MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2289 「お楽しみはこれからだ」ようこそ初老の世界へ

2022年11月07日 | 日記・エッセイ・コラム

 今年還暦を迎える1962年寅年生まれの日本人は、男性は499万人、女性は(それより27万人多い)526万人で、合計153万人にのぼるとされています。最も若い寅年生まれは、今年12歳になる平成22年の生まれの106万人ということなので、それよりも1.5倍も多い計算です。

 PGF生命が今年4月に全国の2000名を対象に行ったネットリサーチ「2022年の還暦人に関する調査」によれば、「還暦を迎えること」に実感がないと答えた人の割合は2018年の調査よりも6.3ポイント高い79.0%に及び、今年の還暦人の大半が、還暦を迎えることに対して実感がわかないと感じていることが判ります。

 因みに、併せて聞かれた自身が感じる精神年齢、肉体年齢に関する設問に対しては、「精神的な実感」では「50~54歳相当」が29.5%と最も高く、「身体的な実感」でも「50~54歳相当」が28.2%と、それぞれ約3割を占めたということです。

 次に、還暦に見えないくらい容姿が若いと思う同じ年の有名人を聞いたところでは、832人が挙げた「松田聖子さん」が1位でした。以降、2位「藤井フミヤさん」(606票)、3位「風間トオルさん」(364票)が続いたとされています。

 トップアイドルとして一時代を築いた松田聖子、チェッカーズのメインボーカルとして絶大な人気を誇った藤井フミヤも早60歳。二人並んで「ザ・ベストテン」に出演していたのが昨日のことのように感じますが、今年(めでたく)還暦を迎えるのは、実際そうした世代だということでしょう。

 シニアの世界へようこそ…笑顔でそう迎え入れたいのはやまやまですが、思えば超高齢化社会と呼ばれ、何かとネガティブな老後の心配ばかりを強いられるこの時代。(いくら心身ともに若いと感じていても)「老後」の生活への不安に心を痛めている人も多いことでしょう。

 そんな折、情報サイトJBpressの連載「初めての初老」に、『「初老」の同志たちよ、お楽しみはこれからだ!』(2022.8.23)と題する記事が掲載されていたので、(シルバー世代1年生を応援する意味で)その内容を紹介しておきたいと思います。

 まさか自分が還暦を迎える日が来るなんて、ほとんどの人が若い頃には想像したこともないだろう。しかし、こればかりは逃げも隠れもできない現実だと、記事はその冒頭に記しています。

 還暦が視野に入ってくると、これまで馴染み深かった「中年」という言葉がいまひとつしっくりこなくなってくる。いつまでも「中年」というカテゴリーにしがみつこうとするのもなんか違う気がするし、さりとて「ナイスミドル」はさらに違うような気がする。そこで俄然、強く惹かれるのが、(今ではあまり使われなくなった)「初老」という呼び名だというのが記事の指摘するところです。

 60歳を越えたら、(年長者のプライドを持ち)胸を張って「自分は初老だ」と言えるようになりたいと筆者は言います。奈良時代に確立した律令制では、61歳(のちに60歳)から65歳を「老」と区分していた。日本の歴史と伝統は、千数百年以前の昔から60代は「老」なのだと力強く言ってくれているということです。

 「老」という字に拒絶反応を示したくなる人もいるかもしれないが、それは大きな心得違い。「老」には、確かに「古い」とか「衰える」といった意味があるが、一方で、「長老」や「老練」など、古来、尊敬の意味が込められることは見逃せないと筆者はしています。 人間としての深さや豊かさのニュアンスも、「老」の文字からは感じ取ることができる。人生の円熟を表現したまさに素晴らしい字だということです。

 そして、この由緒正しい「老」と、フレッシュ感あふれる「初」という字が合体したのが「初老」という言葉。「老」の時期を、人生が完結する素晴らしいステージと考えるなら、「初老」はそのスタートを示しているというのが筆者の認識です。しかも、精神的にも肉体的にも充実して「老」に臨めるこの時代では、これまでの経験や知識を生かしたうえで、つまりは強力な武器をたくさん持った状態で、新しいスタートが切れるということです。

 こんな恵まれた時代がこれまでにあったろうか。皆さんが迎える「初老」は、輝かしい未来に向かって可能性が無限に広がっている時期だと記事で筆者は説明しています。無論、せっかくの素晴らしい時期を漫然と過ごすのは勿体ない。年齢や言葉の響きに対する固定観念を捨て、気持ちにせよ行動にせよ、果敢に立ち向かってこそ何かをつかむことがでるというのが筆者の見解です。

 一方、ちょっとデリケートなお年頃でもある「初老」を楽しく過ごすためには、「初老」ならではの落とし穴をどう回避するか、「初老」ならではの悩みにどう向き合うかも考えておく必要があると筆者は言います。還暦を迎えた誰しもが、「初老」の旅に出るのははじめてのこと。そして、不安も心配もあるのが普通のこと。まずは、該当する年齢の一人ひとりが「初老」という言葉を前向きにとらえ、積極的に「初老ライフ」を充実させていけば、「初老」に対するイメージもおのずと変わってくるということです。

 たとえ心身の衰えを感じることがあったとしても、その都度ケアをしながら日常の中で付き合っていく。急がなくても、焦らなくても、そして好きなことだけやっていても、怒られないのが初老の特権というもの。初めてのことでも、この歳になれば怖いことも恥ずかしいこともないはずで、ひとつひとつを様々なトライアルとして楽しんでいけることでしょう。

 初老の同志のみなさん、お楽しみはこれからです。信じることが先の人生を楽しく過ごすための第一歩であり、必要条件だと語るこの記事の指摘を、私も頼もしく読んだところです。



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