「検事の死命」柚月裕子
佐方貞人はすごい。
私は大好きだ。
職務に忠実、真面目でわけ隔てがない。
実は生きにくいであろう彼の生き方が
まっとうされるように願うけれど。
彼と出会った、「心を掬う」は何度読んでもいいし、
心が洗われるようだ。
「業をおろす」では、
父はその生き方で佐方にいろいろなことを教えた。
彼の父もやはり真面目で実直なひとであったのだと思う。
「死命」2話連作で、
どんな小さな事件も真摯に向き合う佐方に、本当の強さを感じる。
しかし、1作目の「最後の証人」では
少し佐方が弁護士になるきっかけに触れていたけれど
やはり、佐方がどんな気持ちで検事を辞めたのか
こまかな描写がほしい。
是非、ここを書いてほしいな。
だって、佐方には検事であり続けてほしかったから。
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検事の死命 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) |
柚月裕子 | |
宝島社 |