ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

先進医療専門家会議について/難波先生より

2012-08-24 12:20:17 | Weblog
.【先進医療】今朝の、東京版「朝日」が社会面4段記事で、「修復腎移植」先進医療の審議入りを報じている、と聞いたのでHPを見に行ったが見つからなかった、10:30のGOOGLEアラートに引っかかったので見たら、「デジタル版」だった。登録すれば無料で2ヶ月間「お試し」できるが、する気はない。(文献1)
 で記事の冒頭の一部のみが読めた。
 <がんなどの治療で取りだした腎臓を、別の腎臓病患者に移植する「病気腎移植」は安全なのか。国が初めて判断を示すことになった。2006年に宇和島徳洲会病院で発覚して以降、反対する学会と、主に移植手術をしてきた徳洲会グループとで対立が続いてきた。厚生労働省の専門家会議は23日、入院費など一部で公的医療保…>(「朝日」8/23/2012)
 まず、「臨床研究」も患者要望書も「修復腎移植」という言葉を使っているので、「病気腎移植」は5学会寄りの言葉であり、間違いである。
報道はまず正しい用語を使うことから初めてほしい。世界中で「病腎移植」と呼んでいるのは日本移植学会しかない。あの田中紘一ですら、
米国教授との共著論文では「マージナル臓器移植」と呼んでいた。「まったくの正常ではないが、移植には使える臓器」という意味だ。
 小径腎癌の場合は、切除して縫合すれば、残りは正常と変わらなくなるので、病腎を移植するわけではない。


 ともかく、今日、14:00~から厚労省で「先進医療専門家会議」が開かれ、審議される。傍聴は100人まで可能だそうで、広い部屋を使うらしい。朝9時には、支持派の関係者は控室に詰めかけていた。
 どうなるか予断は許さないが、今日はダメでも問題点を指摘の上、継続審議になる公算が高い。


 問題は、もし認可された場合で、未経験の施設が勝手に乗り出した場合の弊害が恐い。
 修復腎移植における腎摘出は泌尿器科医、移植外科医なら誰でもできる。問題は、腎臓の修復技術とそれをレシピエントの小骨盤腔に移植する技術である。
 腎臓はソラ豆のような形をしており、凹型の部分に動静脈の出入り口と尿管の起始部である腎盂がある。反対側の「腎背」と呼ばれる部分の表面に突出した小径腎癌なら、普通の移植外科医(一般外科)でも切除、修復できる。しかし皮質深部にあるもの、腎盂にあるものは、よほどの経験と技量がないと、危険性が伴う。


 また、レシピエントの小骨盤腔に移植するのも、技量を要する。これまで42例の「病腎移植」、臨床研究の13例の移植を実施したのは万波誠であって、チームの他の医師ではない。万波医師は1000例以上の腎移植経験という日本記録保持者であるとともに、左右の手が同じように使えるという特技をもっている。この二つがあるので、彼の手術はムダがなく、危険性がすくなく、これまで大きなミスがないのである。


 それを支える腎摘出、腎移植のチームも2006年秋の、あの嵐のようなメディア・バッシングにも関わらず、一人の脱落者もない。直近の手術では、麻酔科2人、若い泌尿器科医1人を加え8人に増えていた。通常の腎移植は、全国から患者が集まり、毎週行われている。


 高度の技術と緊密なチームワークを必要とするので、「瀬戸内グループ」の指導・支援なく、独立して開始され、「ダメでした。悪い手術です」といわれても困るのである。今日23日に承認された場合、第2、第3の「修復腎移植センター」を立ち上げる必要がある。保留になった場合も、それを準備しつつ「臨床研究」を続行する必要があるだろう。


 会議結果=残念ながら、厚労省での今日の「先進医療専門家会議」では却下された。座長の猿田慶応大名誉教授、座長代理の北村国立循環器病センターは「保留」という線で審議を進めていたが、中川俊男(新さっぽろ脳神経外科病院理事長)が強硬に反対して流れが変わり、「泌尿器科学会のガイドライン等を満たしていない」などの理由により、「却下」となったそうだ。
 今日の申請は8例に基づくものなので、12例に基づいて再申請するか、病腎移植を禁止した局長通達を撤回して一般診療に戻すか、道は二つあるだろう。
 なお泌尿器科の専門委員は今日の会議に欠席したそうだ。脳外科が流れを変える、不思議な専門家会議…
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