「あちらにいる鬼」井上 荒野
作家の長内みはる(瀬戸内寂聴)は、講演旅行をきっかけに
戦後派を代表する作家・白木篤郎(井上光晴)と男女の関係になる。
一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、
夫婦として平穏な生活を保っていた。
作家の長内みはる(瀬戸内寂聴)は、講演旅行をきっかけに
戦後派を代表する作家・白木篤郎(井上光晴)と男女の関係になる。
一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、
夫婦として平穏な生活を保っていた。
実在する人物を書いたと思うと
いろいろ言いにくいけれど、書いたのが娘だとなると
それも許される感じがする(勝手に)
おそらく絶対に共感はしないであろう
と思って読んだ。
凡人には、
というよりも鉄の貞操観念を持つ私には。
だから、寂聴には共感しない。
しかし、予想に反してとても読みやすかった。
この男のどこがいいのかさっぱりわからない。
しかし、この男にこだわる2人の女は
実に穏やかにいろんなことを受け入れる。
受け入れているように見える、
というだけであろう。
おそらく、その奥底に沈む汚泥が
書かれていないだけである。
汚泥を時折巻き上げそうになる、
ところで止まっている、
そうとれて仕方なかった。
鬼はそこにいる。
それぞれがもつ汚泥の中に。
紹介文では鬼は白木なんだよね。
そうなんだぁ、ふうん。