詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

奥行

2015年05月19日 | 
できたばかりの白い建物は
孤島のように浮きあがる
まっさらな窓は海のように深い空を開く

まだ手垢のつかない
ざらりとした肌を剥き出して
臆面もなくひろがる内壁に
黄色い長方形がゆっくりと動いた
境界線が遠くなると
切り口からこぼれてくる紺青に浸されている
海草がなびきアンモナイトが泳ぐ

夜の真珠の粒の間に
ぽっかりと口を開けているがらんどうは
視線を宙に漂わせ
意識の知らないことを
手元が書き留める日々のように
まだ満たされていない豊かさに
あふれている
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