「余命三か月のウソ」の著者、近藤 誠氏の近著(下記表紙)を最近読んだ。この著にも、癌治療に関する世間一般の常識とは異なる同医師の所論が、大変解り易く記されれいる。
その要旨は、●癌検診は百害あって一利なしだ。●現代の医学では、癌を予防し、治療することは出来ないし、漢方薬を含め癌治療に効果的な薬剤はない。●癌には「転移する癌」と転移しない「癌もどき」の2タイプがあり、手術して治ったと称される癌は、「癌もどき」の癌であるり、●「癌もどき」の癌は、本来手術しなくても命を縮めることにはならない癌である。
●いずれの癌の手術も、体には却って有害・無意味で手術により、延命効果を挙げたとする実証データはない●だから「癌が見つかっても治療せずに放っておくべきだ。●但し、痛い、苦しいなどの自覚症状があって生活の質が下がっている場合は例外で、症状緩和の処置を受けるのが妥当だ。●しかし、基本的には「癌は放置」することが、結果的に延命に繋がる等と述べられている。
「癌は放置がいい」と主張し、患者にはそう対応している同医師は、同著書の最後の章で、次のようにも書いている。
「治らないし延命効果もないのに、患者さんの体を傷つけ、時にはその後死なせてしまうことになる治療をするのは、医者のエゴ以外の何物でもない。治療をしなければ、医者にはお金が入らないし、何よりも存在価値がない。権威も保てない。だけど、患者さんにとって放置が一番いいなら、医者はそうすべきです。治療は患者さんのためにすっるものである以上それが当たり前なのです」と。
各種の学会や専門分野では、独自の理論と経験等に基づく異端派的存在の学者・知見者がいるものだ。近藤医師も確かにその一人かも知れない。
先月、親しい友M君がなくなった。5年前に立腺癌が見つかった時点では、既に最悪のステージ4の段階だったが手術をせず、以来彼は約5年生きた。死の10日前迄は、さして痛がらず、意識も正常だったと奥様から聞いている。
亡くなる1ヶ月前に見舞いに行った時はもう寝たきりだったけれども、会話も普通に出来た。もし、5年前ステージ4の段階で、仮に手術を受けたとしても果たして5年近くも生きられたか、疑問も大ありだ。だからその点で近藤医師の「癌放置」論も頷ける。
本書を読むにつれ、同医師の所論には確かにそうだろうと納得できる内容も多いし、参考になる癌対処に関する諸々のことを学べた。
そして、何よりも大切なことは、今後自分に癌が見つかっても、その処置を直ちに医者任せにすることなく、自分としてどうすべきか自身なりに知見を広め、対応すべきだということだ。
当方は、この書を読む以前から癌になっても「手術回避」の積りでいたので、本書を読んで意を強くした次第である。