我が故郷は福井県美浜町である。著名人としては、歌手の「五木ひろし」、プロ野球解説者で難波の春団治の異名もある「川藤幸三」氏等がいる。毎年5月連休時に、ご本人も参加して盛大に行われる「五木マラソン」は、町おこしの定番イベントになっている。
原発3基がフル稼働していた頃は、民宿等も盛んで年間を通じて町に活気もあった。だが今は、その面影も薄れている。バイオ産業の誘致や観光事業の再整備等町の活性化対策もいろいろ試みられてはいるが、成果は極めて遅効的だそうである。
そんな故郷「美浜」の将来にとって最大の不安は、歯止めのかからぬ人口減の問題だと当方は、最近つくづくそう思っている。毎月、町役場が送って呉れる広報紙中に毎月の人口の動きに関する記事が氏名・出身区入りで掲載されている。次表はその記事の抜粋である。
このお悔み15人(氏名・享年令入り)の中には、今年82歳の中学同級生2名の名前もあったので、今月は特に故郷の「人口の動き」について考えさせられた。。
そこで、故郷の人口は、昭和29年4月の町村合併以降どんな推移を辿って来たのか、インターNetで町勢資料をサーチして纏めた数値は次表のとおりである。
この表と町勢資料(内容紹介:略)に掲載のデータから次のようなことが解った。
1、合併当時約1万5,000人だった町の人口は、62年後の今日、累計約5000人余も減少し、今年(H29)4月1日現在では、約9800人弱(合併時の約35%減)となっていること。
2、この間の年間減少人口は、平均約90人~120人前後で推移していること。
3、人口減が続く一方、結婚後の同居家族の減少に伴い所帯数が逆に増えていること。
4、人口減の中で更に進む高齢化・生産年齢層の漸減等先行きは極めて悲観的だと認めざるを得ないこと。
5、前記3月中の享年者の年齢は、平均82.5歳(男:79.8歳、女87.8歳)で、当方も年齢的には、故郷の平均死線上に位置していること。
6、更に深刻に思うことは、このまま町の人口減が続くと、約50年後には町民人口は約半数の4500人になり、今から100年後位には故郷の町から、人がいなくなる事態になりそうなことだ。これは正に極めて憂慮すべき事態だ。
こうした憂うべき事態は、我が故郷だけではなく、全国1741自治体中の殆どの地方自治体共通の問題でもあろう。
そのことは過日、発表された日本の総人口:1億2679万人は、48年後の2065年には約3割余も減少して8800万人になる(H29.4.1総務省発表:概算値)との見込み数に通じている。
話が末広がりになった序に付記するが、この人口減少の問題に関し、自民党の石破 茂氏は、近著「日本列島創生論」の中で、国の安全保障問題とは別の深刻な「有事に相当する」こと、それは、出生率の低下とそれに伴う人口減少問題だとして、次のように指摘している。「敵国が攻めてくるとか、領土を奪われるといったことは、現段階では『起こりうるリスク』です。そのリスクを極力、低減するために、私たちは外交的努力を続け、国内では様々な法案を整備し、自衛隊の力をつけるように努力しています。・・・一方で、人口問題はすでに『起こっていること』であり、現在進行形の問題です。にもかかわらず現在進行中のこの問題について、政治家も国民もまだ危機意識が薄い。だからこそ有事である、と私は申し上げているのです」と。
以て銘すべき指摘ではないかと思う。北朝鮮問題等当面の諸問題に関心を指向して自分の意見を持つことも確かに必要なことだ。だが、それだけでなく、国の将来に関する諸問題については為政者任せにせず、国民の一人として、良かれと思うことはいろんな機会を通じて大いに意見・提言すべきではないか・・と老生は願っている。