夢みるpocoの昼と夜☆

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『スティル・ライフ』池澤夏樹

2012-10-04 | 文芸
*『スティル・ライフ 』池澤夏樹著*

Amazon.co.jpより:中央公論社/中公文庫>
中央公論新人賞: 芥川賞受賞作。

染色工場で働く”ぼく”の前に佐々井という男が現れる。
彼が語る宇宙や微粒子や世界の運行など静かに語り合う時間に夢中になる。
”ぼく”の日常が彼の出現によって少し変化してしつつあった…。
そんな彼から持ち出された仕事とは???


作家:池澤夏樹に最初に読んだ思い出の作品であり、愛読書。
かれこれ20年以上前にこの本に出会えたことの幸せ

単行本だったのか文庫本だったのか?
何かの書評を読んで、気になり、本屋で冒頭を立ち読みして
ノックアウト!
俗世間からかけ離れた、男2人の会話(理系の)にやられた。
その透明感で静謐かつ知的な文章体に心奪われ、
表現が詩的で美しい。
本書は、書評に文学と科学の見事な融合とありましたが、
まさにそんな感じ。


それ以来、今日に至まで、池澤氏の本は追って来ているのですが、
新刊を置いていない本屋もあるなどで、納得いかない!
もっと評価されても良いと思うのですが???

どれをとっても文学的要素が高い作品ばかりなのに。
何故???


最近になって、『スティル・ライフ』また読み返して、
忘れていた箇所や感じ方が変わったりして、新鮮でした。

雪の描写が素晴らしい。
子供の頃に感じた不思議な感覚を見事に文章で表現してくれたのである!

『雪が降るのではない。
雪片に満たされた宇宙をぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。
静かに、滑らかに、着実に、世界は上昇を続けていた。』


秋の夜長におススメの
穏やかな気持ちになれる、感性豊かな美しい青春小説です。



* おまけ *

読書家の女優宮崎美子さんが、朝日新聞の書評で
池澤氏の父君:福永武彦の作品『草の花』を取り上げられていらっしゃいました。
池澤氏のファンになって、福永氏の存在を知り、すぐに読んだ作品です。
こちらもおススメです。
美しい文章は、父君譲りですかね~。
母君(原條あき子)も詩人というサラブレット!
因みにお嬢様は、声優の池澤春菜さんです。





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