詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

雨が降っていて

2016年04月07日 | 
雨が降っていて
屋根や地面や葉や傘を
たたく音の下を歩いている
遮られていて
囲われているようで
守られている

足取りが雨と傘の形に沿えば
水たまりの中に
こちらの木々や空が浮かぶ
始まりもなければ終わりもなく
しあわせなんて過激な言葉でなく
ただそこに雰囲気が浮かんでいる
しずくや波紋に揺れてくずれて
見えなくなっても
まもなくもとに戻る
ただ浮かんでいるだけなのに
ゴムのように強く
再び
広がりと奥行があらわれる
色彩は乏しく
触れることはできない
思い出の中の街のように
浮かんでいる

喫茶店に入ってコーヒーを頼んだ
丸いテーブルを前にして
ふさがれている耳の奥で
ピアノの雨が降っている
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