予定通り、都合10日間きっちりと休暇を取った。考える時間も十分にあったし、かねてから読みたかった本に目を通すこともできた。今日は、久しぶりの社会復帰ならぬ会社復帰の日だった。仕事を片付けてから早めに会社を出て、久しぶりに近くの「ブックオフ」に寄った。食に関わるエッセーや「風姿花伝」の解説書等、何故か渡辺淳一の本が目に留まる。
帰宅後、柄谷行人の「探求 Ⅰ」の第3章 「売る立場」を読み直してみた。
「市場=社会的空間は根本的に多数体系的である。相異なる多数体系がなければ、剰余価値したがって資本もありえないであろう。だが、たしかに、そこにある均衡が成立しているようにみえる。アダム・スミスが「見えざる神の手」が働いているといったように。しかし、この均衡は、システム論的なものではない。すなわち、それは、規則によって交換がコントロールされているからではなく、反対に、個々の交換が耐えず規則を変更するからこそなのだ。」
市場経済の鬼っ子、営業に従事する者ならでは実感できる、一貫した理屈こそが柄谷行人の真骨頂なのである。