旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

続 西行花伝

2005年08月16日 22時50分57秒 | Weblog

鳥羽院四天王のひとり源重実は、クソ真面目な若き佐藤義清(のちの西行)に向かって以下のような能書きを垂れる。『この世を楽しむには、まず留まることが必要なのだ。矢を射るとき、的に当てることだけを考えるひとは、目的を追うひとだ。だが、矢を射ることそのものが好きなひと、当たれば嬉しいが、当たらなくても嬉しいひと、そういうひとこそが、留まるひと、つまり雅であるひとだ。』

なんだか、坊さんの説法を聞いているようで面白くもなんともないが、妙に解り易い。ただ今、三の帖まで読み終えた。二十一の帖の終わりが525ページだから・・・、前途は多難だ。ここまで読んで初めて知ったのだが、平清盛と佐藤義清(西行)は同い歳であり、同じ北面の武士という元同僚同士であったという新発見もあった。以前から西行が生きた時代には興味があったので、一気に読み通したいと思う。

辻邦生著「西行花伝」

2005年08月16日 22時26分00秒 | Weblog

ぶらりと寄った古本屋で辻邦生の「西行花伝」を立ち読みしているうちに、この本が欲しくなった。価格がつけられていないのでレジの女性に尋ねた。「2000円までが800円で、えーと定価が3500円だから、1000円でどうですか?」という回答だった。この立派な装丁の本がたったの1000円とは・・・、拍子抜けした。

「買うてんですか?」という問いに「もちろん。」次いで、聞いてもいないのに、レジのおばちゃん「今年はお盆だというのに売上げが伸びなくてね。」だって。「はいはい、もちろんいただきますよ、そちらの気が変わらない内にね。」ニヤ?「なーにバカなこと言ってるのお客さん、ぎゃはは。」そういえば10年ほど前にこの店で、「日本国語大辞典全20巻」を5000円で買ったっけ?

なにしろ、風が向くまま気が向くままの自堕落なヴァケーションなのだ。自宅で、立ち読み部分以降の「西行家伝」を読み続ける。ふーん、西行ってマザコンで、スポーツが得意で、感受性が強く、長身のハンサムだったのか。蹴鞠が得意だったようだから、今ならプロサッカーチームで活躍して逆玉だな、などと不謹慎なことをつい考えてしまう。


清水文雄

2005年08月16日 13時27分48秒 | Weblog

三島といえば、学習院時代の恩師、故清水文雄という広島高等師範を出た国文学者を終生の師と仰いでいたことが知られている。後、清水文雄は広島大学で教鞭をとり、定年退官後は比治山女子短期大学の学長を務めた。

2003年の8月に、「師・清水文雄への手紙 三島由紀夫」という本が出版され、手紙99通が公表されている。手紙のあて先が高陽町の下深川になっているので、清水文雄はわが家のかなり近くに住んでいたということになる。そういえば、息子さんが広島で高校の教職についているという話を聞いたことがある。

三島の「豊饒の海」4部のうち「春の雪」と「奔馬」までは読み進んでいる。ちょうど後半部に相当する「暁の寺」と「天人五衰」を読んでみたくなった。一昨年に初版本を購入している。