 

 

門の正面には、朱塗りの反り橋とその先に本堂が見れる。

 

 

門の扁額は「金沢山」とあるが、写真によく映っていない。

 

 

仁王像。  口を結んでいる吽形像は、像高約4m弱ほどのあり関東では最大級の大きさという。

 

 

 

 

口を開いて阿形像。

 

 

この仁王像は、元享3年(1323)に院興が大仏師となって造られたもの。

 

 

仁王門を境内側から見る。

 

 

門を潜ると目の前に阿字ヶ池という大きな池がある。

 

 

阿字ヶ池。   性一法師により、2年の歳月をかけて元応2年(1320)造られた。梵字の「ア」を模して阿字ヶ池と名が付けられた。池には朱塗りの反橋と平橋をかかる。

 

 

銀杏の大木。

 

 

金堂前の阿字ヶ池を中心とする浄土式庭園は、元応2年(1320)に金沢氏3代貞顕の代に整備されたものである。浄土式庭園とは、浄土曼荼羅に基づいて配置された庭園のことで、平安時代末期に盛んにつくられた。

 

 

庭園は発掘調査の成果に基づいて、昭和62年(1987)に復元整備が完了した。平橋、反橋の2橋が復元されており、平橋は橋長17m、反橋は橋長18mである。

 

 

真正面に見る反り橋。

 

 

 

 

 

金堂に近い方が平橋。

 

 

 

 

 

金堂【神奈川県指定重要文化財】  ここには称名寺の末寺となった常福寺の「阿弥陀堂」を移築した「弥勒堂」があり、三代目金沢貞顕の代に修理・改造され「金堂」となった。現在の金堂は、天和元年(1681)に改築された。

 

 

金堂正面は禅宗の影響を受けた意匠。

 

 

金堂の内部。須弥壇。

 

 

禅宗の建築に見られる火灯窓。

 

 

軒の木組み。

 

 

釈迦堂。  本堂の右手に位置する。文久3年(1862)に建立の禅宗様の建築物。釈迦如来立像(国重要文化財)が安置されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金堂から境内を見る。

 

 

鐘楼。  寛永11年(1799)に江戸の豪商・石橋弥兵衛の寄進によって再建したが、関東大震災にによって倒壊し、再び再建したもの。

 

 

梵鐘【国重要文化財】  金沢八景の称名の梵鐘として有名のようだ。鐘は、北条顕時が正安3年(1301)に改鋳した二代目の鐘。鎌倉・円覚寺の洪鐘を手掛けた名物鋳物師の物部国光の作。

 

 

境内には、さまざまな地蔵が建てられている。

 

 

 

 

 

 

 

池には数多くの黄菖蒲の花が開き、菖蒲の名勝でもある。

 

 

隧道の先には「金沢文庫」が建てられて、北条実時以降に、金澤北条家に蒐集されてきた書画、彫刻、書籍等の様々な文物が収蔵されて、博物館として公開されている。

 

 

案内図

 

 

御朱印

なし

 

 

称名寺 終了

 

(参考文献) フリー百科事典Wikipedia  湘南鎌倉寺社巡礼HP