別府の繁華街をぶらぶらした後、夕方I氏と合流してまず初めに目指したのは寿温泉です。竹瓦温泉や梅園温泉からも近く、便利な立地です。建物は大正13年の物だそうで、常時43℃ぐらいのお湯は鉄分を多く含み、子宝の湯とも呼ばれているのだそうです。入り口を入ると右手に番台があり、おじいさんが座っておられました。100円を置いて浴室に向かう途中、女湯の入り口の前にお地蔵さんがありましたので、お参りしておきました。
脱衣所と浴室はほとんど同じ高さで、この日は先客はだれもおらず、女湯は初めは貸切状態でした。壁のブルーと窓の外のピンクのネオンがマッチしています。お湯は少し緑がかって見え、炭酸水素塩泉が掛け流しとなっています。
浴槽にはお湯がどんどん流れ込んでおり、温度は確実に43℃以上あったと思われます。かけ湯するのも難儀なほど熱いお湯で、何度かけ湯をしてもなかなか浴槽に入ることができません。足からそっと入り、できるだけお湯を動かさないようにして、何とか腰辺りまで入って休んで、ずいぶんとやせ我慢をしてようやく肩までつかることができたとき、地元の方が一人やってきました。
熱いでしょ、この辺で一番熱いんだよ、水でうめたらいいのに。
そういって、一番奥にある水色のホースで水をじゃばじゃば浴槽のお湯の表面にかけてくださいました。なるほど、今度からそうします。共同浴場を独り占めできるのは良いのですが、やはり地元の方がいるときに、いろいろ教えてもらいながら入るのが一番だと思いました。
仏頂面をしていた番台のおじいさんですが、熱いお湯で顔が真っ赤になったI氏を見てほろりと笑顔になり、しばらくおしゃべりしました。昔渋谷で働いていたそうで、関東のしょうゆは物足りなかったそうです。今なら私もわかります。