決して「読まず嫌い」ではないが、わたしと著作や作者との間には、相性の良し悪しというものが歴然としてある。
例えば、わたしは五木寛之と相性が悪い。「さらばモスクワ愚連隊」や「青年は荒野をめざす」を読んで、正直言って呆れた。同じ世代の野坂昭如は積極的に読むというのに、以後、五木は読む気すらしない。特別な理由などない。ただ五木の他の著作のさわりを読むだけで相性が悪いように感じてしまうのだ。
一方でどうやら、柄谷行人とは相性がいい。文庫本で5冊ほど買い込んだ。かなり目にきついので、大きな文字のハードカバーを探している。いまだに見つからない。眼精疲労を覚悟で文庫本で読んでみるかどうかを、思案中である。
なにしろ思想書だから、新本を求めようなどという気は毛頭もない。少々古かろうが、読めればそれでいいのだ。しばらくは古本屋巡りが続きそうだ。古本屋巡り、これがまた楽しくてならないのだ。