詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

暑い日々の谷間に

2016年08月10日 | 
暑い日々の谷間に涼しい風が吹く
朝靄のヴェールの奥で発光していた朝顔の色が
ガード下の薄暗い駐輪場に沈んでいくのを感じる

ラムネ
ラムネを噛みたい
のどが渇いているみたい
あの甘さあのすっぱさ

ふくらんだ胸を隠していた制服
友だちの口紅とピアスに
鏡の花でなく
魅せられる日々
自分が女になることにはまだ
わけもわからず抵抗していた日々
卒業アルバムはぜんぶ下を向いていて
あの憂うつがいまはまぶしい

斜めに遮られた青空
同じ空気を呼吸しているのに
太陽のたくましい腕からここは逃れている
似ていると懐かしいの
平気な顔で土を踏んで自転車を押す

未来が重たく軽く
暗く輝く
顔を向けた方角は
そう離れてはいない気がして
年月が伝える隔たりに
あこがれの抜け跡のような涼しい風が吹く


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