『カティンの森』
「カティンの森」で父親を失い、その後はレジスタンスにも参加。好きな絵を学びたいと、戦後は美術学校を目指す若者・・・自分とよく似た経歴の彼を登場させた監督は、自分にもあり得たかもしれないもう一つの「その後」を描いていたのだろうか。
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/70115e6c147a9031156427259f0c5404
『キャピタリズム マネーは踊る』(Capitalism: A Love Story)
ムーアさんも、「資本主義」それ自体は愛して(Love)いるんだろうな・・・。
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/99b0d966f376992667720f46ba241c5c
『アンナと過ごした4日間』
チラシには「ポーランドが誇る幻の映画作家、17年ぶりの新作は(中略)究極の"片想い映画"」とある。確かに「片想い」を描いているのだけれど、「究極の」が付くだけあって、観る人によって相当感想が分かれそうな作品。「詩人・ボクサー・画家・ジャズドラマーといった多彩な顔をもつ」というイエジー・スコリモフスキ監督(脚本・制作も担当)の71歳という年齢にも、正直私は驚いた。
夜の場面が多いこともあって画面はかなり暗いのだけれど、たまに映し出される辺りの風景などは、文字通り絵画を見るように美しい。「愛」というものの本質に触れている感触も私は感じるので、オフシアター・ベストテン選考会でも推挙する作品の1本に選んだ。
同性から見て、ヒロインの最後のセリフは当然と思う。「理解」はしても、それは「愛」(それも恋愛感情の)とは全く別物だろう。それでも・・・ラストシーンの衝撃は忘れられない。
『シャネル&ストラヴィンスキー』
「春の祭典」の初演の舞台に驚いた。作った人も、その価値を見抜いた人も、タダモノじゃなかったんだな~と。(でも、タダモノじゃない人の周囲は辛い・・・?)
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/9766fa5d7ac0c7705adbac79b529a6f3
『道』(La Strada)1954
名作はさまざまな記憶を呼ぶものだけれど、昔の映画こそスクリーンで観たい!と改めて思った作品。(私も、やっとフェリーニ監督の映画を楽しめる歳になったのかも~♪)
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/250c594ee84dcd501e991bd64f69c1b8
☆『フローズン・リバー』
この映画を作ったコートニー・ハント監督(脚本も)の次回作が楽しみ~。
http://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/9af1c9cc9fd468a436aafe21d7a5b38c
☆『未知への飛行』(Fail-Safe)1964
原題の「フェイル・セイフ(進行制限地点)」というのはアメリカ空軍用語で「(戦闘機などが)ここを越えると大統領でも引き戻すことは出来なくなる」という境界のことだとか。邦題は明るい響きだけれど、内容は冷戦下の「核」をめぐるギリギリの攻防。水爆の開発など、米ソの対立が際だつ中で、人々がどれほど本気で核戦争の危険を感じていたかを、もうヒシヒシと感じさせる。同じ監督(シドニー・ルメット)の『12人の怒れる男』でも感じたことだけれど、議論・討論の真剣さ!も印象的。登場人物たちが各々の立場で「最良の選択」を主張する、その迫力にも圧倒された。
それにしても、「人間は過ちを犯すもの」なのだということ。「核」はそういう「ミスを犯すのは織り込み済み」の生き物が扱うには、あまりに危険なモノなのではないか・・・という気持ちは、映画を観る前も後も変わらない。核戦争どころか放射性廃棄物ひとつ取っても、私たち人間はまだ解決法を見出せないまま、「核」は昔以上に「身近に存在する現実」になっているのだから。
映画の中では、アメリカ大統領(ヘンリー・フォンダ)は最後に殆ど信じられないような決断を下す。今の私たちに、それほどの覚悟が「核」を持つことについてあるかどうか・・・観た後で考え込んでしまった。
『クリーン』
2本立てで『ヴァイブレータ』の後から観たせいだろうか、メモには「妙に薄味の映画という印象」などと。淡い色彩の美しさも、むしろそれを助長する方に作用している?ように私には見えた。
個人的には、マギー・チャンの女優としての才能(と努力!)と、義父役のニック・ノルティが記憶に残る。
あのN・ノルティが、こんなにしみじみオトナを感じさせる俳優さんになったなんて・・・。今回はなんと!幼い孫の将来を案じるオジイサンの役だ。妻は末期ガン、息子はドラッグの過剰摂取で既に亡く、まだ幼い男の子の孫をひとりで育てるには息子の妻はあまりに頼りない・・・という中で、どうすることが孫にとって一番幸せな選択になるのかを、彼は必死で考えたのだろう。自分の夢を捨てきれない(そしてドラッグとの縁も切れない)ヒロインの人格をきちんと認め、誰も見ないであろう彼女の長所も見出して褒めた上で、一緒に男の子の未来を考えようと、彼は穏やかに語りかける・・・。その昔、行きがかりから小さな女の子に無条件に頼りにされた時、ただ呆然とするだけの裏社会の男を演じた彼が、今ではこういう役柄が似合うオトナになっていることに、歳月を感じてしみじみしてしまった。
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
男同士の「約束」とはどういうもの(であるべき?)なのかを描いていて、最後の場面では涙が出てきた。どこか「いい人」感?の漂う殺し屋3人組のキャラ設定も絶妙。男同士の後ろに「男の子」同士が透けて見えるようで、女の私としては正に「もうひとつの世界」を見ていた印象。でもこういう映画を観ると、「男(の子)同士っていいなあ・・・」などと思う自分がいたのを思い出す(笑)。(アンソニー・ウォン大好き!)
