わたしは、籤運が極めて悪い。生まれてこの方ビンゴだのクジだのでまともに当たったためしがない。そのわたしが夏祭りのビンゴゲームで松茸をもらった。といっても、わたしが当てたわけじゃない。当てたのは、あくまでおフクロなのである。おすそ分けで傘が開いた典型的な松茸を一本もらったというだけのことだ。
この季節のことだから、さぞかし高いものだろうと自分に言い聞かせる。ひと昔前なら、数万はしたのではないだろうかと不覚にも涙ぐむ。
ここは輸入物である可能性に目を瞑って、今日は早速、松茸をまるごと焼いて、裂いて、醤油をつけて食べた。広島風に言うと「焼きナバ」である。歯ごたえと、香りがいい。
思えばわたしが子供の頃、広島市の近郊でも松茸がよく取れた。里の裏山で日に5・6本ばかり採って炭火で焼い、て裂き、やはり醤油をつけて食べたものだ。