ゴンタの首根っこを押さえてゆっくりと顔を近づける。ゴンタはわたしの口元をペロペロ舐めるのが好きだから早くも舌なめずりをしている。こちらは水気でしっとりと濡れたゴンタの鼻の頭を狙っているのだ。思い切って顔を近づけ鼻を狙った瞬間、ゴンタの生暖かい吐息がわたしの鼻先をかすめたが早いか、ゴンタの舌はペロペロと二度わたしの唇を舐めた。今日も敗れたのはわたしの方だった。
ゴンタはよくアクビをする。その瞬間を見計らってわたしはゴンタの口の中にコブシを突っ込む。ゴンタはアクビを中断してさっと頭を横に振って逃れる。それから何もなかったようにわたしに背を向けて横になる。大きなため息をつきながら。