『海の沈黙』(LE SILENCE DE LA MER)1947
フランス文化に傾倒し、褒め讃えるナチス将校の穏やかな語りが心地良くて、(決して退屈じゃあないのに)画面に漲る緊張感など忘れてウトウトしてしまった。映画を観ている最中に眠ってしまうことは私には珍しいので、なんだかワケガワカラナイ感じ(苦笑)。でも、(寝てたクセに何をと笑われそうだけれど)この映画が傑作だということはよくわかった。
ただ沈黙を通すことで、伯父と姪はナチスそのものに抵抗しようとする。チラシには「ジャン=ピエール・メルヴィル監督の伝説的な処女作」とある。若い姪の横顔、その澄んだ瞳がとても印象的。
『ジュリー&ジュリア』
普通にコメディーとして面白かったけれど、ヒロイン2人(メリル・ストリープ、エイミー・アダムス)のどっちがジュリーで、どっちがジュリアかも思い出せない。でも、外交官の夫を演じていたスタンリー・トゥッチは素敵~♪(なぜか『真夏の夜の夢』の小悪魔パックを思い出したりして(笑)。もう何でも出来るヒトなのね。)
『50歳の恋愛白書』(THE PRIVATE LIVES OF PIPPA LEE)
原題がLivesと複数形になっているのは、ヒロインであるピッパ・リーが何度も(「生まれ変わる」くらい)生き方を変えてきたってことなのかなあ。キャストが豪華なのはいいんだけれど、どの登場人物にも、もひとつに感情移入しにくかった作品。ラストにも個人的に疑問が残るし・・・なんてこと考えずに、とにかく「窮屈になった殻は、幾つになっても脱ぎ捨てられる。その後にどんな人生が待っているにしても。」ってことなのかも。(ヒロインは早晩、新しい彼とも別れて、さらに「自分自身」を探し続ける気がするので。でも、50歳で気づいてそれまでの生き方を変えようと思ったとしても、私だったら30歳の相手と家を出て行ったりしないだろうな~。「家を出て新しい暮らしを始める」のと「20歳年下とつき合う」のの、どっちか片方で十分(笑)。同時にできるエネルギーがあるヒロインは、私には異星人?に見える・・・などなど。)
『マリといた夏』2001
韓国の長編アニメーションは初めて観た。2002年アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリ作品とのこと。それなのに、今こうしていても、ストーリーさえ満足に思い出せない。ただ淡い色調で、リアルな或いは幻想的な、さまざまな風景があったのをぼんやり覚えているだけ・・・というのは、アニメーションが好きな自分としてはちょっとナサケナイ気がする。(でも、こういうことが最近多くなってきた。)
何も無い部屋に置いたベッドに、青く揺らめく水が満ちてくる。男の子は灯台に上がり、そこから誰か(マリ?)と手を繋いで空を飛ぶ。子ども時代の追想の中では、海辺の田舎の風景は韓国も日本も変わらない。なんだか、自分の原風景を観ているような気がしてくる・・・。
一つだけ強く感じたこと。アニメーションの世界では、思った以上に韓国と日本は近い。そもそもアニメーションの作り手たちは、国境など感じていないのかもしれない。
『マリといた夏』のどこか地味?な美しさは、所謂「韓国」のイメージとは違っていた。こういう風にして、粗雑な思い込みは少しずつ訂正されていくのだろう。映画に限らず、広い意味での「芸術」に接する事の良さは、もしかしたらそういうところにもあるのかもしれない・・・などとも思った。
・・・・・計39本(短6)
いえいえ、笑えません。
観てないくせに何をと笑われそうだけれど、チラシの写真見ただけで傑作!と思いましたもん(笑)。
そう! あの写真は良かった!!
実は私もあの写真に引きずられるようにして観に行ったんです(本当)。
昔、音楽がとても好きな友人が「LP(の時代)買うときはジャケットで選ぶの。ジャケットのいいのはなぜか中身もいいんだよ~」と言ってたのを、ちょっと思い出しました。