詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

チョコレート

2016年02月13日 | 
くちびるは柔らかく
チョコをはさんだ
指も……
リボンがほどけるように
甘みと苦みがひろがった
溶けていくわずかな苦しみがあった
細く伸びていく旋律があった

からめる
カラメリゼ

思い出は時間の中で
溶けていくのがいい
くっきりとした言葉も
涙を絞った手の形も
淡いピンク色の花びらが
いっせいに舞い
風や川の流れの模様を
描き出したことも
並んで歩くふたりが
それを未来だと信じたことも
輪郭を失い
夢に溶けていき
あとにはぼんやりとした印象が残る
無数のぼんやりに包まれまどろんで
わたしはいつか
目をつむった幸福なおばあさんになる

チョコレートはひとりになって食べて
わたしのいないところで
夜のカーテンをまとって
あなたとわたしの過去と未来を思って
数えきれない襞の折り目をなぞって
体の内と外にひろがって
せめぎあうブラックとミルクをゆるして
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